第41号 2013年7月4日
348分!ロングラン座り込み
6・28中央行動 第2次最賃デー
全労連・国民春闘共闘委員会は6月28日、最低賃金時給1,000円以上の実現、全国一律最低賃金制度の確立、公務員の「賃下げ法」廃止、公務員賃金改善、労働法制の規制緩和阻止、社会保障の拡充、公契約・公正取引の実現などを求めて「6・28中央行動」を展開しました。都内複数個所での早朝宣伝行動に始まり、厚生労働省前での348分(1,000円―652円=348分)のロングラン座り込み行動を軸に据え、厚生労働省交渉、最低賃金と中小企業支援課題での経済団体などとの懇談を実施。300人を超える仲間が厚生労働省前を埋め尽くしました。
〜「労働ビックバン許すな、最賃改善」早朝宣伝〜
中央での行動は、都内複数個所での早朝宣伝からスタート(東京駅丸の内北口、池袋駅東口、霞ヶ関、東京は都内各自治体門前で実施)。最低賃金大幅引き上げの必要性や「限定・無限定社員」制度や派遣自由化などの労働法制の規制緩和の危険性についてチラシを配布しながら、出勤途上の人々に訴えました。
〜厚労省前ロングラン座り込みスタート!〜
午前10時、当面の目標である最低賃金1,000円と全国で一番低い最低賃金652円(島根、高知)の差額=348分の座り込み行動を開始。厚生労働省前は、参加者の願いを書いた短冊や何枚もの横断幕、エスプレッソ・カラーの最賃Tシャツなどで彩られました。
スタート集会で主催者あいさつにたった国民春闘共闘の伊藤潤一代表幹事(東京地評議長)は、「デフレ不況克服のためには賃金の底上げが必要だ。今日の行動も契機に、世論を大きく作っていこう」と呼びかけました。国民春闘共闘・伊藤圭一事務局次長(全労連調査局長)が、資料「目からウロコ、日本の最賃は世界の非常識?!」をもとに、最低賃金に関する最新の情勢と世界の動きを報告。参加者からは「介護や保育で働く労働者の賃金は最低賃金に張り付いている。日々使うジャージすら買えない状況だ」(福祉保育労・高橋さん)、「まずは最低賃金1,000円を実現し、若者が未来を描けるようにしてほしい」(全印総連・小沢さん)、「地域からも最低賃金引き上げにむけ奮闘している」(埼労連・舟橋さん)など最賃大幅引上げへの思いが語られました。
つづいて、パート・臨時労組連絡会を中心に路上パフォーマンスを実施しました。生協労連の仲間のリードで、「明日があるさ」「手のひらを太陽に」などのメロディにのせ“最賃ソング”を合唱。神奈川最賃裁判原告の陳述書を読み上げ、切実な思いを伝えました。パート・臨時労組連絡会の江花新事務局長(全労連・国民春闘共闘常任幹事)が13春闘で「無期雇用から有期雇用への転換」を勝ち取った事例などをあげ、改正労働契約法を活用した取り組みを紹介しました。
〜最低賃金・全国一律1,000円以上の実現を!公務員の賃下げは撤回せよ!〜
正午過ぎからの行った昼の要求行動には、昼休みをむかえた霞ヶ関で働く仲間も結集し300人が参加。
国民春闘共闘・大黒作治代表幹事(全労連議長)は、主催者あいさつで、「アベノミクスにより、生活必需品や石油が高騰し庶民の暮らしは依然として苦しい状態だ。消費税の引き上げや社会保障の改悪が強行されれば、景気回復の展望は見えてこない。全労連・国民春闘共闘は13春闘で“賃上げで景気回復を”の世論つくりあげた。しかし、1800万人を超す非正規労働者には賃上げも一時金も波及していない。暮らしを守るためにも賃金底上げの土台となる最低賃金の大幅引き上げが必要だ」と強調し、「デフレ打開と地域経済再生に逆行する公務員賃金引下げを許さないたたかいをいっそう強めていこう」と呼びかけました。
国民春闘共闘・小田川義和事務局長(全労連事務局長)は、冒頭に、政府が関西電力の主張を受け入れ、大飯原発再稼働を容認する動きになっていることに触れ、「安倍政権の政策は机上の論理が先行し、民間企業の一方的な主張に沿った絵空事で、何度も失敗した政策を繰り返し、その痛みを国民に押し付けている。アベノミクスで景気が良くなるというのは原発再稼働と同じく根拠のない絵空事だ。正社員改革の名による解雇規制の緩和、労働者派遣法改悪によるピンハネ労働の激増、サービス残業合法化による過労死の増加といった痛みを労働者に押し付けるものに他ならない」とのべ情勢報告を行い、「安倍首相は“最低賃金を引き上げに努力する”と国会で答弁したのだから、少なくとも、雇用戦略対話での政労使合意(早急に800円、20年までに平均1,000円)を確実にする施策を行うべきだ」と力を込めました。
つづいて5人の代表がたたかう決意を表明。全労連・全国一般の鈴木新副委員長(宮城労連議長)は、宮城で1991年から行っている最賃生活体験や東北6県での最賃キャラバンについて語り、「低すぎる賃金が若者の雇用流出の原因となっている」、「賃金が低く少子化に歯止めがかからない」、「低すぎる賃金が震災復興の妨げになっている」など地域の自治体や経営者の切実な思いを紹介。「地方での低賃金構造の背景には最低賃金の低さがある」と最低賃金の大幅引き上げを訴えました。
国公労連・全厚生闘争団の國枝孝幸事務局次長は、「公務員の賃金減額は景気をめざす政府の政策に逆行するものであると同時に、全く道理がない。人事院は実額に基づく勧告を行え」と怒りを込めました。そして、社会保険庁職員の不当解雇撤回と同時に、解雇自由の流れを許さないたたかいに全力を上げていくと力強くのべました。
全教の米田雅幸書記次長は、退職金削減、地方公務員への賃下げ強要に対し「すべての労働者の賃上げで景気回復と地域経済の立て直し」をスローガンに、民間労働者や地域住民、管理職などとも要求を一致させ、全国でたたかいを進め、多くの自治体で成果を勝ち取ったことを報告。「官民共同の取り組みを一層広げ、最低賃金引き上げ、人事院勧告、人事委員会勧告へのたたかいを強めていく」と決意を表しました。
全労連・女性部の久保桂子常任委員は、「働く女性の半数以上が非正規雇用に追いやられ、その圧倒的多くが「パートやアルバイト」の時間給労働者で、年収200万円以下の人の74%が女性となっている」と働く女性の現状を語り、「格差を埋めていくためには、均等待遇と最低賃金などの賃金の底上げが必要だ。そのためにも実態や意見を厚生労働省に届けよう」と意見書、パート労働法や男女雇用機会均等法の抜本改正署名の取り組み強化を呼びかけました。
東京自治労連の田原聖子副委員長は、介護労働安定センターが行った「介護労働者の賃金・雇用管理の実態調査」や東京介護労・青年部が調査した「夜勤実態アンケート」の結果を示しながら、介護労働者が低賃金で劣悪な労働条件で働いている実態を報告し、「介護事業所に労働基準法を守らせ、介護労働者の賃金の算定基準ともなる最低賃金を大幅に引き上げることが、厚生労働省が今成すべきことだ」と訴えました。
〜雇用破壊の労働法制規制緩和を止めろ!〜
13時からは、「成長戦略」で推し進められようとしている「労働法制の規制緩和」阻止の要求行動を開始。この行動には、自由法曹団常任幹事の鷲見賢一郎弁護士がかけつけ、安倍政権の労働規制改革では、労働時間の制限なく働く、世界中のどこにでも転勤に応じる「無限定正社員」、そして、それと比較して、「限定正社員」を設けると言っている。「限定正社員」とは、勤務地や職種を限定する代わりに、賃金は抑えられ、容易に解雇をされるものだ。今の裁判例では、勤務地や職種が限定されていても「整理解雇四要件」の適用があり簡単に解雇は出来ないが、これを「簡単に首を切れるようにしよう」というものだ。そして労働者派遣法の規制緩和も目論まれている。「安倍労働規制改革の中身を厳しく批判し、ディーセント・ワークの実現に向け共に奮闘しよう」と連帯のあいさつを行いました。
つづいて、全労連・井上久事務局次長が労働法制に関する情勢を報告。職場の実態と決意表明で、東京春闘共闘民間部会を代表して発言した全労連・全国一般東京地本の梶副委員長は、「正社員から契約社員になるか、徳島へ転勤するか選べ」と会社に迫られたたかった仲間の事例をあげ、東京地裁で不当配転の決定が出たが、「無限定正社員」といことが法制化、各企業の就業規則で広がり一般概念とされれば、たたかいは厳しくなるとのべ、「官民の共同を強化し、職場での民主主義が破壊される労働法制の大改悪を許さないたたかいを進めていこう」と呼びかけました。自交総連東京地連の田村専従執行委員は、一般労働者の平均年収よりも300万円低く、平均労働時間は400時間も長いタクシー労働者の実態を報告し、「すべての労働者が健康で文化的な生活をおくるためにも、労働法制の規制緩和は絶対に許してはならない」と力を込めました。
〜社会保障大改悪許すな!〜
その後、参加者からのリレートークが続き、14時からは「社会保障大改悪許すな!」要求行動を開催しました。連帯あいさつを行った全生連(全国生活と健康を守る会連合会)の安形義弘会長は、「生活保護改悪法案が廃案になったのは、国民世論と運動の力だ。今後も連帯して、生活ができる賃金、人間らしい暮らしができる社会保障の実現を目指して奮闘していこう」と呼びかけました。
つづいて、全労連・井上久事務局次長が資料を使いながら情勢を報告。「昔は医療費の自己負担はほとんどなく、病気を第一に考えれば良かった。しかし、今は多額の自己負担を心配しなければならない。また、医療の現場では長時間過密労働が蔓延している。これでは安心・安全の医療を提供できない。人員増と医療費の窓口負担軽減を求め奮闘していく」(日本医労連・中野書記長)、「社会保障改革推進法のもと、生活保護費の削減が強行され、ナショナルミニマムの基軸となる生活保護法案が改悪されようとした。生活保護を突破口に医療・介護・保育・年金などの社会保障の改悪が目論まれている。憲法25条で定める生存権を蔑ろにする社会保障改革推進法は直ちに廃止するべきだ」(福祉保育労・仲野書記長)、「年金者組合は先だって開催した定期大会で、10月から行われる年金の大幅引き下げに総力をもってたたかっていく決意を固めた。行政不服審査請求運動を展開し行政の不当性を全国的規模で追及する大運動を展開していく」(年金者組合・増子中央執行委員)と現場の実態と決意が語られ、生協労連、国公労連、自治労連の仲間がリレートークを行いました。
ロングラン座り込み行動の最後となった「終結集会」では、全労連・斎藤寛生常任幹事が公契約条例・公契約法に関する最新の情勢を報告。そして、座り込みと並行して行った最低賃金課題での厚生労働省交渉の様子を福祉保育労・澤村直副委員長が報告しました。
小田川義和事務局長が今後の行動を提起。労働条件の底上げ、均等待遇、社会保障の最低生活保障機能の再強化は労働者の切実な要求だ。これを真正面から否定し、賃下げ・労働条件引下げを新たに強いる労働法制改悪が進められようとしていることに強く異議を唱えよう。最低賃金1,000円の実現に近づくことが、労働法制改悪に歯止めをかけること、均等待遇の実現、公務員賃金の改善につながるなど、課題は裏表の関係にあることに目を向け、単産・地方、官・民、正規・非正規、老若男女一体で共同の取り組みを進めていこうと呼びかけ、(1)7月2日の第1回中央最低賃金審議会・緊急行動への結集、(2)各単産から中央・地方審議会に対し要求書、資料を提出し審議会に仲間の声を反映させること、(3)参議院選挙直後の新たなスタートを切る7・25中央行動への結集、(4)7月21日の参議院選挙への積極的な参加の4点の行動を提起しました。
全労連・高橋信一副議長が閉会あいさつを行い、「この夏、最低賃金のたたかいを大きく成功させ、今年348分だった座り込みの時間を来年はもっと短くしていこう」と呼びかけました。行動の最後には熱いシュプレヒコールが行われ、切実な要求が霞ヶ関の空に響き渡りました。