大黒作治代表幹事(全労連議長)は開会あいさつで、内需拡大による景気の立て直しとデフレからの脱却が求められている今、賃上げと雇用の拡大こそがデフレ不況脱却の土台となることを強調。大企業が貯め込んだ267兆円にも上る内部留保を国内に還流させるためにも、賃上げ、下請け単価の改善、非正規から正規雇用への転換などを求めていくことをのべました。そして、安倍内閣が目論む「改憲」を許さない運動を強め、大震災を風化させず、原発なくせ、TPP交渉参加反対、オスプレイ配備反対、米軍基地撤去のたたかいなどでも国民的共同を広げ、要求実現に向け攻勢的なたたかいを展開していくことを訴えました。
小田川事務局長が2013年春闘方針を提案
小田川義和事務局長(全労連事務局長)が「2013年国民春闘方針案」を提案。まず、秋季年末の取り組みと情勢について補足し、「消費税増税、年金引下げ、不当なリストラ『合理化』など、財界・政治に対する国民の怒りは広がっている。共同を広げ13春闘でも奮闘しよう」と呼びかけました。また、財界がグローバル化の名のもとに、定期昇給実施の方法について議論を始めていることに言及し、「13春闘では、賃金抑制、雇用破壊に対し反撃を強めることが必要だ」と強調しました。
「変えよう 職場・地域と政治、勝ちとろう 賃金・雇用・くらしの改善」をスローガンとし、賃金闘争の課題では、「誰でも月額1万円以上、時間額100円以上」の賃金改善と、「誰でも月額16万円以上、日額7,500円以上、時間額1,000円以上」の最低賃金要求を掲げ、積極的な賃上げを求めていくことなどを提案。2月中の要求確立と提出、ストライキをはじめとする実力行使確立の課題に「消費税増税中止、社会保障改悪反対などの『くらしを守る要求』を含めることを呼びかけました。3月13日を集中回答日とし、13日、14日の両日で『50万人総行動(くらしを守る総行動)』を展開し、職場・地域の双方で、「目に見え、音が聞こえる春闘」を作り上げていこうと提起しました。
いのち・くらしを守る春闘に
討論では各組織の代表10人が発言しました。
全農協労連・国分書記長は、秋季年末闘争において、多くの支部で前年を上回る年末一時金を獲得したことを報告。また、被災地の生業の再生、消費者に「安全・安心な食」を届けるために奮闘している仲間の取り組みを語り、TPP参加反対では、県単位から地域まで共同の広がりをみせていることを紹介しました。春闘アンケートで、『食』を生業とする農協で働く仲間の「57.8%」が、「食費を切り詰めている」ことを挙げ、13春闘では、賃金要求を重視して、要求実現のために春闘共闘に結集し声をあげていく。この間の「TPP参加反対」の共同をさらに広げていく。そして、原則的なたたかいを進め、春闘期から日常的な組織拡大に繋げていくと表明しました。
全労連・女性部の大西事務局長は、女性の平均賃金が男性の約半分となっている。その原因は、女性の管理職比率が低く、コース別人事制度や雇用形態をいくつも分けて、女性を一般職や非正規雇用などに追いやっているからだと指摘。長時間・過密労働の実態の中、女性が出産を契機に仕事を辞めざるを得ない状況などについて語り、全労連・女性部では、「権利を使える職場をつくって行こう。そのために様々な権利について、組合員問わず、裾野を広げて知ってもらって、語り合っていこう」と意思統一をした。男女雇用機会均等法の見直しが進められているが「男女ともに仕事と生活を両立して、自分らしく働ける法整備」を求めていくと決意をのべました。
「組織の拡大・強化とくらし、雇用に『全力投球』」を掲げ、13春闘に臨むJMIUの川口副委員長は、「『春闘再生』でくらしと雇用をまもりきる春闘」「組織建設春闘」「世直し春闘」の3つの大きな目標を立てたたかう確認をしたことを報告。昨年末、1月と2次にわたり各地で春闘討論集会を開催し、要求を土台としたたたかいで「くらしを守りきる」決意を表明しました。春闘アンケートでは、76%もの人々が「企業の将来展望への不安」を回答しており、金融円滑化法期限切れや賃金が上がらないことへの不安など、アンケートの背景にある思いをたたかいに結び付けていくことの重要性を強調しました。
自治労連の熊谷中央執行委員は、安倍政権が地方交付税の削減で自治体に賃金削減を強要しようとしていることを告発。昨年から引き続く確定闘争と春闘を統一したたたかいとして展開していく。安全・安心の自治体づくりを全面に掲げ、公務員攻撃を跳ね返し、職場から、地域から官民共同でたたかいを進めていく決意をのべました。
全教の今谷書記長は、国家公務員の賃金削減や退職手当の削減の動きに対して、職場から大きな怒りの声があがっており、組合所属の有無や所属の違いを超えて、署名などが大きく広がっていることを紹介し、賃金削減を許さないたたかいを春闘期から強めていくと語りました。そして、「子ども達のいのち・くらしが大切にされる学校にするための教育論議を深めていくことに力を入れていく」と表明しました。
出版労連の寺川書記長は、この間、「ディーセントワーク」を合言葉に取り組んできた。今春闘では、これに加えて「共に働く非正規の仲間の正規雇用化、格差の是正をめざしてたたかう。また、言論の自由、教育の民主化、平和を守るために、「憲法改悪反対ストライキ権」を提起し、たたかいを強めていくと意気高く発言しました。
国公労連の九後書記次長は、「すべての労働者の賃上げ・安定した雇用の確保で国民春闘を構築していく」「生活と労働の実態を踏まえた要求の実現、雇用と権利を守る」「組織強化」を柱として13春闘をたたかっていく。職場と地域の双方で、官民共同の取り組みを強め、「50万人総行動」では、組合員の半数は動員しようと提起し、先頭に立って奮闘していく決意を語りました。
通信労組の菅原副委員長は、昨年11月にNTTが発表した「中期経営戦略」が、内需拡大に向けた雇用確保と生活向上ではなく、国内で4000億円ものコスト削減を行い、これを原資にグローバル事業強化を図ろうとしていることに言及。その一環として改正高齢者雇用安定法を口実に、経団連の意向を先取りして、65歳までの人件費確保のために、30代から60歳までの基本賃金を引き下げるという暴挙を許さないたたかいと、公共通信と国民の安全を守る取り組みについて発言しました。
東京春闘共闘の柴田書記次長は、9回目となる自治体キャラバンなどの運動の成果で、東京では、多摩市、渋谷区、国分寺市の3自治体で公契約条例が制定され、世田谷区、足立区でも取り組みが前進している。公契約条例が制定された自治体では、賃金改善に繋がっており、一層の取り組み強化が求められていることを強調しました。また、中小企業パンフレットを活用した懇談で、中小企業者との協力共同が広がっていることを報告。3月1日に行う全都駅頭での宣伝行動を成功させ、地域から「目に見え、音が聞こえる春闘」を作り上げていくと力を込めました。
民放労連の安部副委員長は、生計費原則に基づいた賃金要求で、(1)有額ベア獲得、(2)半年収アップ、(3)初任給アップ、(4)構内最賃協定の締結を今春闘で勝ち取る決意を述べました。昨年10月に立ち上げた「非正規労働者組織化プロジェクト」を発展させ、13春闘でも格差是正の取り組みに力を入れていくことを表明しました。
討論のまとめで小田川事務局長は、春闘のたたかいの本格化を前に、(1)官民問わず職場の繁忙度が強まっているが、春闘期こそ学習・論議の場をできるだけ多く持つこと、(2)この間の運動の成果に確信を持ちたたかうこと、(3)非正規雇用問題に力点を置き共同の取り組みを具体化していくこと、(4)繰り返しの学習を行い粘り強くたたかうことが、組織の強化・拡大に繋がり、要求を前進させていくことを強調し、13春闘勝利に向け意気高くたたかおうと呼びかけました。