2014国民春闘共闘情報
全労連HP

第37号 2014年7月2日

なくせ賃金の地域格差!

6・25中央行動 第2次最賃デー

 全労連・国民春闘共闘・東京春闘共闘は6月25日、最低賃金・時給1,000円以上の実現と全国一律制の確立、公務員賃金の改善、労働法制の規制緩和・社会保障の大改悪阻止、公契約の適正化などを求めて「6・25中央行動」厚生労働省前ロングラン座り込み行動を実施し、400人の仲間が参加しました。

〜厚労省前ロングラン座り込みスタート集会〜
 午前11時、東の空に雨雲が立ち込める中、「最低賃金1,000円以上、全国一律最低賃金制の実現!均等待遇の実現、なくせ賃金の地域格差!公契約の適正化を」厚生労働省前ロングラン座り込み行動がスタートしました。
 スタート集会で主催者あいさつにたった国民春闘共闘・伊藤潤一代表幹事(東京春闘共闘代表)は、「春闘では中小企業労働者が大いに奮闘し賃上げを勝ち取ったが、消費税増税や物価上昇に追いつく賃上げとはなっていない。これから夏が始まり暑くなるが、職場・地域から世論を広げ、熱くたたかっていこう」と呼びかけました。
 国民春闘共闘・伊藤圭一事務局次長(全労連調査局長)が、7月1日に第1回目の中央最低賃金審議会が開催されること、6月18日に中央最低賃金審議会の目安制度のあり方に関する全員協議会の初回が行われ、7月、8月に今年の地域別最低賃金をいくらにするかの審議を集中して行い、9月以降に「目安のあり方」そのものについての抜本的な議論をする流れとなることや世界各国で最低賃金引き上げが進んでいることなど、最低賃金をめぐる情勢を報告。
 つづいて、建交労の福冨書記次長が、「建交労・全国青年部で取り組んだ春闘アンケートでは、生活環境が『かなり苦しい』、『やや苦しい』が72.3%にも及び、それを裏付けるように、年収200万円未満が2割近く、200万円から300万円が5割を超える」とアンケートに寄せられた青年労働者の厳しい生活実態を語り、「政府は、どれだけ働いても低賃金の非正規雇用を意図的に作り出している。切実な要求を実現するためにたたかっていく」と力を込め決意を述べました。
 その後、「最低賃金引き上げに向けて、国を動かそう」(福祉保育労・佐々木さん)、「最低賃金が低い状態では、経済が良くならずタクシーの顧客も増えない」(自交総連東京・丹波さん)、「地方自治体では、非正規雇用比率5割にも上る自治体もある。地方からも声を上げて最低賃金を引き上げていきたい」(自治労連・水谷女性部長)、「最低賃金すれすれの『なんちゃって正社員』が蔓延している。まともな賃金にするためにも、最低賃金引き上げと公契約適正化を求めて奮闘していく」(全労連・全国一般埼玉・林委員長)、「女性の貧困化、貧困の女性化が加速度的に広がっている。政府が非正規雇用を広げ、最低賃金を本気で引き上げようとしていないことが原因の一つだ」(全教・小畑常任中執)、「兵庫でも審議委員の公正任命や公開審議を求めて奮闘している。全国と一緒になってたたかっていく」(兵庫労連・土井さん)、「100筆チャレンジャーに挑戦するなど、10万署名に取り組んでいる。一人一人が主体的に行動し署名をやりきる」(埼労連・舟橋事務局次長)、「『これでは生活できない』という当事者の声を、全国津々浦々で突き付けて『本当にこれでいいのか』ということを訴えていこう」(神奈川労連・福田副議長)と、時折降り出す雨の中、参加者から熱い発言が相次ぎました。
 また、参加者がプラカードに書き込んだ要求を英語でface bookに配信し、世界中に連帯を呼びかけました。

〜「最低賃金・全国一律1,000円以上の実現を!
   公務員賃金の地域格差拡大反対」昼の要求行動〜

 日が射し始めた正午すぎから行った昼の要求行動には、400人の仲間が厚生労働省前に結集しました。国民春闘共闘・大黒作治代表幹事(全労連議長)が主催者あいさつを行い、「大企業の株主総会では、続々と空前の利益が報告され、富裕層には新たな富がもたらされている。しかし、多くの国民は、燃料費や食料品の値上げ、4月からの消費税増税、社会保障の後退など耐え難い生活悪化が続いている」と述べ、「最低賃金を1,000円以上に引き上げること、時間額205円にもなる地域間格差をなくすことは、生活を向上させ、購買力を上げるためにも喫緊の課題だ。また、公務員賃金制度の抜本的改悪は、中央官僚優遇、一般職員の賃下げによる人件費削減であり、政府は、権力に忠実な公務員制度を『戦争する国づくり』と一体のものとして進めようとしている。本日の中央行動をステップにして、暴走政治をストップさせるよう大きな世論をつくっていこう」と呼びかけました。
 つづいて、国民春闘共闘の小田川義和事務局長(全労連事務局長)が情勢報告を行いました。冒頭、「私たちは今、平和、憲法の危機に直面している」と集団的自衛権行使容認、解釈改憲の動きに怒りを込め、「許されることではない。FAXやメールで、政府、自民党、公明党に抗議の声を集中しよう。署名や宣伝で『憲法の危機』を多くの人に伝えよう」と訴えました。また、安倍政権が決定した「骨太方針」、「新成長戦略」について、「企業の儲けの場の拡大、できるだけ少ない人件費の投資で儲けを確保する企業行動を経済活動の中心に置くもので『労働者にとって百害あって一利なし』の内容でしかない」と批判。「最低賃金闘争も人事院勧告闘争もこれから1ヵ月が山場となる。アベノミクスの強行に歯止めを打つたたかいとともに、職場・地域で力を合わせていこう」と呼びかけました。
 決意表明では4組織の代表が発言。JMIUの笠瀬隆司書記次長は、全国で「意見書」運動に取り組み、今日、中央最低賃金審議会に提出することを報告。また、政府が掲げる「残業代ゼロ」の押し付けに対し怒りを示し、「当たり前の要求を全面に掲げ、時間額1,000円以上の実現、残業代ゼロの押し付けを許さないたたかいに全力をあげる」と決意を述べました。
 国公労連の花岡利至中央執行委員は、「人事院が狙う『国家公務員の給与制度の総合的見直し』は、民間賃金が低い地域に合わせて公務員賃金を下げ、55歳以上の職員の賃金を更に下げ、行二職員の賃金・労働条件を引き下げる内容であり、新たな賃金削減にほかならない。新たな賃金削減を阻止し、非常勤職員の賃金改善のためにも全国一律最低賃金制の確立、最低賃金の大幅引き上げを実現するために奮闘していく」と述べました。
 日本医労連の原英彦書記次長は、「医療提供体制を縮小し、患者を追い出し、介護にかかれなくし、負担を大幅に引き上げる医療・介護総合法を糾弾し、実施阻止に力を合わせよう」と訴えました。そして、「公務員賃金の地域間格差が広がれば、医療の現場でも賃金が低い地方から人材の流出が始まり、人手不足が更に深刻になる。最低賃金も地域間格差をなくさなければ地方での人材確保問題は解消しない」と語りました。
 生協労連の渡邊一博書記次長は、流通産業では、パート職員など非正規雇用労働者がいなければ仕事が回らない状況なのに、その賃金・労働条件は極めて劣悪なものとなっている実態を「パート労働黒書」の内容を紹介しながら報告。「均等待遇と全国一律最低賃金1,000円以上の実現に向け、全力をあげて取り組んでいく」と力強く発言しました。
 大粒の雨が降り出す中、厚生労働省に向けての熱いシュプレヒコールで昼の集会を締めくくりました。

〜安倍政権の雇用破壊を阻止しよう!厚生労働省前路上アピール行動〜
 激しい雨の中、13時から安倍「雇用破壊」阻止の要求行動を開始。全労連・生熊茂実労働法制闘争本部長(JMIU委員長)は、「非正規雇用の拡大と雇止め自由」、「解雇の金銭解決、限定社員の導入、残業代ゼロの3点セットの正社員改革」をやろうとしているのが安倍雇用破壊だ。「このたたかいは安倍政権を急落させるたたかいともなる。世論を更に広げ、安倍『雇用破壊』を阻止していこう」と呼びかけました。
 全労連・井上久事務局次長が「安倍雇用改革は、私たちの働き方をどうしようとしているのか?」と題して情勢報告を行い、「労働者保護法制、労働基準の全てをなし崩しにする攻撃を食い止めるたたかいと、職場の働くルールを取り戻すたたかいをセットに全国的に運動を展開していこう」と訴えました。
 つづいて、東京地評女性センターと渋谷区労連の仲間が、ドラマ「リーガル・ハイ」のパロディ寸劇「イリーガル・ハイ」を実演。「地域限定正社員制」や「職種限定正社員制」が導入されたら職場は、働き方はどうなって行くのか、楽しく、分かりやすく熱演しました。

〜許すな!社会保障大改悪 路上セミナー〜
 強い雨が通り過ぎた14時からは、「学んで、行動して、社会保障解体をストップさせよう」と、許すな!社会保障大改悪〜路上セミナーを開催。
 全労連・高橋信一社会保障闘争本部長(全労連副議長)が、「医療・介護難民を生み、国民のいのちと健康を脅かす社会保障制度改悪は断じて許してはならない」と主催者あいさつ。つづいて、中央社会保障推進協議会の山口一秀事務局長が連帯あいさつを行い、「先週末、新たな医療・介護難民を生む医療・介護総合法が強行成立した。法案審議が始まった時から審議日程に合わせ、座り込み行動や傍聴行動、国会議員要請などを繰り広げ、多くの仲間が参加し抗議の声を上げた。中央社保協は、この秋から新たな闘争態勢を組んでたたかっていく。これまで以上に固く、団結、連帯してたたかっていこう」と訴えました。
 その後、福祉保育労・仲野副委員長、自治労連・國貞執行委員、日本医労連・鎌倉副委員長が、社会保障改悪で「私たちの身に何が起きるか」やさしく解説。医療・介護総合法や子ども・子育て新制度などの問題点、住民や自治体との共同を広げたたかうことの重要性などが語られました。
 リレートークでは、「介護の現場では利用者の負担を軽減しようと必死に考えて仕事をしているのに、負担増なんて許せない」など、参加者から怒りの発言が相次ぎました。

〜座り込み行動・集結集会〜
 ロングラン座り込み行動の最後となった「終結集会」では、最低賃金審議会公益委員との懇談を行った要請団を代表して福祉保育労・澤村直書記長が、(1)公開審議にすること、(2)政労使合意「早急に800円、2020年までに平均1,000円」を確実にする施策を行うこと、(3)最低賃金と生活保護の比較方法の見直しを行うことの3点を重点に要請、懇談を行ってきたことを報告しました。
 つづいて、国民春闘共闘・小田川義和事務局長が行動提起を行い、(1)労働者の実態を可視化し、当事者の声を組織し、共感と共同を広げ、政府や厚生労働省を追い詰めていくこと、(2)諸課題で呼びかけられている行動や署名に取り組みながら「7・25中央行動」を大きな節目に集中点を作り出していくこと、(3)厚生労働省や自治体への要請行動、政府や人事院への繰り返しの要請・交渉を強めて行くこと、の3点を提起し、「要求の声、怒りを多くの人達に訴えながら、声を、共同を広げ、たたかいをつくりだし、世論で状況を、政治を変えていくことに力を寄せ合おう」と呼びかけました。
 行動提起を受け、「経営者の状況をみると、賃金・労働条件を引き上げるためには法律で縛る必要がある。負けられないたたかいに勝利するために奮闘していく」(建交労・藤好委員長)、「若い人たちが希望を持ち働けるようにするためにも、最低賃金大幅引き上げのたたかいを強化していく」(全労連・全国一般神奈川地本・村越委員長)、「タクシー労働者の賃金は低く、徳島での平均賃金は、所定内賃金を時間で割ると626円にしかならない。賃金が低いと労働者の成り手がいなくなり、運転者不足が深刻になっている。業界の将来を考えても、賃金の底上げが必要だ」(自交総連・菊池書記次長)と3組織の代表がたたかう決意を表明しました。
 最後に、全労連・根本副議長の閉会あいさつを行い、団結ガンバロー三唱で、5時間に亘るロングラン座り込み行動」を締めくくりました。

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