2013国民春闘共闘情報
全労連HP

第28号 2013年4月15日

2013年春闘・制度的諸要求(中間集計①)

改正高年法・労契法に関わる要求も前進

 国民春闘共闘委員会(全労連、純中立労組懇、地方共闘などで構成)はこのほど、2013年春闘における制度的諸要求(パート等処遇改善、企業内最賃、時短、各種休暇など)の獲得状況をまとめました。4月8日現在、11単産1地方304組織(連合会・単組・支部などの交渉単位)から報告が寄せられ、687件の条件改善を獲得しています。生協労連や日本医労連、秋に制度諸要求獲得の取り組みを強めているJMIUが全体をけん引しています。

時短関係
 時間短縮・休暇・残業関係では49組織が57件の要求前進を獲得しています。前年同期(2012年4月10日時点)と比較すると、15組織21件増えています。特に休日休暇、育児休業・休暇に関する項目で多くの成果を獲得しています。
 所定内労働時間の短縮では日本医労連の職場で「夜勤の勤務時間10分短縮」を獲得。休日休暇に関する要求では、「時間単位の有給休暇取得」(建交労)、「失効年休の積立制度導入」(生協労連)、「服喪特別休暇を1日延長」(民法労連)など23組織で26件の制度改善を新たに実現させています。育児休業・休暇関係では、「育児時短の期間を小学校就学時までとする」(出版労連)、「育児時短短縮勤務の時間を2時間から4時間に延長」(大阪・化学一般労連)など15組織が18件の要求実現を果たし、看護・介護休業関係では「年5日の家族介護休暇新設」(JMIU)、「介護休職期間を勤続年数に加算」(生協労連)など5組織が6件の制度改善を勝ち取っています。
 また、「5局長通知を受け、労働時間管理者(職場責任者)を明確にさせた」(日本医労連)などの報告も寄せられています。

パート等賃上げ・労働条件改善
 これまでに、パートやアルバイト、契約社員などの賃上げを獲得したのは88組織で126件となっており、前年同期(61組織98件)を27組織28件上回っています。生協労連での65件を筆頭に、日本医労連(34件)、JMIU(8件)、全印総連(7件)がつづいています。郵政産業ユニオンでは昨年に引き続き「月給制契約社員のベア2,000円」を獲得しました。
 改正労働契約法とも関わって、正社員化や無期雇用化の要求前進が20組織から21件報告されています。そのうち正社員化を勝ち取ったのはJMIUで3件となっています。生協労連、日本医労連では「パートなどの無期雇用化」「無期雇用化・正社員登用への期間短縮」の取り組みが前進しています。差別禁止に関する要求では「契約社員の労働条件は社員に準じる」(出版労連)、など12組織16件が獲得しています。

最低賃金・年齢保障・初任給・格差是正
 企業内最低賃金協約を締結したのは57組織62件となっており、現段階では前年同期から倍加しています。建交労の首都圏運輸基本集団交渉では、あらたに4組合が18歳最賃の引き上げを獲得し全12組合で要求額に到達。JMIUの職場では月額19万円、化学一般労連では月額17万350円・日額8,210円・時間額1,090円、全印総連で時間額1,000円など、全労連・国民春闘共闘の統一要求賃金目標である「月額16万円・日額8,000円・時間額1,000円以上」に到達している報告も多数寄せられています。
 初任給増額などによる格差是正を獲得したのは、日本医労連(10件)、JMIU(4件)、大阪(4件)生協労連、出版労連(各1件)の17組織で20件となっています。
 これらの成果を生かし、法廷最賃の引き上げやパート法の抜本改正、男女雇用機会均等法の実効ある改正など、春闘後半戦では賃金・労働条件の底上げをはかる運動の強化が重要となってきます。

社会保障・母性保護・労災対策・安全衛生関係
 社会保障の負担割合に関する前進回答は現段階で出版労連の1件に止まっています。育児休業・休暇などを除いた母性保護関係では「異常妊娠に起因する疾病は4週間を限度に有給保障する」(出版労連)、「すべての女性を対象として『マンモグラフィー検査』『子宮がん検査』を人間ドックの検査項目に追加する」(民放労連)、「出産休暇の増日」(JMIU)など4組織から5件の報告がありました。
 労災補償の上積み獲得は建交労(8件)、JMIU(5件)の12組織13件となっています。安全衛生関係ではJMIUが30件と多数となっています。「職場の修繕」「安全パトロールの実施」など職場内での環境改善に加え「セクハラ・パワハラ対策改定」、「特定個人に業務が集中しないように配慮」など心と体のケアに関わる要求も前進させています。民放労連の職場では「復職支援制度取扱規則の新設」や「メンタルヘルスに関するセミナーを開催」などメンタルケアに関する取り組みが進んでいます。

人員増・雇用延長・退職金など
 人員増要求での前進は、JMIU(17件)、日本医労連(4件)、民放労連(2件)、大阪(1件)の計20組織24件で、主に新卒採用による人員増の報告となっています。
 定年・雇用延長の条件改善では、改正高年齢者雇用安定法とも関わって、建交労(2件)、JMIU(1件)、「65歳まで再雇用」協定を締結し、「再雇用対象条件の廃止」、「希望者全員の継続雇用」など21組織で24件となり、労働条件の改善なども含めると43組織で52件のとなっています。また、「61歳に+5万円」、「無年金者に月額賃金の2ヵ月分支払う」(JMIU)、「継続雇用者の時給支給率を70%から75%へアップ」(日本医労連)、「定年後職員の時給を1,100円に」(福祉保育労)など年金支給開始年齢の引き上げとも関連した要求の獲得も報告されています。退職金関係では建交労、JMIU、生協労連、大阪から4組織6件となっています。
 その他の要求の125組織176件の多くは「諸手当の上積み」や「期末一時金の獲得」ですが、「産業政策提言への賛同」(全印総連)、「事前協議・同意協定の締結」(JMIU)などの報告も寄せられています。

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