7・25中央総決起集会
猛暑の正午すぎから、全労連・国民春闘共闘委員会は、民主団体と共同で「諸要求実現7・25総決起集会」を開催しました。日比谷野外音楽堂に集まった2000人を前に、主催者あいさつを行った国民春闘共闘・伊藤潤一代表幹事(東京地評議長)は、「野田政権の悪政に多くの国民の反撃が始まっている」として、日本チェーンストア協会が消費税率引き上げを厳しく批判していることや、日弁連が「社会保障制度改革推進法案」について憲法25条に抵触する恐れがあると会長声明を発したことなどを紹介。「景気回復のためには賃金引上げが必要」として、最賃の大幅引き上げと全国一律最賃制を求めました。
続いて日本共産党の宮本岳志衆議院議員から、参議院特別委員会での消費増税と社会保障制度改悪をめぐる審議の様子など国会情勢報告を兼ねた連帯の挨拶をいただきました。
情勢報告を行った国民春闘共闘・小田川義和事務局長(全労連事務局長)は、「政治経済の状況は今、一段と大企業中心社会に進もうとしている」と述べ、「7月11日に論議された日本再生戦略に盛り込まれた『繁栄のフロンティア』は、TPP参加と規制緩和、労働者使い捨ての40歳定年、一方で75歳までの雇用を前提とした社会のシステム作りを提言している」と報告。「突破口となる消費増税を断固阻止すると同時に、原発再稼働やオスプレイ配備反対など国民の運動で野田政権を追い詰めている分野のたたかいを前進させるために、全国のみなさんの奮起を呼びかけたい」と訴えました。最賃にかかわって、「本日の目安小委員会報告では『Aランク5円、B〜Dランク4円、生活保護との乖離解消は2年以内の出来るだけ早く解消を。北海道、宮城については、単年度の解消はなし』との方向が出た。これから地方段階のたたかいを一気に強めてほしい」と述べました。
公務員課題については、退職手当大幅引き下げ等、退職手当法改悪、独立行政法人や国立大学法人への賃下げ圧力がかけられていることを紹介、「政府は賃下げ政策を取り始めた」と官民一体のたたかいを呼びかけました。
つづいて4人の代表が決意表明を行いました。全教・今谷賢二書記長は、「すべての子どもの成長・発達を保障する教育・学校づくりの柱は30人学級実現、高校の授業料無償化の維持・拡充、返還不要の奨学金制度だ」と述べ、全国の職場から370人が集まり本日午前中に、笑顔署名9万9689筆を文科省に提出したことを報告し、「公務・公共サービス充実への声を大きく広げましょう」と訴えました。
生協労連・北口明代副委員長は、「本来なら最賃の大幅引き上げが必要なのに、生活保護引き下げの動きがあるのは許せない」と指摘し、「中賃目安は大いに不満。昨年は7割の地方で中賃目安を乗り越えた。今年も目安を乗り越えるたたかいを強めましょう」と呼びかけ、東京土建・影山政行常任中央執行委員は「ゼネコン5社含む43社の一次下請け調査でも、日給7000円、時給換算で875円、月の手取りで約13万円。東京都の最賃837円に張り付いている。これで技能労働者がいっぱしの生活ができるわけがない。少なくとも、生活保護との乖離額20円以上の引き上げを求める」と述べ、「同時に公契約条例を広げるため全力を挙げる」と決意を語りました。
消費税阻止各界連の清家裕・税経新人会全国協議会理事長は、「この消費税増税は、実質毎年13.5兆円もの負担増を国民に求めるものだ。社会保障にはほとんど使われず、大型公共工事や法人税の減税財源にも使われ、日本の財政再建には使われないというのが3党合意の内容だ。参議院で廃案にするために力を合わせよう」と力強く訴えました。
全日本民医連の吉田万三副会長が、閉会あいさつと団結ガンバローを行いました。
厚生労働省・人事院前要求行動
「総決起集会」を終えた仲間は、最低賃金の大幅引き上げ、社会保障制度改悪阻止、公務員賃金改善などを求め、厚生労働省・人事院前に集結。省庁前の歩道を、日比谷公園側まで埋め尽くし、厚労省前、人事院前の各宣伝カーから交互に発言を行ないました。
主催者あいさつに立った国民春闘共闘・国分博文代表委員(全農協労連書記長)は、「先ほど出された中賃目安は、あまりにも低い。最低賃金の大幅引き上げは、待ったなしの課題だ。今の最低賃金では、過労死ラインを大幅に超えて働かないと年収200万円にも達しない。力を合わせて、公務員の賃金引き下げ許さず、最低賃金の大幅引き上げのたたかいを広げて行きましょう」と呼びかけました。
最低賃金に関する情勢報告を行った、国民春闘共闘・伊藤圭一事務局次長(全労連調査局長)は、冒頭、今年度の「目安」に対して「雇用戦略対話合意の実現には、最低でも年20円引き上げないと追いつかない。二桁に届かない目安にショックと怒りを覚える。生活保護との乖離についても単年度解消の先送りを許し、最低賃金法の趣旨にもとる」と述べ、財界要求をベースに議論が進んで行った審議の様子を報告、「生活できる賃金を基準に考えるべきだ。みなさんの声と力で、地方最賃審議会で目安を乗り越えさせて行きましょう」と力強く訴えました。
人事院前にマイクを移し、国公労連・九後健治書記次長から、「臨時特例法による7.8%の賃下げで、改善勧告が必要な5%の官民較差があることは明らかである。人事院は、給与実態にもとづく『賃金回復勧告』をするべきだ。また、50歳代のベテラン職員の昇給抑制などがねらわれている」と公務員賃金をめぐる情勢とたたかいが報告されました。
つづいて、4人の仲間が、職場からの実態と要求を発言しました。全労連・全国一般京都地本の小畠敦子執行委員は、「今の最賃では、友達に食事に誘われても断らざるを得ない。病院にもいけない。普通の生活も成り立たない」と最賃生活体験の取り組みを報告。自治労連千葉県本部の黄木祥久子副委員長は、3党合意によって修正された「子ども子育て新システム」について語り、「子どもの発達保障を無視し、保育士の労働条件低下につながるこの法案の廃案まで頑張る」と力強く決意を述べました。
福祉保育労・仲野智書記長は、「大事な友人のお祝いをしたいのに、お金がなくて結婚式に出席できない」、「仕事で使うジャージやTシャツを買う事が多く、自分が休日に着る服をほとんど買えない」といった中央最賃審議会に提出した実態レポートの声を紹介し、「最賃引き上げは非正規労働者の問題ではなくすべての労働者の切実な要求だ」と訴えました。
全生連の前田美津恵事務局次長は、「最賃との乖離による生活保護バッシングは、生活保護の改悪がねらいだ。人間らしい暮らしが出来る最賃、社会保障にしなければならない」と憲法25条に依拠した政策をとるよう強く求めました。
厚労省・人事院に向けたシュプレヒコールでは、怒りの声が霞が関の空に木霊しました。
その後、参加者は総務省、財務省・文科省、農水省前要求行動に向かいました。
財務省・文科省要求行動
庶民増税反対、不公平税制是正、教育予算の拡充などを求めて行われた財務省・文科省要求行動で、主催者あいさつに立った全労連・根本隆副議長は、野田政権とそれを操る財務省を痛烈に批判し、「国民に増税を押し付け大企業に減税をし、国民の願いに反する野田政権を正していく取り組みを大きく進めよう」と訴えました。
その後、「政府の進める公務員攻撃に対し、国民の安全・安心を守るための運動を強める」(国公労連・岩崎恒男副委員長)、「国民の生活をますます厳しくして、大企業だけ儲かる消費税増税は絶対に許さない」(JMIU・三木陵一書記長)、「生活破壊をもたらす消費税増税を許さないたたかいを自治体、市民と進めていく」(自治労連・滋賀自治労連・山本等副委員長)、「『小遣いが500円だから消費税なくしてほしい』という作文があった。子どもからもむしり取る消費税はなくせ」(全教・全教千葉・青木敏之書記長)、「公務員賃金に政府の支配が及んでいるのは許せない」(特殊法人労連・篠原百合子副議長)などの思いが語られました。
総務省要求行動
公務部会・公務労組連絡会の主催で行われた総務省前要求行動では、主催者あいさつで野村幸裕議長(自治労連委員長)が、退職手当削減に対して一致してたたかう決意を表明、公務労働者に対する攻撃をはねかえすために団結してたたかうことを強調し、「公務・公共サービスの必要性を大いに訴えよう」と呼びかけました。
その後の、職場・地域からの要求アピールでは、「9年前からの自治体の独自カットで、今も苦しめられている」(岡山高教組・三上雅弘書記次長)、「予算は削られて不払い残業が横行している。必要な業務には必要な予算を求める」(国公労連・全法務・九州地本関村書記長)、「憲法キャラバン行動では、23市長との懇談で非正規職員について17市から実態調査がよせられた」(静岡自治労連・青池則男特別執行委員)、「郵産労と郵政ユニオンが組織統合し、新たな組織を結成した。20万人を超える非正規労働者の正社員化に全力をあげる」(郵政産業ユニオン・兼子隆中央執行委員)と決意が述べられました。
農水省前要求行動
農民連、全国食建連、国民大運動実行委員会が主催した農水省前要求行動には、TPP参加反対、日本の農業をまもれ!などを訴え60人が参加。主催者あいさつで農民連・笹渡事務局長は「政府は8月にもTPP参加表明をしようとしている。先に加盟を決めたメキシコ、カナダは、すでにできている9カ国の合意内容に拒否も意義を唱えることもできない毒を飲んだ。そんなものに日本が入っては日本の農業も医療もすべて大変なことになる。かならずTPP参加を阻止し、来る選挙で民意を反映させる運動を広げよう」と訴えました。
各省庁での行動を終えた参加者は、ふたたび日比谷公園に集合し、国会にむけて請願デモに出発しました。デモ終了後は、各単産が国会議員要請行動に取り組みました。
非正規ではたらく仲間の声を聞け!
総決起集会に先立ち、午前中には全労連・パート臨時連絡会が「パート労働法の実行ある改正」に向けて厚労省と交渉を行ないました。
また、3時間余りの質疑で衆議院・厚生労働員会で強行採決された「労働契約法改正法案」に対し、「ゆうき連帯行動」(呼びかけ:全労連・MIC・全労協)が抗議行動を行い、約100人の仲間が、衆議院第二議員会館前に集まり、「5年雇い止め合法化を許すな」、「非正規雇用ではたらく仲間の声を聞け」など怒りの声を響かせました。