第48号 2013年8月7日
中央最低賃金審議会 2013年度の最低賃金改定目安額を答申
全国加重平均14円の引き上げ目安
低額・格差拡大の目安を踏み越える改定を全国で!
中央最低賃金審議会は7日、2013年度の地域別最低賃金改定の「目安」を田村憲久厚生労働大臣に答申しました。中央最低賃金審議会は47都道府県を賃金水準や地域の経済実態(工業生産など)によって、A〜Dの4ランクに分けて目安を示します。今年度はAランク19円、Bランク12円、D・Cランク10円、全国加重平均で14円の引き上げ目安にとどまりました。
「生活保護と最低賃金の乖離解消」については、労働時間を長く、生活扶助は少なく算定するなど、「最低賃金を大きく、生活保護を小さく」みせる厚生労働省の計算でも、最低賃金が生活保護水準を下回る「逆転現象」がある11都道府県(北海道22円、東京13円、広島11円、宮城・神奈川9円、大阪8円、埼玉6円、兵庫4円、京都3円、青森2円、千葉1円)のうち、北海道をのぞく10都府県で乖離解消の見通しとなりました。しかし、北海道については、昨年の審議会において今年度の解消を目指すとしながら、「来年も含めた2年以内の解消を目指す」との見解を示し22〜11円の幅での目安掲示となりました。
今年は、諮問の場に厚生労働大臣が出席し、「予想される物価上昇率2%を超える賃金上昇で経済の好循環を」と述べて最低賃金の引上げを要請しました。審議会において、労働者側委員は、経済成長の視点に加え、格差・貧困問題への対処という点から、あるべき最低賃金の水準を議論した上で引上げるべきだと主張しました。一方で、使用者側委員は、最低賃金の引上げが、中小企業の経営難・雇用抑制につながるとして引上げに抵抗し、規模29人以下の事業所の「賃金改定状況調査」の賃金上昇率(平均0.8%)重視を主張して、引上げ自粛論を展開しました。
また、今年の目安審議では、労使合意が成立している「できる限り早期に全国最低800円を確保し、景気状況に配慮しつつ、2020年までに全国平均1,000円を目指す」とした「雇用戦略対話」の合意については、審議されず、目安小委員会でも言及されませんでした。
「目安」どおりに改定されたとすれば、全国加重平均で763円となりますが、参議院選挙前に政権政党が強調した「2%超(15円以上)実現」には及ばず、最高額と最低額の差は207円と地域格差が拡大し、1,000円への接近はもとより、800円以下を早期になくすとの労使合意には程遠く、期待外れの目安と言わざるを得ません。
今後、各地方最低賃金審議会が本格審議を開始します。全国各地で、生計費原則に基づいた最低賃金を達成し、審議会と労働局が目安を大きく踏み越える金額改定を決断するよう、働きかけを強めて行きましょう。そして、「全国一律最低賃金1,000円以上の実現」の世論を広げる積極的な運動を展開して行きましょう!