2013国民春闘共闘情報
全労連HP

第24号 2013年4月1日

2013年春闘・第2回進ちょく状況調査

粘り強いたたかいで要求前進

 国民春闘共闘委員会(全労連、純中立労組懇、地方共闘などで構成)は3月29日、加盟全単組を対象とした第2回の「春闘進ちょく状況」調査を実施し、19単産(2451組合)から報告が寄せられました。

1.要求提出状況
 これまでに、別表の19単産から報告が寄せられました。交渉単位では、2451組合となります。うち、3月29日段階で要求提出が確認できた組合は、1521組合(62.1%)です。要求提出100%の単産は、第1回調査で確認した通信労組、全損保に、検数労連、郵政産業ユニオンが加わりました。これに金融労連(94.1%)、全倉運(92.5%)が9割台で続き、以下、合同繊維(83.3%)が8割強、特殊法人労連(77.8%)、出版労連(77.7%)、民放労連(77.6%)、化学一般労連(75.6%)、JMIU(77.2%)が7割台、日本医労連(67.3%)は7割弱、建交労(57.7%)、全印総連(53.3%)は5割台となっています。
 要求提出率は、第1回調査(3月15日現在:1386組合・56.2%)に比べて、全体で135組合・5.9ポイント上昇しました。生協労連(21.5ポイント)、民放労連(20.0ポイント)、全農協労連(13.4ポイント)、映演労連(12.5ポイント)、化学一般労連(8.9ポイント)、日本医労連(4.6ポイント)、全倉運(2.5ポイント)、建設関連労連(2.4ポイント)、JMIU(1.4ポイント)、建交労(1.3ポイント)、全印総連、出版労連(各1.0ポイント)など各組織で要求提出率が上がっています。
 前年同期(1699組合・62.6%)と比べると、今の時点で178組合下回っていますが、比率ではほぼ同水準となっています。比較可能な17単産のうち、前年同期比でプラスとなったのは生協労連(19.2ポイント増)、日本医労連(8.2ポイント増)など5単産。4単産は前年と同様100%の要求提出です。しかし、前年同期より要求提出が下回っている組織が8単産あり、4月交渉での奮起が望まれます。

2.スト権確立状況
 ストライキ権を確立したのは、950組合(38.8%)で、第1回調査から56組合・2.5ポイント増えましたが、例年に比べて高水準だった前年同期(1541組合・56.8%)よりもかなり減少しています。この点については、例年、高いスト権批准の報告がある単産の集約状況の問題もあるので、厳密な検討は後に行なうこととなりますが、比較可能な17単産でみれば、10単産が前年同期以上の水準となっています。全単組でスト権を確立しているのは、前年同様、検数労連、通信労組、全損保、郵政産業ユニオンで、これに特殊法人労連(77.8%)、JMIU(77.2%)が高率で続いています。

3.回答引出し状況
 
要求提出した組合のうち、回答を引き出したのは727組合(47.8%)となりました。これは前年同期比でみると率で4.2ポイント上回っています。回答引出し率の高い単産は、単一組合の通信労組と郵政産業ユニオン(各100%)、全印総連(82.5%)、出版労連(81.3%)、生協労連(77.9%)、民放労連(75.3%)で、これらに建設関連労連、JMIU、化学一般労連が6割台で続いています。
 第1回調査(495組合・35.7%)との比較では、3月27日を回答指定日に設定した全倉運で18組合が回答を引き出したほか、3月25日から27日を「回答促進ゾーン」に設定した日本医労連(58組合)、3月25日の週を「早期決着をめざす産別団交と職場激励行動ゾーン(ストを含む)」に設定したJMIU(31組合)や、民放労連(38組合)、生協労連(28組合)などで数字を伸ばし、232組合・12.1ポイント増加しています。集中回答日以降も、各職場でストライキなど実力行使も背景に闘争強化をはかり、粘り強い交渉により、回答引き出しを迫っていることがうかがえます。ただし、それでも、過半数に達していない状況であり、一層の取り組み強化が求められます。

4.回答の内容
 
回答の内容について、<定昇制度あり>の職場(374組合)からみていくと「ベア獲得」は前回調査時(42組合)から、日本医労連(7組合)、民放労連(3組合)、出版労連(2組合)、全農協労連、建交労、建設関連(各1組合)の計15組合増え、57組合(回答組合中15.2%)となりました。これは前年同期(36組合・8.4%)を21組合・6.8ポイント上回っています。「ベアゼロ・定昇のみ」回答は、前回調査同様、多数(307組合・82.1%)ですが、これは前年同期(385組合・89.5%)に比べれば78組合・7.4ポイント下回っています。
 <定昇制度なし>の職場(回答あり114組合)では、「有額獲得」が87組合(回答組合中76.3%)と多数で、その比率は前年同期(84組合・63.6%)を12.7ポイント上回っています。また、「ゼロ回答」は前回調査の25組合から2組合増え27組合(回答組合中23.7%)となり、前年同期(48組合・36.4%)と比べると21組合・12.7ポイント減少しました。
 このように、全体としてみれば、「ベアゼロ・定昇のみ」の回答が多数ではありますが、前年に比べると、ベア回答と有額回答は上回っています。奮闘の成果に確信を持ち、今後の上積み交渉や春闘後半戦の勝利につなげたいところです。
 ただし、そうした中でも賃金カットの提案が10組合あることには注意が必要です。業績悪化が主な要因ですが、中にはNTTにならって年金支給開始年齢の引き上げに対応した高年齢者の雇用確保のためとして、賃金体系を改悪して中堅層から59歳までの賃金水準を引き下げる提案も見られます。生涯賃金を固定、もしくは引き下げて、勤続年数は長期化させるという不当な一方的労働条件改悪を許さないたたかいが必要です。

5.平均賃上げ額・率と妥結状況
 
回答があった727組合のうち、額または率の掲示があったのは545組合です。平均賃上げは、単純平均(組合ごとの平均)で5,311円(19.4%)となり、前回調査(5,110円・1.82%)から額で201円、率で0.12ポイント上昇しています。前年同期(5021円・1.92%)との比較では額で209円、率で0.02ポイント上回っています。
 単産別の状況をみると、建設関連労連、民放労連、日本医労連が2%以上の比較的高い賃上げ率を引出しています。また、前回調査からの推移では、建設関連労連(平均872円増)、JMIU(平均141円増)、生協労連(平均141円増)、日本医労連(平均125円増)、民放労連(平均111円増)などで平均額の増加が確認されます。
 この段階で妥結、もしくは妥結方向との報告があがっているのは、要求提出組合の5.1%にあたる77組合です。前年同期(105組合・6.2%)に比べると少ない点は、引き続き上積み交渉をしていこうとする組合が多くなっている傾向の反映とみられます。

6.ストライキ実施状況
 
ストライキ実施状況は、のべ293組合となり調査組合の12.0%に達しました。JMIU、日本医労連、全印総連、民放労連では前年同期を上回る実施率となっています。
 3月14日の全国統一行動日以降、19日に郵政産業ユニオンが全国26職場でストライキに決起したほか、JMIU、全印総連、民放労連などの加盟組合がストライキを敢行しています。

7.現段階の状況と春闘後半戦
 
現段階でみると、要求提出と回答の引き出しは前年並みながら、回答は額・率、ベア獲得組合数ともに前年を上回る傾向を示しています。それでもストライキの実施が増え、妥結率が低めであるということは、各職場で実力行使の準備を背景に、納得のいく回答が出るまで粘り強く交渉を積み重ねていることを示すものです。
 ただし、4月に入り、「アベノミクス」効果で物価が上昇し始めています。インフレ率を上回る賃金引き上げがなければ、生活が一層苦しくなるのは目に見えています。燃料や光熱水費、原材料費の上昇は、経営にもコスト高の悪影響を及ぼしますが、春闘後半戦における職場の交渉では、こうした情勢変化もふまえながら、賃金引上げ・労働条件の改善を勝ち取ることが必要となります。
 加えて、春闘後段の取り組みでは、消費税増税阻止、TPP交渉参加反対、「ホワイトカラー・イグゼンプション」や「解雇規制の緩和」、「派遣法の再緩和」などの労働法制改悪や生活保護改悪、年金カットを許さない取り組みの強化をはかり、賃金底上げの土台となる最低賃金の大幅引上げ・公契約適正化、パート法改正や均等法改正を前進させることが重要です。
 全労連・国民春闘共闘委員会では、4月11日(木)に中央行動を配置し、消費税増税阻止、TPP参加反対、金融円滑化法廃止による首切り「合理化」反対、中小企業支援拡充、労働法制改善実現・改悪反対、公務員の賃下げ撤回・阻止、年金・介護・医療等の社会保障の改悪阻止などの制度闘争での前進に向け、政府・国会に対し要求行動を展開します。
 春闘勝利に向け、職場・地域から積極的なたたかいを展開していきましょう。

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