地方最低賃金審議会は、7月26日の目安の伝達を受けて8月から本格審議に入り、9月10日、富山で答申が出され、全ての地方で2012年度の地域別最低賃金の改定額が出そろいました。全国加重平均は749円と、前年より12円改善され、目安の加重平均7円を5円上回る結果となりました。
改定額が二桁となったのは、北海道・大阪の14円、東京・神奈川の13円、埼玉12円、宮城・兵庫10円の7地方。一桁改定の上位は、広島の9円、岩手・愛知・千葉・富山・京都・沖縄の8円等。比較的高い金額での改定答申を出したのは、生活保護を下回っているとされた11地方ですが、その中で単年度での乖離解消ができたのは埼玉、千葉、兵庫、青森にとどまりました。
中賃目安との対比では、それを上回る答申を決めた地方が、38地方・81%と多数を占め、目安と同額は4地方、下回ったのは単年度での生活保護との乖離解消ができなかった5地方となりました。
目安上積み金額の最高は、岩手・富山・沖縄のプラス4円で、いずれも目安に倍する答申となりました。これに続く上積みプラス3円は16地方に広がりました。
多くの地方審議会が目安に上積みできた背景には、賃金底上げと格差是正を期待する労働者の切実な声や、それがもたらす政策的効果と道理を要求にまとめ、具体的な運動をとおして審議会の中に示してみせた、各地の仲間の奮闘があります。
ただし、到達水準でみると、最高額でも東京の850円、僅差で神奈川849円、これに大阪800円が続き、ようやく3地方が800円台となった程度です。700円台は埼玉771円を筆頭に長野と富山の700円を加えて15地方、600円台が依然、29地方で62%と多数を占めています。最高額と最低額の格差は198円・23%に及んでいます。早急に全国一律1,000円以上の最賃を実現すべく、さらなる運動の強化が求められています。
今期の地方最賃審議会の進捗は、前半は昨年より早いペースで出されてきましたが、Dランク地方の多くの答申は8月下旬となり、さらに9月になって富山の答申がでるなど、大きくバラつくこととなりました。従って、発効予定日にも地方により10月1日から11月初旬までと、ひと月のズレがでることが見込まれます。
この間、各地方では、署名や駅頭・街頭での宣伝、ハンガーストライキ等の長時間座り込み行動、労働局要請・意見書提出、最賃委員との懇談、使用者団体との懇談、自治体意見書採択運動などを展開してきました。
「最低生計費試算」は四国の仲間があらたに取り組み、最賃大幅引き上げの要求を地方から強化しました。また、「最賃生活体験」も各地で取り組まれ、大阪の青年は報告をまとめて中賃に提出しました。
神奈川では昨年開始された最賃裁判の原告を100人規模に増やし、原告不適格の門前払いを突破して、裁判を「厚労省のごまかし生活保護・最賃比較算定問題」という核心へと突入させました。
地方最賃審議会専門部会の委員任命では課題が残るものの、審議会に参加しての意見陳述は15地方で実施されました。
2012年度の最賃闘争は、二桁台の目安実現はかないませんでしたが、「生活できる賃金の実現」をめざす最賃底上げ運動への共感を広げることに成功し、財界・使用者側が固執した「最賃改定1円どまり」のもくろみを突破して、各地で目安を大きく乗り越える成果を勝ち取りました。新最賃発行時には、賃上げ周知の宣伝とあわせた組織拡大の取り組みを大きく成功させ、2013年春闘への攻勢的流れを作って行きましょう。
【今後の主な日程】
・ 9月21日(金)11:00〜 公契約適正化運動交流集会 @全国家電会館講堂
・10月25日(木)11:00〜 2013年度・年次総会 @全労連会館ホール
・11月15日(木) 12秋年闘争「11・15中央行動」
「諸要求実現11・15総決起集会」 @日比谷野外音楽堂 ほか
・11月28日(水)〜29日(木) 2013年度国民春闘討論集会 @静岡県伊東市ハトヤホテル