2012国民春闘共闘情報
全労連HP

第54号 2012年8月20日

2012年春闘・制度的諸要求(最終集計)

雇用と仕事の確保、格差是正へ
要求前進1,481件

2012年 制度的諸要求獲得状況の特徴

 今年度の制度的諸要求獲得の状況の第1の特徴は、雇用と仕事の確保、青年要求・高齢者要求の取り組みが前進していることです。
 定年・雇用延長(条件改善含む)は、36組織で37件獲得しました。通信労組では長年たたかってきた「50歳定年・賃下げ再雇用制度」を撤回させました。法制度の整備が進まない中、年金と雇用の隙間をつくらせない取り組みも進んでおり、「65歳までの雇用協定締結」(自交総連)、「65歳まで希望者全員雇用」(JMIU)「最雇用期間は65歳満了まで」(出版労連)など昨年・一昨年を上回る要求獲得を実現しています。ただし、これらの課題は、今国会上程の高年齢者雇用安定法案の行方にからんで、秋年末から来春闘に本格化することになります。
 初任給・格差是正(非正規除く)に関する要求獲得は、40組織が43件を獲得。2011年(11件)、2010年(17件)より増加しています。特に日本医労連、全農協労連、秋闘で制度諸要求獲得に重点を置くJMIUでの健闘が光ります。
 第2の特徴は、春闘前段から引き続いて、非正規労働者の要求獲得が前進していることです。賃金改善では生協労連が117件獲得したのをはじめ、全国一般、日本医労連などの成果が目立ちます。郵政産業ユニオンでは、「月額制契約社員の月額2,000円賃上げ」を勝ち取り、この間の非正規労働者の均等待遇を求める共同の取り組みの前進などを介して、7月1日に郵産労と郵政ユニオンの統一を果たしています。非正規労働者の労働条件改善は114組織で162件獲得していますが、中でも「非正規の正規化」は、全農協労連(3)、建交労(1)、生協労連(2)、JMIU(4),郵政産業ユニオン(1)、日本医労連(2)、福祉保育労(2)の15組織が勝ち取っています。
 第3の特徴は、ボランティア休暇、休日増や有給休暇の改善など、休日休暇に関する要求が前進したことです。東日本大震災・福島第一原発事故の影響で全体の獲得件数が785件と大幅に落ち込んだ昨年(14件)との比較は困難ですが、一昨年(28件)と比べても倍以上の80件を獲得しています。
 第4の特徴は、年齢別最低賃金保障などが、これまでも協定化してきた建交労に加え、他の単産部会にも広がって来ていることです。
 第5の特徴は、メンタルヘルスケアや震災対策など安全衛生の課題です。この分野では78組織が98件の要求を獲得しています。JMIUや自交総連では事故や犯罪から身を守るための安全対策もとられています。
 第6の特徴は、週休2日制要求獲得が0件になったことです。1997年の166件から獲得件数は年々減少していました。「週休2日制」は導入可能な職場には、ほぼ普及したということだと考えられます。

時短関係

 時短関係では、「所定内労働時間を月0.7時間短縮」(全印総連)、「5日間のボランティア休暇」(全農協労連)、「組合休暇20日から30日に」(建交労)、「アニバーサリー休暇」(建設関連労連)、「病気特別休暇5日間の新設」(全損保)、「残業代を過去に遡って10分単位で支給」(福祉保育労)、「休日出張中のみなし労働半日4時間を廃止し、7時間とする」(出版労連)など、110組織が140件の時短関係の要求を前進させています。

非正規関係

 非正規労働者の労働条件については、「臨時職員の忌引休暇を正職員と同様の日数とする」(全農協労連)、「パートタイム従業員の半日単位の有給休暇」(JMIU)、「店舗一般パートの業績評価廃止」(生協労連)、「派遣等の構内スタッフに1,000円のQUOカード」(民放労連)、「臨時職員の忌引きや災害などの休暇を有給に」(三重)などや非正規労働者に対する年度末・夏季一時金も多くの組合で獲得しています。

最低賃金・年齢保障・初任給関係

 企業内最低賃金協定の新設・改善は116組織が167件獲得しています。「月額217,330円」(出版労連)、「誰でも時間額1,060円」(日本医労連)、「時間額1,090円、日額8,210円、月額170,350円」(化学一般)など、時給1,000円以上の協定を締結した仲間も少なくありません。1,000円以上の最賃設定を労使合意したという結果は、それを地域春闘の場に持ち出せば、法定最賃の引上げを促す有効な材料となります。
 年齢別などの最低保障は、建交労が「30歳で23,000円」など50件獲得している他、JMIU「28歳で221,100円」など3件、福祉保育労「正職員は年収300万円以上」など3件、自交総連1件、全国一般1件、日本医労連1件の計59件獲得しています。
 青年層や高齢者の雇用・貧困問題が深刻化していますが、初任給引き上げや、格差是正に関する要求が前進しています。被災地でも「大卒:1,800円、高卒:1,600円の引上げ」(全農協労連)、「20年目までの賃金水準改善」(日本医労連)などを勝ち取っています。

育児・介護・母性保護関係

 育児休業関係では「男女ともに満3歳まで1日につき1時間有給」(建交労)、「育児休業後、復職の職場は休業直前の部署とする」など20組織20件、介護・看護休業関係では「介護休暇の条件に、通院の付き添い、手続きの代行を追加」(民放労連)、「介護時短勤務:最長1時間から2時間/日、最長1年から最長3年」(映演労連)など11組織15件、母性保護関係では、「妊娠中の従業員に対する通勤緩和措置の拡充」(全倉運)、「母性保護について、公的機関のセミナーを含め学習教育活動に参加できるようにする」(全印総連)など11組織12件の報告が寄せられています。

労災補償・安全衛生

 労災補償は「0.5%増額」などJMIUで7件獲得し、建交労2件、岐阜で1件の計10件獲得し、安全衛生の課題では「全職員に防災グッズの配布」(全農協労連)、「事業所内放射線量測定掲示」(JMIU)、「メンタルヘルスケアに関する取り組みの充実」(全倉運)、「インフルエンザ予防接種補助金1,000円」(全国一般)、「ドライブレコーダー設置」(自交総連)など要求を前進させています。

夜勤・雇用継続・退職金・制度政策課題

 賃金引き上げと併せて雇用と仕事の確保が求められる中、人員増が27組織29件、雇用保障が5組織5件、定年・雇用延長などが「組合員の雇用延長」(JMIU)、「再雇用者の夜勤は原則免除」(日本医労連)、「定年延長(65歳)」(自交総連)など36組織37件獲得。また退職金に関する要求も、「定年退職金20万円増額」(全国一般)、「退職金増額」(福祉保育労)など17組織18件で上積みを獲得しています。
 その他、「『TPP反対リーフ』を農協が1,020部購入し活用」(全農協労連)、「政策要求に協力」(自交総連)、「復興支援ボランティアツアー実施予定」(全倉運)、「原発の廃止を広く市民に呼びかけ、再生可能エネルギーの普及にむけ取り組む」(生協労連)などの制度政策要求での一致・協力の報告も寄せられています。

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