〜「くらし守れ!平和を守れ!」の運動を広げよう〜厚生労働省前要求行動
夏のような日差しが降りそそぐ中、午前11時から開催した厚生労働省前要求行動には約700人の仲間が結集しました。はじめに、国民春闘共闘・小田川義和事務局長(全労連事務局長)が、春闘諸課題に関する情勢報告を兼ねて主催者あいさつを行いました。冒頭、2014年春闘での賃金闘争について触れ、「大企業では『ベア回答』も少なからず出ているが、中小企業や非正規雇用での賃上げは、消費税増税も含めた物価上昇局面で生活悪化に歯止めをかけるといった要求に照らしても十分な回答状況とはなっていない」と語り、「『すべての労働者のベースアップ』『最低賃金引き上げを含む賃金の底上げ』を求めて、重点労組を設定するなど力を集中させ、単産・地方一体でのたたかいを全国で強めていこう」と呼びかけました。
そして、「労働者の雇用を悪化させ、さらなる賃金低下をまねき、人間的な働き方から遠き、命を削る労働を増加させる」労働者派遣法や労働契約法の改悪など労働者保護の規制緩和を許さないたたかいを強化しようと訴えました。
また、武器輸出を原則自由化する新三原則を決定し、集団的自衛権行使の閣議決定を急ぎ、TPP合意に向け動き出し、原発政策継続を宣言する動きを見せるなど、米国オバマ大統領の来日を前に安倍政権の暴走が加速していると批判。「安倍政権の暴走を止めるために、地方議会での意見書や議員要請、署名を広げるなど、国民のたたかいで世論を大きくし、国会を変えていく取り組みをさらに強め、『くらし守れ!平和を守れ!』の運動を職場・地域で一回りも二回りも大きくしていこう」と呼びかけました。
元日弁連会長の宇都宮健児弁護士が連帯あいさつにかけつけ、「今の日本は貧困と格差が広がっている。こうした中、安倍政権は、生活困窮者の生活を支える生活保護を切り下げ、さらに医療・介護など社会保障全般の改悪をめざしている。消費税増税は貧困と格差をさらに広げ、安倍『雇用改革』は労働者にとっては地獄の国となる政策だ」と指摘。「貧困と格差を是正するためには、大企業・富裕層への課税を強化して、社会保障を通じて所得の再分配をすることや労働者保護規制の強化が必要であり、最低賃金の引き上げが極めて重要だ」と語りました。
つづいて、4組織の代表が決意表明に立ちました。生協労連の清岡弘一書記次長は、「非正規雇用労働者は昇給が少なく、低賃金が押し付けられ、常に雇止めの不安を抱きながら働いている。こうした実態を改善するためにも、全国一律で、最低でも1,000円以上の最低賃金制が待ったなしで求められている。雇用の原則は無期雇用だ」と力を込めました。
国公労連・全労働の津川剛書記長は、賃金課題、非正規・非常勤職員課題、労働法制改悪の3点について語り、「政府は、経済の好循環のために賃上げ・ベースアップが必要と言いながら、人事院勧告を無視した平均7.8%の公務員賃金引下げを押し付けた。それが3月に終わると、人事院が、地方職員や50歳台後半層の職員の賃金を引き下げる内容の『給与制度の総合的見直し』という新たな賃下げを強行しようとしている」と怒りを込めました。そして、「非常勤職員がいないと仕事が回らない状況でありながら、その労働条件は極めて劣悪だ。その原因は各省予算の中で採用人数や賃金を決定しているからだ。政府・人事院はこの問題に正面から向き合い、一刻も早く改善することを求める」と官制ワーキングプアの解消に全力をあげる決意を述べました。
JMIU・東京北部地協の菊池勝彦議長は、非正規雇用が半数の理研計器で、今春闘で初めて非正規雇用労働者の月額4,000円賃上げを勝ち取ったことや鈴木シャッター支部では、非正規雇用労働者の要求を掲げたたかい、時間外割増賃金や慶弔休暇制度など9項目の前進回答を引き出したことを紹介し、「成果を獲得できたのは、何度も労働組合が要求を出し続け、たたかい続けたからだ」と語りました。また、「基本的に正規雇用で働くことがあるべき姿だ。安心して働き、安心したくらしが出来る社会にしていこう」と訴えました。
東京春闘共闘からは新宿区労連・新宿一般労働組合の保科博一委員長がマイクを取り、労働相談に寄せられた、調剤薬局チェーン店での賃金切り下げや製造メーカーでの不当解雇の事例を報告し、「共通しているのは、『人を使い捨てにする』ということだ。こうしたことが全国で起こっている。どんな仕事、雇用でも人間らしく生きていける最低賃金、労働時間規制、均等待遇実現に向け奮闘していこう」と呼びかけました。
また、厚生労働省前要求行動と並行して、厚生労働省要請行動を行い、「全国一律最低賃金制の確立、時給1,000円以上への引き上げ、最低賃金審議委員の公正任命」などを求めました。
雇用破壊、暴走政治STOP!〜国会請願デモ・意思統一集会・国会議員要請〜
厚生労働省要求行動終了後、昼休み時間の霞ヶ関を日比谷公園霞門から国会に向けデモ行進を行い、参議院議員会館・講堂で意思統一集会を実施しました。
労働法制中央連絡会と共同で開催した意思統一集会では、国民春闘共闘・大黒作治代表幹事(全労連議長)が主催者あいさつ。「中小企業では、消費税増税の影響を懸念し回答を引きのばすところも出てきている。これから春闘ヤマ場を迎える組合も少なくない。経営者に組合員と家族の生活維持・向上を迫り、粘り強く賃上げを追及することが重要だ」と強調。そして、「後半国会の重大課題である労働者派遣法の改悪に対して、危機感をもち正面から向き合ってたたかっていこう。春闘後半のたたかいと結合して、集団的自衛権の行使を閣議決定で決めようと目論むなど暴走する政治をストップさせる大きなうねりをつくり出そう」と呼びかけました。
労働法制中央連絡会の井上久事務局長(全労連事務局次長)が情勢報告と行動提起を行い、「労働者派遣法改悪法案は、労働者のたたかいで政府・与党がめざした審議スケジュールを遅らせるところまで追い込んでいる。しかし、これまでも国会最終盤に十分な審議もないままに重要法案を成立させている政府・与党の姿勢をみれば予断を許さない状況だ」と語り、「今日の国会議員要請も含めて、後半国会の最重要課題として取り組みを強め廃案に追い込もう」と訴えました。
決意表明では、「安倍政権の掲げる労働法制の規制緩和が、労働争議の判決に影響を及ぼし始めている。個別企業に責任を取らせると同時に、労働法制の規制緩和をなんとしても阻止していかなければならない」(全労連・全国一般神奈川地本・恩田隆史書記長)、「世界で一番企業が活動しやすい国の人づくり、戦争する国の人づくりを進める安倍『教育再生』は絶対に許してはならない。教育は権力者のものであってはならないという大前提をひっくり返す、教育委員会制度を含む地方教育行政法の改悪阻止のために、署名や世論を広げ奮闘していく」(全教・中村尚史中央副執行委員)、「2014年春闘でも非正規雇用で働く仲間を取り巻く状況は厳しいものとなっている。消費税増税を理由に、『先行きが見えない』と非正規雇用労働者の賃上げ回答をしない経営者も多くいる。低賃金、不安定雇用で『先行きが見えない』のは非正規雇用労働者だ。最後まで賃金引き上げを求めてたたかっていく。先日、衆議院を通過したパート労働法改正法案は、均等待遇が担保されない、人材活用の仕組みの違いによる差別の容認など抜本的な改正とはなっていない。参議院で一歩でも二歩でも改善させるために運動を強めて行く」(非正規センター・柳恵美子副代表)と3組織の代表からたたかう決意が述べられました。
つづいて、国民春闘共闘・伊藤圭一事務局次長(全労連調査局長)が最低賃金闘争についての情勢報告を行い、日本共産党・小池晃参議院議員が激励連帯あいさつにかけつけ、国会情勢報告を受けました。そして、小池議員には、4万8,500筆の「憲法をいかし安定した雇用を求める国会請願署名」を託しました。
最後に、国民春闘共闘・大谷充代表幹事(出版労連委員長)が「すべての労働者が働きやすい職場や社会にするためにも、安倍政権の暴走を阻止するためにも大きく声を上げていこう。5月1日のメーデー成功に向けても奮闘していこう」と閉会あいさつを行い、団結ガンバロー三唱で締めくくりました。
集会後、「雇用の規制緩和をやめ、賃金引き上げと非正規労働者の処遇改善」を求め、国会議員要請行動に取り組みました。