2013国民春闘共闘情報
全労連HP

第34号 2013年5月30日

許すな!労働法制の規制緩和

最低賃金の大幅引き上げを

5・28中央行動 第1次最賃デー

 全労連・国民春闘共闘委員会は28日、東京春闘共闘と共同で、労働法制の規制緩和やTPP交渉参加、消費税大増税、社会保障の大改悪を阻止し、最低賃金の大幅引き上げと全国一律最低賃金制度の確立、公契約法・条例の制定、公務員の「賃下げ法」廃止、公務員賃金改善、すべての働く労働者の働くルールの確立などを求めて「5・28中央行動」にとりくみました。都内4ヵ所での早朝宣伝を皮切りに、厚生労働省・人事院前要求行動、日比谷公会堂での労働者総決起集会、国会請願デモ、国会議員要請などを終日展開し、全国から1,000人が結集しました。

〜「アベノミクスの正体見たり!労働ビックバン許すな、最賃改善」早朝宣伝〜

写真 「5・28中央行動」は早朝宣伝からスタート。都内4ヵ所(東京労働局前、日比谷公園噴水前、虎ノ門、新橋駅SL広場前)で、出勤する人々などに、安倍政権が目論む労働法制の規制緩和の危険性、最低賃金の大幅引き上げと全国一律最低賃金制度の必要性を訴えました。
 新橋SL広場前での主催者あいさつにたった国民春闘共闘の大谷充代表幹事(出版労連委員長)は、「日本経済を立て直すには、国民所得の引き上げによる内需の拡大が必要だ。そのためには賃金の引き上げ、雇用の安定、社会保障を充実させることが重要だ」と語り、「成長戦略」の名のもとに働くルールの破壊を目論み、原発輸出やTPP交渉参加、改憲策動を強めるなど、国民生活を壊す政策を推し進める安倍政権を痛烈に批判しました。
 その後、各組織の代表がマイクを握り、「アジア諸国では最低賃金を上げ、ヨーロッパでは時間額1,000円以上は当たり前だ。日本は先進国の中でもっとも遅れた国となっている」(全労連・全国一般・林博義特別中央執行委員)、「雇用が不安定で低賃金の労働者がさらに増えれば、消費は冷え込み、税収も社会保険料も減る。結婚率は下がり、少子化問題も深刻化する。国がリードして行える最低賃金を引き上げることが重要だ」(自交総連・菊池和彦書記次長)、「物の値段は同じなのに、地域により200円近くも最低賃金に差があるのはおかしい。アジアや欧米では全国一律が当たり前だ」(生協労連・柳恵美子副委員長)、「安倍首相の言う『企業が世界一活動しやすい国』というのは、労働者の解雇が自由にできる国、タダ働きをさせ放題の国であり、ブラック企業を合法化するものだ」(建交労・赤羽数幸書記長)、「財界・大企業がねらうのは首切りの自由化、残業代ゼロ、新たな非正規雇用づくりだ。私たちのくらし、雇用や働き方はこれでいいのかみんなで考えよう」(JMIU・三木陵一書記長)と呼びかけました。

厚生労働省・人事院前要求行動

〜労働法制・社会保障改悪反対!全国一律最賃1,000円以上、公務員賃金改善を〜

 11時から行われた厚生労働省・人事院前行動で主催者あいさつにたった国民春闘共闘の伊藤潤一代表幹事(東京地評議長)は、アベノミクスによる円安、物価上昇が中小企業の経営に深刻な影響を与えていることや賃金引き上げが景気回復に不可欠であることを語り、「安倍政権の暴走にストップをかけるためにも、憲法違反の公務員賃下げ撤回、生活保護制度の改悪中止、非正規労働者の労働条件改善、最低賃金の大幅引き上げと全国一律制の実現や労働法制の大改悪阻止の世論を広げていこう」とたたかいの強化を呼びかけました。
 情勢報告で全労連・井上久事務局次長は、冒頭に「自民党は、『企業が世界で一番活動しやすい国づくり』を参議院議員選挙の公約に掲げるといっているが、これはとんでもないことだ。労働者、地域が犠牲にされる国になる」と指摘し、産業競争力会議や規制改革会議ですすめようとしている労働法制の改悪内容や生活保護制度改悪のねらいを報告しました。
 つづいて単産・地域から4人の代表が決意表明を行いました。公務労組連絡会・九後健治事務局次長(国公労連書記次長)は、国による地方自治体や独立行政法人に対しての賃下げ強要など公務員の賃金と労働条件をめぐる状況を語り、「官民問わず、人間らしく暮らせ、やりがいを持て、日本再生の原動力となる賃金の実現をめざし奮闘する」と決意を表しました。
写真 生協労連ユーコープ労組の佐伯かをり副委員長は、静岡県の最低賃金審議会の労働者委員の任命について、5人の内4人は留任で1人は同じ組織からの新任であり、静岡県評推薦の3人を任命しなせず、その理由も明かされなかったことに怒りを露わにし、「これまで十分な引き上げが出来なかった委員ではなく、労働者の思いを汲み取り議論出来る委員を任命するべきだ」と訴えました。
 静岡自治労連の青池則男特別執行委員は、「非正規は、賃金安いが荷が重い」などの非正規で働く仲間の川柳を紹介し、こうした思いを胸に最賃審議会の労働者委員に立候補したことを語り、「落選して悔しい思いを運動で返していきたい」とのべました。
 埼労連の諸井武志幹事は、埼玉では、非正規部会・連絡会や青年との学習会を行い、単産・地域の共同連帯を作ろうと労働ビックバン・最賃宣伝を呼びかけ、憲法・選挙パンフをつくり参議院選挙にむけて取り組みを進めていることなどを報告し、「地域から政治を変える流れをつくっていく」と力強い決意表明を行いました。
 行動の最後には、厚生労働省・人事院に向かって、最低賃金1,000円以上の実現、公務員賃金引き上げ、社会保障の拡充などのシュプレヒコールをぶつけました。

総務省前要求行動

〜公務員総人件費削減反対 公務・公共サービスの拡充を!〜

 厚生労働省前要求行動と時を同じくして、全労連公務部会・公務労組連絡会の主催による総務省前要求行動が行われました。主催者あいさつした宮垣忠代表委員(国公労連委員長)は、「デフレ脱却と言いながら、公務員への賃下げは自己矛盾であり、道理がない。大企業奉仕のアベノミクスではなく、最賃を改善し、増税を中止せよ。来るべき選挙では憲法を守る議席を増やそう」と呼びかけました。
 激励に駆けつけた全農協労連の国分博文書記長からは、「被災地では、農協の仲間も自治体労働者と力を合わせて復興にむけてがんばっている。そのなかでの公務員賃下げは、冷や水をかけるもの。安倍内閣のねらう賃下げと解雇が当たり前の社会を許さないため、ともに力を合わせてがんばろう」と連帯のあいさつがおくられました。
 黒田健司事務局長の闘争報告では、賃下げに反対する政府あて署名が12万筆を超えるなど、安倍内閣による攻撃を職場・地域のたたかいが押し返していることや、人事院勧告制度が労働基本権制約の「代償措置」たりえなくなっていることなどが報告され、夏季闘争にむけて7月25日の中央行動への結集、人事院総裁あての署名運動の強化などが訴えられました。
 決意表明では、「民間賃金への波及や市民の声を伝えて、市長に賃下げしないようねばり強く求めた。その結果、市長は『給与削減しないと腹をくくった』と明言。県内の各自治体とともにがんばる」(茨城自治労連常総市職労・濱野書記長)、「県当局の提案は、一時金は削減しないという内容だったが、仲間たちの怒りは爆発している。撤回を求めて断固追及する」(富山高教組・荻生書記次長)、「賃下げ違憲訴訟提訴から1年が経った。政府は、『労使交渉の義務はない』などと開き直っている。『賃下げ法』を延長させないためにも、この夏季闘争が重要だ」(国公労連全法務・浅野副委員長)など怒りとたたかう決意がのべられました。
 その後、安倍首相にあてた「景気回復にむけた賃上げを求める署名」(賃下げ反対署名)の提出・要請行動の参加者が紹介され、最後に、総務省にむけて怒りのシュプレヒコールをぶつけました。

労働者総決起集会

〜賃金と雇用の改善を! 許すな労働ビックバン・TPP・消費税増税〜

 日比谷公会堂で開催した「5・28労働者総決起集会」は、全労連の大西玲子常任幹事と首都圏青年ユニオンの神部紅(じんぶ・あかい)書記次長の司会で幕を開けました。国民春闘共闘の大黒作治代表幹事(全労連議長)は主催者あいさつで、今春闘での政府による賃上げ要請は、特に1800万人を超す非正規雇用労働者には波及していないことにふれ、賃金の引き上げなくしては、生活は改善されないことを強調。「首切り自由化、非正規雇用を増大させる労働法制の大改悪がねらわれている。働く我々がこれを阻止するたたかいの先頭に立ち奮闘していこう」と呼びかけました。
 連帯あいさつにかけつけた反貧困ネットワーク代表で元日弁連会長の宇都宮健児弁護士は、貧困と格差の拡大が生活保護受給者を増やしている原因であることを指摘し、「貧困と格差を是正するには最低賃金の引き上げを行い、富裕層への課税を強化し社会保障費にあてることが必要だ」と強調しました。また、自公政権が目論む生活保護の改悪に対し「安倍首相は、最低賃金や生活保護水準で生活してみるべきだ」と怒りを込めました。
写真 つづいて、自由法曹団常任幹事の加藤健次弁護士から「安倍政権の労働規制緩和」について学習講演が行われました。現局面や政府・財界・大企業のねらい、労働規制緩和がもたらす労働者への影響をわかりやすく報告し、「様々な争議とも結んで、官民問わず労働者の雇用と生活を守るたたかいを進めていくことが重要だ」と語りました。
 行動提起を行った国民春闘共闘・小田川義和事務局長は、画像を使い様々な経済指標を示しながら「アベノミクスに潜む5本の毒矢」が国民・労働者に耐え難い痛みを強いるものであることなどその問題点を明らかにし、「この夏のたたかいは、参議院選挙と一体でたたかうことで要求実現、前進の可能性が広がる。政治の変化で要求前進をめざそう」と呼びかけました。
 行動提起をうけて4人の代表が決意表明を行いました。全労連・全国一般東京地本の森治美書記次長は、組合のない未組織職場や不安定雇用が増え、低賃金、長時間過密労働、セクハラ・パワハラの温床になっていることを職場の実態を交えながら語り、「労働法制の規制緩和は、労働組合の手足を縛り労働運動を根絶やしにしようとするものだ。労働三権の力をもってたたかっていこう」と呼びかけました。国公労連・全厚生闘争団の國枝孝幸事務局次長は、社会保険庁の不当解雇撤回請求では大阪で解雇無効の判定を勝ち取ったことを報告し「解雇自由の社会には絶対にさせてはならない」と力を込めました。JMIUいすゞ自動車支部・いすゞ裁判原告団で神奈川労連青年部の三浦慶範書記長は、いすゞ派遣切り裁判の現状と神奈川最賃裁判について発言し「最賃裁判では5つのごまかし計算式について国から歴史上初めて書面を出させ追いつめている。原告では15年間で60円しか時間額が上がっていない人もいる。最賃を1,000円以上に引き上げるために共にたたかおう」と訴えました。建交労・角田季代子副委員長は春闘アンケートなどで報告された労働者の苦しい生活実態を紹介し「安倍政権のやっておることはアベコベでやっとれん。労働者の底力をみせとらまい」と出身地の名古屋弁で力強く決意を表明しました。
 国民春闘共闘の松本秀典事務局次長(東京春闘共闘事務局長)が閉会あいさつを行い、団結がんばろうを三唱し思いを一つにした参加者は、国会に向け請願デモ行進に出発し、官庁ひしめく霞ヶ関にシュプレヒコールを響かせました。
 デモ解散後、「労働ビックバン」に反対する職場からの一言メッセージ集も携えて、「労働ビックバン反対」、「最低賃金改善」、「公務員の賃金引下げ反対」、「パート労働法・均等法改正」を求め国会議員への要請行動に取り組みました。要請行動に向けて開催した意思統一集会には、日本共産党の大門実紀史参議院議員が激励挨拶にかけつけ、国会情勢報告を受けました。

 この他、全労連女性部が、厚生労働省雇用均等政策課に均等法の改正を求める署名10,638筆を提出(累計12,823筆)。全労連公務部会・公務労組連絡会が内閣府に安倍首相あての「景気回復にむけた賃上げを求める要求署名」123,655筆を提出し、公務員賃金引下げに対する強い怒りをもって仲間の声を届けるなど多彩な行動を展開しました。

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