全国131事業所で293人がスト突入
通信産業労働組合(通信労組)は14日、NTTグループ各社の「ゼロ回答」に抗議し、全国31都道府県、131事業所で293人の組合員が始業時から10時までのストライキを決行しました(東京・NTT持株会社は正午まで)。
NTTでは、2012年3月期の連結決算で営業利益が1兆2千億円を超え、内部留保は9兆5461億円にも達し、株主配当は右肩上がりとなっています。一方、10年以上も賃上げはなく、「成果・業績主義」賃金制度や若者世代からの賃下げを伴う「処遇体系の再構築」施策で、一層のコスト削減を推し進めようとしています。
春闘回答指定日の13日、NTTグループ各社は、「月額3万1千円、非正規雇用労働者の時間賃金240円以上の引き上げ、60歳越え契約社員・非正規労働者の処遇改善など」の通信労組の要求を受け入れようとはしませんでした。
約100人が参加し、東京・大手町のNTT持株会社前で行われた「ストライキ総決起中央集会」には、公務・民間・地域の仲間が激励にかけつけました。主催者あいさつに立った通信労組・宇佐美委員長は、「ため込んだ内部留保のわずか3.4%を取り崩すだけで賃上げ要求への満額回答は出来る」と強調し、「大企業としての社会的責任を果せ」と力を込めました。激励にかけつけた仲間や東京支部の代表らが次々とマイクを取り、賃金削減やリストラ「合理化」、遠隔地配転などを推し進め、社員をないがしろにするNTTに対し怒りの声をあげました。
京王新労が終日ストライキ!
全日本建設港運一般労働組合(建交労)の京王新労組は3月6日以降、ベアなどの要求実現にむけて数度の団交をおこなってきました。しかし会社は利益をため込んでいるにもかかわらず、「応じられない」の連発。定昇は実施するとしていますが55歳以降は賃下げになってしまいます。また、16時間拘束の長時間労働で過労死も生じており、労組は労働者の健康とバスの安全運行のためにも改善をめざしていますが、この点でも誠意のない回答だったため、3月14日5時の始発から翌15日1時の終車までのストライキに突入しました。
ところが、多数派の連合労組はベア要求をおこなわないばかりか、他の営業所の連合労組役員がバスに乗車するスト破りをおこなっており、連合労組への批判が高まっています。
この日、10時からは組合員と支援者約50人の参加で「ストライキ集会」が京王バス小金井営業所前で行われました。
冷たい北風の中でしたが、京王新労組・佐々木委員長が「組合の力で企業に賃上げを実施させ、デフレの脱却をはかろう」と力強く挨拶。全労連・高橋副議長は「首相が財界に賃上げを要請し、マスコミも賃上げが必要だと報道するまでになっている。たたかいぬいて大幅な賃上げを勝ちとろう!」と激励。
自治労連、国公労連、全教、交運共闘、東京春闘共闘、三多摩春闘共闘、府中労連、八王子労連、JAL争議団などからの連帯挨拶があり、連合労組一般組合員からは「がんばってほしい」「ともにたたかいたい」などの激励メッセージもよせられました。
京王新労組の仲間は国分寺で行われた「三多摩統一ストライキ集会」にも結集し、ストライキを貫徹しました。
建交労・鉄道が東京・奈良でスト決起!
JR東日本は民営化以降、営利第一主義を追求し大幅な要員削減を進め、内部留保を2兆73億円もため込んでいます。また、首都圏・大都市圏を中心に輸送障害・輸送混乱が多発する事態となっています。
14日、JR東日本とグループ会社に対し、賃上げや公共交通の安全を求めて建交労鉄道東京地方本部の仲間が午前7時から午後6時までのストライキに立ち上がりました。
JR上野駅前で行われたストライキ突入集会には各単産・地域の仲間ら約100人が参加。国民春闘共闘から小田川事務局長(全労連事務局長)が連帯参加し「デフレ不況克服のためには賃上げが必要だ。このストライキ闘争は重要な意味を持つ」と鉄道本部の仲間を激励しました。ストライキに突入した仲間を代表してマイクを握った永渕・新橋分会分会長は「契約社員を4年で雇止めした後、下請け会社で再雇用して労働条件を切り下げるといったことは許せない」、「賃上げとともに安全確保のための人員確保を行え」と切実な要求を訴えました。
この日は、奈良でも5人の仲間が午前0時から午後8時までの20時間ストライキに突入し、午前9時からJR奈良駅前で行われたストライキ突入集会には支援者ら約50人がかけつけました。
「いのちまもる全国統一ストライキ・行動」1万人が決起
日本医療労働組合連合会(日本医労連)では、賃上げや増員、夜勤改善などの要求をかかげ、全国で70以上の単組・支部、約5000人がストライキを実施したのを始め、職場集会や署名・宣伝行動など150を超える単組・支部で1万人が決起しました。
全労災では深夜1 時まで粘り強い団交を行いましたが決裂、24 支部で約1000 人がストライキに入り、全日赤は、組合の要求に応えないことに抗議し全国30 単組1400 人が行動、うち17 単組でストライキを実施しました。東京民医労南部医療支部では、ベア回答が出たものの職種限定の上にベアそのものが低いことに抗議し、早朝1 時間ストを実施しています。
(医労連速報‘13春闘 No15より)
すべての労働者の賃上げを!
2013年三多摩統一ストライキ集会は、冬に逆戻りしたかのような寒空の下、都立武蔵国分寺公園の芝生に300人が集まり、意気高く行われました。
主催者挨拶にたった宮信晴・JMIU東京地本西部地区協議会議長は「デフレ脱却には賃上げしかないという主張が政財界含めて大きく広がっている。これは私たちの長年の運動の成果」と評価した上で、「将来不安がなくならなければ、一時金では消費回復につながらない」と訴えました。
連帯してたたかう仲間を代表して、全労連・渡辺事務局次長、東京春闘共闘・松本事務局次長、JMIUの生熊中央執行委員長があいさつ。
渡辺氏は、「連合の春闘労使一体とも言える『一時金シフト』に対し、派遣、アルバイト、パート含むすべての労働者の賃上げを掲げる全労連の真価が問われる春闘だ」と述べ、「すべての労働者の賃上げ実現、安定した雇用の確保、リストラ合理化反対、地域経済を守るたたかいを強め、大増税、TPP参加、原発再稼働、憲法改悪に反対し国民諸階層との一点共同を広げ国民春闘を作り上げていこう」と訴えました。
つづいて、終日ストライキをたたかっている建交労・京王新労組から佐々木仁委員長が決意表明。東京自治労連西野副執行委員長が「官民力をあわせてたたかおう」と連帯と決意を表明し、国分寺地区労の朝倉議長が「市と建設組合、土建の3者で10年間検討した公契約条例が昨年12月に施行された。市の予定価格に加え、企画力、提案力、技術力を加味して調達先を決めることができ、安全、安心な公共工事と労働者の待遇が保障されることになった」と紹介しました。09年に職務職能給を強引に導入され、この間平均基本給で2万円下がったリオン支部の杉本書記長は「労働委員会で会社は平均年齢も2歳下がっていると主張している。1歳で1万円の賃金差があるなら6000円、7000円の賃上げでは平均賃金が下がるのはあたりまえだ。下がった賃金回復と制度改善を実現する」と決意を述べました。
集会終了後、参加者は国分寺駅までデモ行進し、市民に春闘アピールをしました。