2014国民春闘共闘情報
全労連HP

第1号 2013年11月12日

2014年度年次総会を開催

攻勢的なたたかいで春闘勝利

 国民春闘共闘委員会(全労連、純中立労組懇、地方共闘などで構成)は10月25日、全労連会館で2014年度年次総会を開催。1年間の総括と2014年春闘方針構想案について議論し、新役員体制、予算を確立しました。年次総会には20単産団体9地方から78人が参加し、2014年春闘勝利にむけて熱心な討議が行われました。年次総会に先駆け、二宮厚美・神戸大学名誉教授が『アベノミクスの問題点と労働組合の課題』と題して講演し、学習を深めました。

 開会にあたり、主催者あいさつを行った大黒作治代表幹事(全労連議長)は、暴走政治を加速させる安倍政権に対し 職場と地域から大きな共同のうねりを作り出すことが重要だと強調。
 13春闘で「賃上げこそデフレ脱却の道」だと世論を喚起し、国民の間にも「賃上げが必要」と根付いてきた。これらのことを財産に、これ以上の生活破壊を許さないための国民春闘にしていこうと呼びかけました。

★小田川事務局長が2014年春闘方針構想案を提案

 小田川義和事務局長(全労連事務局長)が「2014年国民春闘方針の構想案」を提案。すべての組合が「ベア要求」をかかげ、「ベア獲得」にこだわるたたかいを展開し、非正規労働者も含むすべての労働者の賃金の大幅引き上げ要求を積極的にかかげること。最低賃金時給1000円実現と公契約条例制定運動を軸に「すべての労働者の賃金引き上げで内需拡大」の運動を地域から強めること。公務員労働者の賃下げ撤回など逆流の政策撤回を政府に迫り、消費税増税中止、社会保障改悪阻止、労働法制改悪阻止、TPP参加反対、原発再稼働阻止を中心的な課題に「許すなくらし破壊」の共同のたたかいを作り出す春闘にしていこう。
 そして、春闘準備段階からの労働組合間の共同の追求と中小零細企業経営者なども含めた消費税増税中止の1点共同。地域活性化の観点からの中小企業での賃金引き上げにつながる国の施策実現を求める共同づくり。内部留保の社会的還元に焦点をおいた大キャンペーンなどで大企業の社会的責任の追及し、単産と地方・地域、民間と公務労働者が春闘準備段階から力を寄せ合うことを追及していこうと呼びかけ、消費税増税やデフレ不況克服など2014年春闘の特異性に留意した積極的な統一要求目標と力の集中点を作り出す行動の設定、共同づくりのための課題と「武器」について集中的な議論をしていくことを求めました。
 討論では13人が発言し、各組織での取り組みや統一要求、統一行動などについて活発な意見が出されました。
 討論のまとめで、小田川事務局長は、地方段階での早めの春闘論議を要請し、「準備の段階が重要だ」と強調。(1)喫緊の課題となっている秘密保護法廃案にむけたたたかいの強化と取り組みの集中、(2)教育問題についての方針補強、(3)統一要求目標を「全体を励まし、分かりやすい内容で、元気が出る」という視点で、意見を聞きながら議論を詰めていくこと、(4)大企業の収奪が強まり、国家戦略特区などが目論まれる中、地域での春闘が重要であり、早い段階での論議が重要となっていること、(5)「ブラック企業チェックリスト」などを活用した「ブラック企業」の定義についての論議、(6)全国港湾との共同の追求、(7)「ベア獲得」と「賃金改善」についての単産・職場での討議、(8)派遣切りの問題の補強、(9)12月13日の労働法制改悪反対集会への結集、(10)3月ヤマ場の行動への全組合員の結集の10点に触れ、各組織で議論を深めることを呼びかけました。そして、11月27日から予定される春闘討論集会で方針を固めていく方向を示しました。

★新常任幹事に鎌田・国公労連書記長、北口・生協労連委員長

<2014年度の役員体制>
▼代表幹事…大黒作治(全労連)、大谷充(純中立)、伊藤潤一(東京春闘)
▼事務局長…小田川義和(全労連)
▼事務局次長…伊藤圭一(全労連)、浦上義人(純中立)、松本秀典(東京春闘)
▼常任幹事…国分博文(純中立)、古橋正好(建設関連)、川口英晴(製造業関係)、
       沖原勝治(交運共闘)、北口明代(商サ連)、千葉史人(金融関係)、
       井戸秀明(マスコミ関係)、原英彦(医療福祉関係)、鎌田一(国公関係)、
       猿橋均(自治体関係)、今谷賢二(教職員)、井手口行夫(東京春闘)、
       松森陽一(首都圏土建)、井上久、岩橋祐治、大西玲子(全労連)
▼特別常任幹事…宍戸出(埼玉春闘)、本原康雄(千葉春闘)、山田浩文(神奈川春闘)、
        江花新(非正規センター)、黒田健司(公務部会)
▼会計監査…寺下章夫(東京春闘)、岩崎美津男(純中立)

★討論・発言概要

自治労連・中川書記次長 『一歩踏み出し、旺盛なたたかいを』
 これまで賃金課題で地域に出ることに二の足を踏んでいたが、憲法違反の国家公務員賃下げの地方への強要とのたたかいの中で、賃金課題で足を踏み出すことで、多くの地方で賃下げ強要を阻止していることを報告し、14春闘では「すべての労働者の賃上げと『取戻し、改善させる』」たたかいを民間と共同してたたかっていく。「負担するべきは誰なのか」を明らかにし、大企業に社会的責任を果たさせる春闘にしていく必要がある。自治労連は、地方から改憲を阻止し、仕事を通じても、なんとしても住民生活を守る決意でたたかっていくと力を込めました。

出版労連・寺川書記長 『政治の教育介入を許すな』
 春闘方針構想案の提起を受け、「非正規を含めたすべての労働者の賃上げが重要だと確認をした」と語り、出版労連では東京都出版最賃の取り組みを進めており、経営がその必要性を認めない中で、組織人員の3倍の署名を集めたことを報告。そして、売り上げが伸び悩む出版業界を更に疲弊させる消費税増税を阻止し、国家安全保障会議(日本版NSC)とセットで出されている「特定秘密保護法」の廃案にむけ奮闘する決意を述べました。また、「教科書採択に関して、地方議会・政治の介入が問題となっている。教育を利用し、政権に都合の良い国民を作ろうというもので決して許すことはできない。方針案に教育の観点での取り組みを補強してほしい」と要望しました。

大阪春闘共闘・菅事務局長 『地域から目に見え音が聞こえる春闘に』
 「橋下維新の会」の暴走に対し住民が「堺はひとつ」と団結し、堺市長選に勝利したことを報告。憲法と民主主義を否定する独裁政治が「橋下維新の会」の手法であることが広く知れ渡り、住民要求と私たちの要求、情勢がかみ合ったことが勝因だ。大阪市の全区役所での宣伝も昨日で20回目をむかえ、職員や住民の反応も大きく変わった。これも追い風にして、大阪府職員の政治活動規制条例と労使関係条例を止めていくために奮闘してくと述べました。また、この間行ってきた大阪ビクトリーマップ調査や非正規労働者実態調査に関するマスコミの関心の高さをあげ、社会的に大企業の横暴とそれを後押しする安倍政権の告発を様々な角度で考えていく必要がある。14春闘では職場単位で「目に見え音が聞こえる」状況を作り出す工夫をしていく議論をしていることを報告。職場や地域での旗印となるので、「積極的で分かりやすい統一要求目標の設定を」と求めました。

全教・今谷書記長 『安倍教育再生を許さないたたかいを』
 就学支援金に所得制限が設けられようとしていることについて触れ、「保護者の経済的悪化も含めて、子供たちの状況は大変になっている。教育費の問題も方針にも位置づけていくことが必要だ」と強調。11月15日には独自行動を展開し、この問題に取り組んでいくことを報告。
 全教が取りまとめた学校現場での勤務実態調査がYahooニュースのトップで取り上げられたことを報告し、「教職員の時間外労働が91時間を超えた。制度上1円の残業代も出ず極めて深刻だ」と述べ、労働法制改悪や「ひとりひとりの子どもを大切に」といった理念を否定する安倍教育再生を許さないたたかいを強める決意を込めました。

民放労連・安部副委員長 『秘密保護法に断固反対!』
 「ベア要求」をかかげてたたかうこと、非正規労働者の要求をかかげてたたかうことの重要性を語り、13春闘では3組合で企業内最低賃金協定を結び、労使関係のない構内労働者に対して局から現金やクオカードや食堂無料開放などの成果を勝ち取ったこと、正社員が減り、非正規労働者が増え続ける中で、構内労働者組織化プロジェクトを立ち上げたことを報告。秋季年末闘争では、「10年先の未来に希望をもってたたかいを」をスローガンに、すべての労働者にまともな一時金を求めてたたかっている。放送局もブラック化が進んでいるので、アンケートなどの調査もしながら取り組みを強めていくと述べました。そして、秘密保護法反対の声明文を出したことを報告し、「労働法制改悪と秘密保護法は喫緊の課題だ。この秋からも取り組みを強めよう」と呼びかけました。

国公労連・鎌田書記長 『労働者軽視の流れを変えよう』
 この秋から14春闘にむけての国公労連の基本姿勢と重点的に取り組んでいる課題について発言。権利を無視した道理のない賃金引き下げや退職手当の削減、理不尽な定員削減と新規採用抑制方針、観念論に終始する地方分権改革、非常勤職員の雇止めや社会保険庁職員の分限解雇など政府の横暴なやり口が非常に際立っている。これはこれまでいかに労働者の権利が軽く扱われてきたことの反映であり、国公労連はすべての労働者を視野に入れて社会の流れを変えていくために先頭にたってたたかっていくと決意を述べました。

検数労連・日検労・飯島執行委員 『13春闘での前進を14春闘に』
 これまでの港湾春闘と13春闘港湾春闘の経過と前進を報告。港湾春闘では、この間、産別協定をもとに個別企業に対し春闘賃上げ交渉を進めてきたが、日本港運協会は「個別企業にまでは関与できない」との観点から、産別の課題として個別企業の賃上げをリンクさせて前進ある取り組みは出来ていなかった。13春闘では、産別制度要求が一定前進しても個別賃上げがなされない限り合意をせず、実力行使を構え、個別企業の賃上げの促進を図った。その結果12春闘を上回る賃金回答を引き出したことは取り組みの成果だ。また、昨年3月5日の統一行動に全国港湾が参加したことなど共同歩調を作って来たことは大きな前進になったと感じていると、13春闘での前進を14春闘につなげていく決意が語られました。

全農協労連・斎藤委員長 『黙っていては要求の前進はない』
 TPP反対運動と13春闘を踏まえた14春闘への決意を述べ、「黙っていては、要求は前進しない。意見固めと行動することが重要だ」と強調。14春闘に向けて例年より早く賃金学習会を開催し、プロット図の作成などについて認識を深めたことを報告。「情勢だのみではなく、学習や準備を早めにして、14春闘に臨む」とたたかう決意を表明しました。

JMIU・三木書記長 『徹底した要求討議と総対話が重要』
 JMIUの三木書記長は、方針案について積極的に受け止めると表明したうえで、徹底した要求討議と職場での総対話、地域で産別、生業を超えて交流していくことを国民春闘共闘が音頭をとって進めていくことが重要だと述べました。また、積極的な統一要求に賛成の意を示し「すべての労働者の賃上げ」の強調、春闘の原点に立ち返った統一闘争の展開、非正規切り・派遣切り裁判闘争の支援強化について方針の補強を求めました。

日本医労連・中野書記長 『積極的な統一闘争の展開を』
 夜勤手当に頼った賃金になっている看護師の状況や青年が行った賃金シミュレーションの結果などについて語り、「生計費原則と組合員の要求に添った統一要求にしていく必要がある」と述べ、統一行動については、3月時点で賃金闘争が出来ない職場でも夜勤改善や労働条件改善の問題で結集する動きが出ていることを報告し、様々な職場があるが、連合がたたかわない中で、国民春闘共闘に結集する組合は「回答指定日も統一行動も少しずつでも寄せていく努力が必要だ」と力を込めました。

東京春闘共闘・井手口副代表委員 『労働ビックバン阻止闘争本部を設置』
 この1年間のたたかいと14春闘の重点課題について発言。13春闘では、賃上げにこだわり要求討議をし、すべての職場で要求を提出しよう。単産・地域で統一闘争を強化することを重視し、回答指定日翌日の統一行動では、4つのブロックで宣伝、集会、デモなどを展開し、統一闘争が前進した春闘となったことなどを報告。14春闘では、(1)労働法制改悪を許さないたたかいを強化するために、労働ビックバン阻止闘争本部を立ち上げたこと、(2)集中回答日翌日の統一行動日が、重税反対行動と重なることは単産・地域の力を集中しやすくなる。総力を挙げて結集する(3)ベースアップを勝ち取る春闘にする。そのためにも中小企業との懇談を行い、政府に中小企業支援策を求めていくことを重点課題に据えてたたかいを進めていくことが語られました。

年金者組合・増子中央執行委員 『賃金が上がらなければ、年金も上がらない』
 年金者組合・増子中央執行委員からは、「物価スライド方式」「賃金スライド方式」の年金制度になり、労働者の賃金が上げらなければ、年金も上がらない。行政不服審査請求運動を成功させるとともに、春闘のたたかいと結びつけて奮闘していくと述べられました。

検数労連・光部書記長 『共同を広げ要求実現を』
 検数労連の光部書記長は、全国港湾の一員としての立場から発言。全国港湾と国民春闘共闘のつながりが深まった13春闘を経た来春闘になると語り、港湾労働者年金のたたかい、7時間労働時間制の確立闘争など全国港湾の運動国や民春闘共闘の発行する関連資料が、全国港湾でも重要な資料となっており、交渉の材料にもしていることを紹介。国民春闘共闘と共に全国港湾も14春闘勝利に向け奮闘していく決意が語られました。

2014年国民春闘討論集会

日 時:11月27日(水)13:00〜 28日(木)12:00
会 場:静岡県熱海市 熱海後楽園ホテル

国民春闘共闘情報