2013国民春闘共闘情報
全労連HP

第49号 2013年8月8日

2013度人事院「報告」

59年ぶり!給与改定勧告せず

「代償機関」としての勧告義務を放棄

 人事院は8日、国会及び内閣に対して、国家公務員給与にかかわって、月例給・一時金ともに改定を見送ることや、「給与制度の総合的見直し」などに関する報告、配偶者帯同休業制度に関する意見の申出を行いました。
 人事院は、国家公務員給与が「給与臨時特例法(賃下げ法)」によって月例給で民間給与よりも「平均7.78%(29,282円)」下回っているとしながら、「賃下げ法は東日本大震災という未曽有の国難に対処するための臨時特例として行われている」として、減額された実額ではなく、俸給表上の給与額と民間賃金実態調査の結果を比較し、「較差は極めて小さい」という理由で勧告を見送りました。期末・勤勉手当(一時金)に関しても同様に、減額前の支給月数を比較し、「民間と均衡している」と改定を見送りました。その他、諸手当についても勧告は行われなかったことから、1954年以来、59年ぶりに「改定勧告」が行われず、「人事院報告」にとどまりました。
 また、(1)民間の組織形態の変化への対応、(2)地域間の給与配分の在り方、(3)世代間の給与配分の在り方、(4)人事評価の適切な実施と給与への反映などを検討課題とする「給与制度の総合的見直し」に言及しました。これらは「民間準拠」を口実として、公務員賃金をさらに引き下げる狙いを持っています。
 同日、全労連は事務局長談話を、公務労組連絡会は幹事会声明を、国公労連、自治労連、全教なども声明を発表。「国家公務員法28条は『情勢適応の原則』を定め、官民賃金を均衡させるため、人事院には、給与勧告を行う義務が課せられている。実際には3万円近くの官民格差が存在することを認めながら、それにもとづいて勧告しなかったこと自体が、国家公務員法に違反し、本来はたすべき責務を放棄したものにほかならない」、「『未曽有の国難に対処するため』とする政府の口実を是認し勧告をしなかったことは、労働基本権制約の『代償機関』、第三者機関としての責務の放棄にほかならない」と抗議しました。
 消費税増税の突破口として、国・地方の公務員が賃下げされ、それが民間にも影響する「賃下げの悪循環」を跳ね返すため、公務・民間、職場・地域の共同したたたかいが求められています。

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