2014国民春闘共闘情報
全労連HP

第40号 2014年7月17日

我がことと思い審議を

全国一律最低賃金1000円以上に

 中央最低賃金審議会における第2回目の「目安に関する小委員会」が15日に厚生労働省内で開催され、生活保護との乖離状況や30人未満の事業所の賃金改定状況など、目安審議において例年、重視される統計資料が出され、審議が行われました。全労連・国民春闘共闘委員会は、15時から開催される目安小委員会にあわせ、委員が集まってくる14時15分から、厚生労働省前で最低賃金の抜本改正を求める要求行動を実施しました。

 目安小委員会の開催に先立ち行った要求行動には、20人が参加し、審議会に集まってきた、審議会の委員に訴えました。
 東京パート非正規労働者連絡会を代表してマイクを握った、東京地評の菊池光男組織局長は、7月に実施した業界団体(日本フード協会やチェーンストア協会、ビルメン協会など)との懇談の様子を披露。業界側からは、「人手不足が深刻。時給1000円程度ではもはや人はこない。1000円以下では人は雇えないので皆さんの主張は業界にとっても問題ない」という発言があったエピソードを紹介し、「飲食店ではひどい事例もあるはずという話が、こちらから出たが、業界が最賃1000円に違和感なしと言っていることは重要」と強調しました。一方で、消費税増税に対応できないなど、自主廃業する“隠れ倒産”が増えていることも紹介。「政府は成長戦略で、中小企業支援をするというが、本当に中小企業のためになる政策を実施し、最低賃金を引き上げて消費購買力を引き上げることが必要」と訴えました。
 また、「ドイツは2年の準備期間で全国一律最低賃金を導入8.5ユーロ(約1,186円)とすることを決めている。アメリカではオバマ大統領が全国一律の最低賃金を10.10ドルにする法改正案を打ち出し、全米市長会議がこれに賛同している。日本政府や審議会は何をしているのか」と、世界の最低賃金改定の流れのなかで、出遅れている日本の状況を痛烈に批判し、対応を求めました。
 つづいて、発言した東京自治労連の喜入肇書記次長は、「審議委員には、非正規の問題を我がこととしてとらえてもらいたい」と強調し、「東京の自治体では、週4〜5日フルタイムで働いて月収14万円という非正規雇用労働者がたくさんいる。時間額で、最低賃金の869円程度だ。この賃金では、外食などはほとんどできず、月に1回、仲間と音楽活動をしたときに外食するのが楽しみだといった人もいる。また、親の介護のために、正規での就労を止めざるをえなくなり、介護が終わった後は就職したくても正規の仕事がなく、自治体非正規で働き始めている人もいる。一度仕事をやめると、正規での就労がなく、非正規だと低賃金でまともに暮らせない。憲法25条がまったく保障されていないではないか」と、低賃金で働く労働者の実情を告発し、日本の最低賃金の機能不全の重大さを指摘しました。
 また、「支払い能力論について述べたい」として、「業界団体との懇談では、法律で引上げられたら、ちゃんと引き上げると言われた。また、今の状況は低賃金化の競争がはげしくて、下げざるをえない。賃金を引き上げた上で、公正競争を!と経営者も言っている」と使用者の声も引用し、ちょうど通りかかった労働者委員と随行員の一団に対し、「頑張って、しっかり審議してください」とエールをおくりました。

〜第2回目安小委員会〜
 7月15日(火)15時から、最低賃金額改定の「目安」を決める中央最低賃金審議会の第2回目安小委員会が開催され、目安審議において例年、重視される統計資料等が出そろいました。
◇平成26年賃金改定状況調査結果
 平成26 年6月1日現在の常用労働者数が30 人未満の企業に属する民営事業所で、1年以上継続して事業を営んでいる事業所から抽出された4000事業所(都道府県庁所在都市約3000、地方小都市約1000事業所)を対象に、主に、所定内賃金が、前年6月よりいくら変化しているかを調査しています。
 今年の結果(産業計・男女計・一般労働者+パート労働者)は;Aランク1.5%、Bランク0.8%、Cランク1.0%、Dランク0.9%で合計1.1%となっています。
 使用者側は、小規模企業の賃金改定状況をとりわけ重視すべきと主張しています。金額の主張はまだなされていませんが、念頭にあるのは1.1%、8円程度という低額目安のようです。
◇生活保護と最低賃金
 生活保護の2年前の実績値と2年前の最低賃金との乖離額を計算し、昨年の最賃改定額をふまえても乖離が残った地方は、北海道11円、宮城、東京、兵庫各1円、広島4円という数字が発表されました。相変わらず、労働時間は173.8時間という長時間の設定とし、沖縄の最低賃金をもとに沖縄の税・社会保険料を考慮した公課負担率を各地方にあてはめ、都道府県内の生活保護の級地別の人口加重平均をとり、勤労にかかわる経費は計算しない等のゴマカシ計算をしていますが、それでもなお、5地方では生活保護より、最低賃金が下回ったということです。
 労働側は、「単年度で解消すべき乖離」と主張しましたが、使用者側からは、「企業の支払い能力を考えないと悪影響が出る」といった慎重意見もでたようです。11円ですら、解消できないという見方に最賃抑制の姿勢があらわれています。
◇消費者物価の見通し
 最新の経済指標の動向の中でも、消費者物価について、労使から言及があった模様です。物価は、2012 年度−0.3%、2013 年度+0.7%程度、そして2014 年度見通しは3.2%程度とされています。これをふまえ、労働者側からは、最低でも物価上昇分はクリアしないといけないという意見がだされています。一方、使用者側は物価上昇の背景にある消費税増税について言及。価格転嫁ができずコスト高となっていると経営の厳しさを主張しているようです。

○第3回目安に関する小委員会 7月23日(水)17:00〜  於 厚生労働省
※「7・23目安小委員会・要求行動」を実施します。16:15〜17:00厚生労働省前です


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