開会にあたりあいさつに立った国民春闘共闘・大黒作治代表幹事(全労連議長)は、「今年の春闘は、大手を中心にベアの追い風が吹いているが、消費税の引き上げをにらんで中小企業では厳しい逆風も吹いている。中央・地方で大企業の社会的責任を問う世論作りを行うことが重要だ」と述べ、14春闘情勢と課題、春闘要求の確定、その実現を目指す2月の地域総行動、3月13日の全国統一行動、4月段階での行動など、具体的な方針についての活発な討議を呼びかけました。
JMIU・川口英晴副委員長、全教・中田郁乃中央執行委員が議長団に選出され、小田川義和事務局長(全労連事務局長)が「たたかいとろう 大幅賃上げ、くいとめよう 憲法改悪、許すな 雇用・くらし破壊の暴走政治」をスローガン案とする2014年国民春闘方針案を提案。冒頭、過日発表された経営労働政策委員会報告(経労委報告)について述べ、「経団連が6年ぶりに『ベア容認』の姿勢を示したが、「雇用・労働市場の改革」を強調し、新たな攻撃の入り口に立っているという前提での『ベアの容認』ということが語られており注意が必要だ。1995年に日経連が『新時代の日本的経営』を明らかにし、そのスタートには同じような発想での財界の動きがあり、主張があり、それが政策に順次反映されてきた歴史を忘れてはならない」と強調しました。そして、情勢頼みではなく、要求を積極的にかかげ、たたかいを大きく組織することを主体的に努めていくことが求められると語りました。賃金引き上げの課題では、すべての組合が「ベア要求」をかかげ、「ベア獲得」にこだわり、すべての労働者の賃上げをめざし、「誰でも時間額120円以上、月額1万6,000円以上」を賃金引上げ要求目標、「時間額1,000円、日額8,000円、月額17万円」を最低賃金要求目標とすることを提案。「戦争ができる国づくりや労働時間規制緩和など『雇用・くらし破壊の暴走政治』が進んでいる。地域での共同を広げ、3月13日には「くらし守れ」の要求もかかげ、50万人が決起し、要求実現を迫っていこう」と呼びかけました。
討論では、各組織の代表10人が発言
日本医労連の中野書記長は、物価上昇や消費税増税による負担を考慮し、正職員で「月額4万円以上」の賃上げ要求を検討していることを報告。4月に診療報酬改定を控え、回答の出し渋りが予想され、回答指定日に有額回答が出ない場合にはストライキを構えてたたかっていくことを表明しました。また、5年に1回実施している看護実態調査を1年前倒しして行い、2月に記者発表を行うことを報告。夜勤の規制と増員、大幅賃金引き上げに向け奮闘していく決意を述べました。
JMIUの笠瀬書記次長は、この間、各地方で2次にわたる春闘討論集会を実施し、要求アンケート、家計簿調査、一言メッセージに取り組んでおり、アンケート結果を踏まえ「一律3万円以上」の統一賃金要求を提案することを報告。「赤字であろうが賃上げを勝ち取らなければ、生活も景気も良くならないという構えでたたかっていく」と強調し、「春闘チャレンジャー」や「仕事とくらしの交流会」に取り組み、職場・地域から騒然とした春闘にし、あらゆる要求を実現できる春闘にしていくと力を込めました。
自治労連の熊谷中央執行委員は、政府が夏の人事院勧告で恒常的な公務員賃金引下げとなる「給与制度の総合的見直し」の実施を目論んでいることについて語り、「官民、地域、年齢層などあらゆる分断を生む攻撃だ」と批判。昨年の国による賃下げ押し付けを跳ね返したたたかいの教訓を生かし、早い段階から「すべての労働者の賃上げが、地域経済の活性化につながる」といった世論を広げ奮闘していくと述べました。職場の怒りを要求にして、必ず要求提出をすること。そして、地域に出ること、とりわけ中小企業訪問を重視して14春闘に取り組んでいく考えを示しました。
岡山の伊原事務局長は、12月から行った「公契約キャラバン」で、(1)自治体の給与削減の実態、(2)設計労務単価引き上げの効果、(3)TPPの影響と公契約の意義、について自治体と懇談したことについて報告し、「まだ自治体の意識は低いが、少しずつ理解を示し始めている。署名などを活用しながら業者とも共同し、継続的に力を入れていく」と語りました。
東京土建の影山常任中央執行委員は、賃金引き上げと公契約について発言。「建設関係の現場では人手不足と仕事量の増加による労働日数・労働時間増により、収入増にはなっているが、設計労務単価引き上げの効果はまだ見えていない」と指摘し、まずは、公共工事で新設計労務単価を適用させ、自治体に周知徹底を図らせることと請求要求運動を前進させていく決意を述べました。
国公労連・国土交通労組、建交労、東京土建などでつくる建設関係労働組合首都圏共闘会議の上間事務局長は、「設計労務単価引き上げをいかに現場労働者の賃金に反映させるかを14春闘の最大の要求としてたたかいを進めていく」と表明。福島の除染作業現場では大手ゼネコンが1次下請け会社に「作業員には最低賃金を払え」と文書で流している事例を紹介し、「建設業界は賃上げする気などない。公契約条例・法制定運動を前進させ賃上げの仕組みをつくることが重要だ」と訴えました。
映演労連・梯書記長は、「特定秘密保護法」に関して、「映画人も400人以上が反対の声をあげ、運動が広がっているが、クリエイティブな部門に携わっている組合員が少ないということもあり、この問題が組合内部に浸透しきっていない」と述べ、14春闘でも引き続き「廃止」に向けて奮闘していくと決意を語りました。賃金要求を、昨年までの引き上げ要求1万円に、月額最低基準要求17万円の2%を上乗せし「1万3,000円以上」。産別最低賃金要求を「1,000円」から「1,200円」に引き上げる議論をしていることを報告。労働法制改悪反対も2つ目の柱にしてたたかいを進めていくと決意を述べました。
生協労連の北口委員長は、「これまで回答指定日翌日の行動への参加は5,000人程だったが、14春闘では組織人員の約半数となる3万人を目標に、(1)12日に回答を引き出し、職場集会、ストライキ、職場激励行動を展開する、(2)春闘シールを身に着ける、シール投票を行う、(3)未加入者に『マスクは花粉症から守ります。労働組合はあなたを守ります』と書いたマスクをプレゼントするなどの工夫をして決起していく。一人一人が参加型の春闘にしていく」と決意を表し、労働契約法とパート労働法の改正審議が進んできており、署名などを活用したたかいを強めていくことを強調しました。
神奈川の山田事務局長は、「職場が立ち上がらなければ春闘にはなりえない。そこをどう激励するかが問われる」と語り、徹底的に職場に足を運び、きちんと話し組織をしていくオルグ活動を追及する決意を示しました。3月2日の県民集会と3月13日を最大の結節点とし、そこに向けて地域総行動を2回実施する計画を示し、「くらし守れの大行動」では、(1)民間職場ではストライキを構えよう、(2)県内18ヵ所で行われる重税反対集会に休みを取ってでも参加しようと呼びかけていくと述べました。
通信労組の宇佐美委員長は、「要求を全職場に知らせて、賛同できる行動にするために『春闘要求号外』を発行し、全国の職場で宣伝行動を展開する。非正規雇用労働者向けのビラも作成し運動を広げていく」と述べ、3月13日には始業時から10時までの全員ストライキを設定し、要求実現に向け奮闘していくこと表明。また、NTT関連職場で有期雇用契約者を雇止めするための条件整備が始まっていることを報告し、非正規雇用労働者の雇用の安定と均等待遇実現に向けた運動にも力を入れていく決意を示しました。
討論のまとめで、小田川事務局長は、「たたかいの構え・準備が着々と進んでいると同時に、今の情勢に見合った論議が進んでいることが確認できる討論となった。各組織で大胆な提案と補強の可能性を追求し、2月、3月のたたかいで成果に結び付けていこう」と呼びかけました。
「2014年春闘方針」を満場一致で確認し、「春闘闘争宣言」を採択。伊藤潤一代表幹事の音頭による「団結ガンバロー」で会議を締めくくりました。