大黒作治代表幹事の開会あいさつ
13春闘を闘う単産・地方代表者会議開催にあたって、ご挨拶を申し上げます。
年末の総選挙の結果、国民の多くが3年数か月にわたる民主党政権に失望して投票率も下がり、自民党が議席を大きく伸ばして公明との連立政権を発足させ、安倍首相の再登場となりました。
自民党は比例区で56議席、小選挙区で234議席を獲得しましたが、小選挙区での得票率43%で議席の8割を獲得し、多数の民意を切り捨てる小選挙区制の問題点が改めて浮き彫りになりました。
さて、13春闘は、長い間続いている不況とデフレ経済の中で、内需拡大による景気の立て直しとデフレからの脱却が求められています。
そのためには、第1に、賃上げと雇用の拡大こそ景気回復と内需拡大のカギを握っているのであり、13春闘は、「誰もが1万円以上、時間額100円以上、最賃1000円以上」の要求実現に向け、対企業、政府、経済界に迫ります。また、最賃の大幅引き上げや各地で広がりつつある公契約制定運動を発展させるために、前段での地域行動、ヤマ場での50万人行動など集中した行動を展開し、国民の目に見え、音の聞こえる行動を成功させたいと思います。
安倍首相は、日本経済を再建するために「緊急経済対策」に「三本の矢」として「大胆な金融政策」、「機動的な財政政策」、「民間投資を喚起する成長戦略」でデフレ経済から脱却して、2%の物価上昇が必要だと言い、28日から始まろうとしている国会には、13兆円規模の補正予算を組むことを明らかにしています。しかし、景気の回復が一向に進まないのは、この15年間に資本の経常利益は163%増えたのに対して、雇用者報酬は88%に減少しているからであり、13春闘はその悪循環を断ち切り、デフレ脱却の土台である賃上げ要求の実現に向けた攻勢的な闘いが必要です。
第2に、財界・大企業に対して267兆円の大企業の内部留保を賃上げ、下請け単価の改善、非正規を正規雇用へと転換することなどで国内に還流させ、社会的責任を果たすよう求める国民世論を高めることが必要です。
昨日の東京新聞の社説では94年から08年までに大企業・製造業と中小企業・製造業の賃金格差は、1・6倍から2・2倍へと広がり、「年収5百万円から1千万円の中間層はバブル崩壊後の28%から20%近くに減少した。」「中間層の崩壊を放置するようでは、日本経済を元気づける道が著しく狭まる」と指摘し、安倍首相には、「腰を据えて経済界に協力を要請すべき」と注文しています。
しかし、22日に発表されると言われている今年の経団連の「経労委報告」は、「労使一体となって危機に立ち向かう」として、「ベアの余地はなく、定昇実施の取り扱い」が主要な論点と主張しています。また、最賃についても「目安額を大幅に上回る額で結審」していることが「異常事態」だとの認識に立って、「最低賃金決定のプロセス」を問題にしています。
国民の購買力が下がり続けて物が売れずデフレ経済が続いているもとで、非正規雇用は1800万人、ワーキングプアは1000万人を超え、完全失業者は271万人、生活保護受給者は214万人、連続して14年間自殺者は毎年3万人を超えるという深刻な実態の改善こそ必要です。安倍内閣のもとで物価は上がったが雇用や賃金が悪化したのではますます国民生活は危機に陥ります。デフレからの脱却は、単に企業内での賃上げにとどまらずに、最賃の大幅引き上げ、社会保障制度の拡充など国民の生活改善に向けた闘いに発展させることが必要です。
第3に、改憲を許さず、憲法9条を守り、生存権、教育権、勤労権、団結権など憲法を守り、いかす闘いを国民的に発展させることが13春闘の重要な課題となって来ました。
安倍首相は、7月の参議院選挙で3分の2以上確保して、憲法96条にある改憲発議で「国防軍」の創設や「基本的人権の制限」など改憲に挑もうとしています。しかも、新年早々極右の「日本維新の会」代表でもある橋下大阪市長に会いに大阪へ出向くなど改憲への足固めを着々と進めようとしています。
しかし、就任直後から侵略戦争に深い反省を示した村山談話や「慰安婦」問題でも国の責任を明らかにして謝罪した河野談話を何らかの形で書き換えることを発表して、韓国、中国、イギリスやアメリカなどからも、極右だ、国粋主義だと警戒感が強められています。
安倍内閣がめざす復古調の政治は、歴史の逆行であり、多くの国民はその復活を望んではいません。全労連・国民春闘共闘は「改憲」を許さず、憲法を守り生かすために、「安全・安心社会」をめざして、春闘を国民的な運動とも結合して発展させたいと思います。
第4に、財界とアメリカ言いなり政治の強行は国民との矛盾をさらに深まることは必至です。先の総選挙では、原発問題もTPP参加問題も何一つ決着はついておらず、安倍内閣は再稼働推進、TPP交渉参加の姿勢が鮮明になってきています。オスプレイを強行配備された沖縄では、米軍空軍長官が記者会見で嘉手納への配備も予定していることが明らかになり、相次ぐ暴行事件、辺野古の埋め立て申請が最終段階にあるなど県民の怒りは沸点に達しています。
41市町村長や議員などの代表団100名が上京し、オスプレイ配備撤回、普天間基地撤去を求めて、総理直訴・1・27東京行動を成功させるための準備が進められ、沖縄と連帯し、基地撤去の闘いも大きく発展しようとしています。また、大震災を風化させず、原発なくせなど国民的課題での一点共闘はさらに大きく広がろうとしています。
今年は、6月には東京都議会選挙が、7月には参議院選挙がおこなわれる年です。13春闘を賃金・権利要求を前進させ、憲法改悪を許さず、原発なくせ、内需拡大による景気の回復をと願う多くの国民との共同をさらに発展させたいと思います。職場と地域、産別と地方で春闘と国民的課題を政治の転換へと結ぶ取り組みに発展させるために、積極的な討論をお願いしてあいさつとします。