2014国民春闘共闘情報
全労連HP

第26号 2014年4月24日

2014春闘・第5回賃上げ集計

中小組合も奮闘!組合平均賃上げ率2%台に

 国民春闘共闘委員会(全労連、純中立労組懇、地方共闘などで構成)は23日、2014年春闘における第5回目の賃金改定集計を行いました。

<回答状況>
  2014年 2013年
登録組合数 859 870
回答組合数 403(46.9%) 399(45.9%)
うち金額・率回答    307    325
うち「定昇のみ」など
言葉による回答
96     74
  うち上積み獲得 95(23.6%) 73(18.3%)
うち妥結組合数 150(37.2%) 161(40.4%)

<回答内容>
集計方法&対象 2014年 2013年 (前年比)
単純平均 額(円) 5,834 5,445 +389
率(%)  2.00  1.92 +0.08
加重平均 額(円) 6,225 5,951 +274
率(%)  2.05  2.02 +0.03
組合員数(人) 81,142 94,194  

<前年実績との比較が可能な組合における回答状況(単純平均額での比較)>
前年比較可能な組合数 うち前年実績以上 (前年超) (同 額)
280 181(64.6%) 154 27

<前年実績との比較が可能な組合における単純平均額の比較>
組合数 金額・率 前年実績 (前年比)
単純平均 額(円) 280 5,885 5,497 +388
率(%) 182 2.04 1.89 +0.15
※額または率のみの報告があるため、双方は連動しません。
※「定昇のみ」など言葉による回答は計算から除いています。

<集計結果の概要>
 回答引出し・妥結状況

 第5回集計には、22単産・部会(うち、通信労組は、数字でなく言葉による回答のため総括表には表記せず)から報告が寄せられました。今回の集約には4月14日を回答指定日に設定した映演労連も含まれています。
 登録859組合のうち、回答を引き出したのは、第4回集計(4月10日時点)から42組合・4.9ポイント増え、403組合・46.9%となりました。前年同期(2013年4月25日時点:399組合・45.9%)を1ポイント上回っています。
 回答を引き出した組合のうち妥結したのは、150組合・37.2%(「定昇のみ」などの言葉による回答組合も含む)で、前回調査から61組合・12.5ポイント増えました。しかし妥結数・率は、前年同期(161組合・40.4%)よりも11組合・3.2ポイント下回っています。物価上昇のもと、生活を守る責任ある回答を求めて、4月の春闘後半戦に入っても上積みを求めて粘り強い交渉が続けられている様子が伺えます。

全体の回答内容
 有額回答を引き出した21単産・部会での単純平均(一組合あたりの平均)は、5,834円・2.00%で、加重平均(組合員一人あたりの平均)は、6,225円・2.05%となっています。
 前回調査時点に比べると、単純平均は金額で9円減・率でプラス0.03ポイント、加重平均は15円減・率ではプラス0.01ポイントとなっていますが、前年同期との比較では、単純平均で389円増・プラス0.08ポイント、加重平均で274円増・プラス0.03ポイントとなっています。例年、4月後半に入ると、数字が落ちていく傾向にありますが、今年は下がり幅が小さく、水準をキープしている点が特徴です。
 回答引出しのあった403組合のうち、JMIU(23組合)、化学一般労連(17)、地方マスコミ(12)などを中心に13単産・部会の95組合(23.6%)が数次にわたる交渉で上積み回答を引き出しています。前回調査から22組合・3.4ポイント増え、前年同期(73組合・18.3%)からは22組合・5.3ポイント増えています。前年妥結額を上回る回答を引き出しても「消費税増税などによる生活悪化を考えれば十分な回答とは言えない」と妥協せずに6次回答を引き出し、なお、粘り強くたたかっているJMIUの組合を筆頭に、5次回答が4組合、4次回答6組合、3次回答23組合、2次回答61組合となっています。
 月額1万円以上の賃金引き上げを獲得した組合は前回調査から2組合増えて25組合となり、前年同期を6組合上回っています。
 賃上率が2.0%以上の組合に注目すると、出版労連の組合が2次回答から0.5%上積みして6.2%の3次回答を引き出したのを筆頭に、4%台が建設関連労連、日本医労連、JMIUの3組合、3%台がJMIU(10)、出版労連(3)、建設関連労連(2)、民放労連、地方マスコミ、地方登録組合(各1)の18組合、2%台が92組合の計114組合となっています。
 単産・部会別の集計をみると、単純・加重平均の額・率ともに全体平均を上回っているのは、建設関連労連、JMIU、全労連・全国一般の製造、検数労連、郵政産業ユニオン、民放労連、出版労連の7単産・部会です。
 なお、単純平均額で前年同期と比較が可能な19単産・部会のうち、14単産・部会が対前年同期比プラス、5単産・部会がマイナスとなっています。
 また、規模別でみると、前回調査と同様、中小規模組合が健闘しているほか、「1000人以上」が前年同期比プラスに転じ、高水準の回答を引き出して全体を牽引しています。

前年実績比較可能組合での回答状況
 前年実績との対比が可能な280組合での単純平均額は5,885 円で、前年実績比388円増となっています。このうち64.6%にあたる181組合が前年実績額以上の回答を引き出し、前年同期163組合を18組合上回っています。前年実績を超えた組合も前年同期(127組合)より27組合多い154組合となっています。
 単産・部会別にみると、建設関連労連3,417円増、全労連・全国一般の製造1,979円増、建交労・建設1,800円増、検数労連1,678円増など、単純平均額で前年実績比プラスが21単産のうち17単産・部会となっています。
 引き上げ率で前年実績と対比が可能な182組合の結果は単純平均で2.04%となり、前年実績を0.15ポイント上回っています。率で比較可能な20単産・部会のうち、プラスは16単産・部会、マイナスは4単産・部会です。
 規模別では、「1000人以上」が額で、「300〜999人」が率でマイナスとなっているほかは、前年実績比プラスとなっており、全体での回答状況と同様に、中小規模組合での奮闘が伺える状況となっています。

パート・アルバイトなど非正規雇用で働く仲間の賃上げ
 パート、アルバイトなど非正規雇用で働く仲間の賃上げは、別表10単産の137組合から229件の成果獲得の報告が寄せられました。時間額での引き上げ獲得は172件、日額は15件、月額は42件となっています。
 獲得件数は、前回調査(4月10日時点:9単産・108組合・180件)から29組合・49件増え、前年同期(2013年4月25日時点:10単産・170件)を59件上回っています。
 時間額の引き上げ額回答の報告があった131件の単純平均額は23.1円です。前回調査(106件平均15円)から8.1円上昇しています。前年同期の水準(91件平均25.3円)にはとどいていませんが、出版労連で平均106.7円、建交労・平均48円、日本医労連・平均35.1円、福祉保育労・平均26.4円、自治労連関連・平均25.9円など、各組織で成果を勝ち取っています。建交労の学童保育の組合からは「時間額150円の引上げ」の報告が寄せられています。
 日額では、高知県の福祉保育労の組合が「臨時保育士210円の賃上げ」を実現するなど、15件平均158.9円となっています。また、月額の単純平均賃上げ額は、化学一般労連の組合で「契約社員7,092円の賃上げ」など34件平均で2,666円となっています。

企業内最低賃金協定改定状況
 企業内最低賃金協約の締結・改定は、別表の6単産124組合から報告が寄せられています。今回あらたに化学一般労連から獲得報告が寄せられました。また、全印総連(9組合増)、JMIU(2組合増)からあらたな報告が寄せられ、前回調査(4月10日時点)から25組合増えています。前年同期(2013年4月25日時点:6単産・60組合)を64組合上回っています。
 月額では、改定後の金額表示のあった90組合の平均は18万0,092円、日額で38組合平均8,254円、時間額で98組合平均981円です。前年同期(月額16万1,193円・日額7,196円・時間額828円)を大幅に上回っています。
 引き上げ額・率では、月額では67組合平均3,392円、率で66組合平均2.07%、日額では37組合平均236円・3.40%、時間額は79組合平均19.9円・2.09%の上げ幅となっています。
こうした各組合の企業内最賃の前進を地域にも持ち出して、夏の法定最賃の大幅引き上げに弾みをつけましょう。

<参考> 他団体の賃上げ集計結果

●連合の第4回(臨時)回答集計(平均賃上げ方式・4月16日公表)は以下のとおりです。
集計対象 集計組合 加重平均 単純平均
組合数 人数(万) 金額 昨年 金額 昨年
全組合 2,510 201.3 6,381 2.18 5,142 1.77 4,743 1.93 4,225 1.67
中小共闘 1,623 16.6 4,651 1.91 4,118 1.66 4,290 1.85 3,911 1.63
※中小共闘は、規模300人未満

●連合・第3回回答集計(非正規雇用労働者の賃金引き上げ・4月1日公表)は以下のとおりです。
集計対象 時間額 月額
組合数 金額 組合数 金額
全組合 129 14.08 87 3,339

●日本経団連の第1回回答集計(4月16日現在)は以下のとおりです。
集計対象 集計企業 加重平均 単純平均
社数 人数 金額 昨年 金額 昨年
加盟企業 41 7,697 2.39 6,051 1.88 5,930 1.98 5,194 1.74
※調査対象は、原則として東証一部上場、従業員数500人以上の企業

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