2012国民春闘共闘情報
全労連HP

第46号 2012年7月19日

人の痛みを想って審議を!

 中央最低賃金審議会における第3回目の「目安に関する小委員会」が19日、厚生労働省内で開催されました。第2回目の小委員会では、生活保護との乖離状況などが発表され、一部のマスコミは、あたかも生活保護が高すぎるかのような報道を行っています。問題は、憲法や労働基準法、最低賃金法の趣旨にもとる、あまりに低額な最低賃金にあることなどを訴え、全労連・国民春闘共闘は、委員会の開催に先駆け、厚生労働省前で宣伝行動を行いました。

全国一律最賃1,000円以上に

【民主党政権は最賃大幅引上げの公約を、すぐに実行せよ!】

写真 昼間の暑さ残る中、厚労省前に集まった13組織18人は「生活できる最賃を!」など声高く訴えました。
JMIU・三木書記長は、冒頭、派遣切りにあった日本トムソン支部組合員が、解雇撤回と正社員化を求めた裁判において、最高裁が上告却下としたことにふれ、常識外れがまかり通る今の司法や政府のあり方を痛烈に批判。最低賃金についても「最賃と生活保護を天秤にかけて、生活保護切り下げを主張するのはおかしい。憲法25条にある、国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならないという規定に照らし合わせて、最賃をどうするか考えるべきである」と非正規で働く仲間の実態を交えながら訴えました。
 東京自治労連・西野副委員長は、「東京の自治体でも正規職員が削られ、臨時・非常勤が全職員の3〜5割を占めるほど増えている。その方々が最賃ギリギリの時給で働き、ダブルワークをせざるを得ないといった厳しい生活を余儀なくされている。最賃を引き上げて生活できる賃金に!」と公務職場の現状を語りました。
 全労連・全国一般の大木副委員長は「出来るかぎり早く時給800円以上にと言いながら、すでに4年が経過している。いったい何をやっているのか!国民を大切に思うのであれば、思い切って最賃を上げて景気を回復して行くことが必要だ」と政治の責任を追及。
 国公労連の高木中央執行委員は、ある受験漫画の引用から話を切り出し、「『知識がない者は、だまされて、損をして負ける』、労働者はルールを作る側が、何をしているかを知り、知識をつけてたたかわなければなりません」と呼びかけ、返す刀で「ルールを作る側の委員のみなさんは、自分が最賃で暮らしていけるのかを想像してみてほしい。人の痛みを分かち合える想像力をもって審議に臨んでほしい!」と思いの丈を訴えました。

【慢性的な人手不足の福祉職場……主な原因は低賃金!】

 第3回目安小委員会に向けて、全国福祉保育労働組合が意見書を提出しました。「福祉の現場は、低い賃金水準のため、募集に人が集まらず、長時間・超過密労働で慢性的な人手不足をカバーし、現場を維持している」実態にあります。厚生労働省調査によれば、「保育士の所定内給与は22.0万円、平均勤続年数は8.8年、福祉施設介護職員は21.6万円(同5.5年)、ホームヘルパーは21.7万円(同5.4年)と全労働者平均に比べ賃金水準も定着率も、ともに低くなっています。これは、低賃金と長時間・超過密労働から感じる将来への不安をもとに職員が退職していくからです」。
 「東日本大震災では、福祉労働者は、自らも被災しながら支援者として、被災した住民の『権利として保障された普通の生活』をつないできました。しかし、その賃金は、専門性に見合った水準ではなく、最低賃金すれすれ。低賃金・超過密労働と精神的な負担に、被災地の福祉労働者は疲弊しバーンアウト寸前です」と訴え、「全国平均1000円以上の実現は、福祉労働者全体の賃金水準を引き上げ、職員の定着率向上・人手不足の解消につながり、それは利用者へのサービスの質向上にも直結する」と訴えています。

【…最賃引き上げを心から願っています…】

 産別の意見書の後には、宮城、山形、群馬、東京、静岡、愛知のそれぞれの職場から、実名と年齢、職種、賃金や仕事、生活の実態を出して、最賃の大幅引上げを訴える現場告発を付けています。
 山形市の認可保育園で正規職員の保育士として働く、横山さん(27歳)は、アパートで暮らしています。月給は170,500円、時給換算で1,065円と、全労連の最賃要求の1000円以上をクリアしていますが、それでも余裕がないと訴えています。
 「家賃、食費、光熱費、ガソリン代、携帯電話代、新聞代、生活雑費と月に支払うものを引き」、さらに「奨学金を月に23,617円支払って」、残りのお金で「保育園の行事として、職員や親との懇親会、研修費も自費の場合はそこから出しているので、本当に余裕がありません。また、この年齢になると、友人の結婚式や出産祝いが多くあります。大事な友人のお祝いをしたいのに、お金がなくて結婚式に出席できない・・・出産祝いをすぐにしてあげられない・・・ということが、実際ありました。大切な友人のお祝いが、このような理由でできなかったことを本当にくやしく思いました。そして、このような現状だと貯金もできず、自分のための保険にも加入できない状態です。この先、自分の将来を考えた時結婚、子育ても含め)本当にやっていけるのだろうか・・・と考えてしまいます。
 正規職員でさえ、このような状況なので、臨時・パートで働いている人は、もっと切実な思いだと思います。
 最低賃金引き上げを心から願っています。」

【大阪から「意見書」続々!】

 大阪労連の呼びかけで、労連加盟の各単産(大阪自治労連、大教組、生協労連大阪府連等)・単組71組織(7/19時点)から「生活再建のためにも最賃は大幅改善を」の意見書が届いています。2011年国民生活基礎調査をもとに、一世帯あたりの平均年収が過去最高時から126万円減少し、生活意識をみれば「苦しい」が62%、うち「大変苦しい」が29%で過去最多となっていることを紹介。他方で、企業の内部留保は長期不況の中でも増え続けていることを指摘し、企業の社会的責任の発揮を求めています。
 経営困難を理由に最賃抑制を求める中小企業の使用者に対しては、最賃引上げは中小企業支援策、労働者と手を組み、大企業による下請けいじめをなくそうと呼び掛け、最賃800円未満の早期根絶と1000円の早期到達とあわせ、公契約法の制定、公契約条例の普及、中小企業予算の増額と中小企業支援策の強化、公正取引ルールの確立を求めています。

【中央の最賃行動・予定】

◇ 第4回目安小委員会包囲・要求行動
   (目安小委は日本青年館ホテル5F 501会議室で開催)
  日時:7月24日(火)16:20〜17:00(小委員会は深夜に及ぶ見込み )
  場所:日本青年館前(明治公園隣) 行動:宣伝行動

◇ 第3次最賃デー中央行動(夏季闘争勝利7・25中央行動)
  (1)諸要求実現7・25総決起集会 12:15〜13:00【日比谷野外音楽堂】
  (2)「最賃引き上げ、雇用と暮らし守れ、公務員賃金改善」人事院・厚生労働省前要求行動  13:15〜13:45
  (3)各省前要求行動 14:00〜14:30
     (1)財務省・文科省前要求行動 (2)農水省前要求行動 (3)総務省前要求行動
  (4)国会請願デモ 14:50〜 【日比谷公園霞門出発】

※7月26日(木)13:00〜 第37回中央最低賃金審議会は傍聴行動とします。

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