第43号 2014年7月28日
2014年度最低賃金改定の目安答申、人事院勧告を目前に控えた25日、全労連・国民春闘共闘は、全国一律最低賃金1,000円以上の実現、人事院による公務員「給与制度の総合的見直し」反対、公務員賃金改善、労働法制改悪反対、国民本位の財政確立などを求めて「7・25中央行動」に取り組みました。灼熱の太陽が照りつける中、日比谷野外音楽堂での総決起集会、厚生労働省・人事院前要求行動などを展開し、全国各地から2000人が結集しました。
〜7・25中央総決起集会〜 気温が35度を超す中、昼過ぎから日比谷野外音楽堂で、全労連・国民春闘共闘、国民大運動実行委員会が主催の「諸要求実現7・25中央総決起集会」を開催しました。 全農協労連の宮ア陽子・女性部事務局長、全教の藤田亮介・青年部副部長(京教組)の司会で幕を開けた中央総決起集会で、主催者を代表してあいさつに立った国民春闘共闘の大黒作治代表幹事(全労連議長)は、今春闘では、国民春闘共闘に結集する組合では各職場、地域の奮闘で多くの組合で賃上げを勝ち取り、大企業でも6年ぶりのベースアップが実施されたが、円安や消費税増税、原材料高騰などによる物価上昇には追い付いておらず、消費購買力はあがっていないと語り、「賃金を底上げする最低賃金引き上げこそ景気回復の確かな道だ」と強調。「安倍内閣が労働法制の大改悪を狙う中、要求実現と結びつけて安倍暴走政治ストップへ奮闘しよう」と訴えました。 アメリカでファストフード労働者の賃上げ・組織化運動をすすめている「ファストフード・フォワード・キャンペーン」のニコラス・ルディコフ氏が集会に訪れ連帯あいさつ。日本をはじめ33ヵ国・100都市以上にひろがっているファストフード労働者の賃上げのたたかい、時給15ドルの最低賃金を求めてストライキで立ち上がるアメリカでのたたかいが紹介され、「最低賃金は生活できる賃金でなければならない」と力強く訴え、日本の最低賃金改善のたたかいに連帯する決意が示されると会場から大きな拍手がわき起こりました。 つづいて、国民春闘共闘・小田川義和事務局長(全労連事務局長)が情勢報告。通常国会で労働者派遣法改悪法案を廃案に追い込んだことや、最低賃金の二桁の引き上げを勝ち取ってきたことなど、運動の力と要求の正当性に確信を持ち、最終盤のたたかいに全力をあげること、集団的自衛権行使によって「戦争する国づくり」をねらう安倍政権に声を上げていくことが訴えられました。 決意表明では、4組織の代表が発言。国公労連からは、四国ブロック国公の岡部拓也事務局長が登壇し、全国から集まった国公の仲間のノボリ旗や寄せ書きのタペストリーをバックにして、「公務員の恒久的賃下げをねらう人事院からは現時点でも納得ある回答が示されていない。賃金格差を広げる『給与制度の総合的見直し』は断じて許されない。人事院がなすべきことは公務労働者の賃金改善だ。最後まで奮闘する決意だ」と述べました。 生協労連のコープ宮崎労組・渕上和子副委員長は、「最低賃金の全国格差は205円に広がっており、地方での働き手がいなくなっている。地域経済の活性化のためにも、1,000円以上の最低賃金の早期実現に向けともにがんばろう」と呼びかけました。 全国生活と健康を守る会の山本泉全国理事は、「生活保護費の切り下げは、最低賃金にもかかわる問題だ。生活保護の改善を求めて、全国で1万人以上の不服審査請求にとりくんできた」とこれまでの運動を報告。 静岡県評の林克議長は、最賃1,000円以上実現へ有識者アピールなどを出してたたかいを進め、憲法キャラバンで自治体を回って懇談するなかで、最低賃金審議会の委員になりたいという首長も出てきたと語り、「隣の神奈川県と比べ最低賃金の格差が時給119円もあり、人口が流出している。全国一律制の確立が必要だ」と強調しました。 集会の最後に農民連の笹渡事務局長が閉会あいさつし、「日本を戦争できる国にする安倍暴走政治は許せない。安倍内閣打倒のたたかいにむけて、今日の集会を出発点にしよう」と呼びかけ、最後に参加者全員で団結ガンバロウを三唱して集会を閉じました。
〜厚労省・人事院前要求行動〜 中央総決起集会につづいて厚生労働省・人事院前での要求行動を実施。道を挟んだ日比谷公園噴水前まで参加者で溢れかえりました。 国民春闘共闘・伊藤潤一代表幹事(東京春闘共闘代表)が主催者あいさつを行い、「アベノミクス3本の矢は、全て『的はずれ』であることが露わになった」と批判。「賃金の地域間格差を解消し、日本経済を真に再生させるには、最低賃金の大幅引き上げと公務員賃金の改善が不可欠だ」と述べ、「労働法制など様々な課題で重要局面を向える秋の臨時国会に向けても、この夏から奮闘していこう」と呼びかけました。 国民春闘共闘・伊藤圭一事務局次長が、目安審議がつづいている最低賃金をめぐる情勢について報告。春闘期からたたかいを進め、政府に「最低賃金の引き上げに努める」と言及させたことは大きな成果だ。しかし、審議会では、労働側の50円以上の引上げ要求に対し、使用者委員はわずか1.1%(8円)の引上げに押しとどめようとしていることを報告し、「3%台後半の物価上昇となる中、4%(40円以下)以下の引き上げでは、実質賃下げとなる」と指摘。地方では使用者委員からも目安の引上げを求める声がでていること、新潟では市長が、生活保護費との比較に関する厚生労働省のごまかし試算に対し「新潟では生活保護水準を37円下回る状況となっており、逆転現象解消へ特段の配慮を求める」と労働局に要請書を提出したことを紹介。また、人事院も賃金の地域間格差を更に広げようとしていると怒りを込め、「官民一体のたたかいで最後まで奮闘していこう」と訴えました。 つづいて、「非正規雇用労働者が4割に達し、正規雇用でも最低賃金並みの賃金の職場も散見される、ワーキングプアをなくすために、政府の責任で一日も早く、全国一律時給1,000円以上の最低賃金を実現する必要がある」(全労連・全国一般東京地本・室井清委員長)、「神奈川と静岡では、県境を隔てて最低賃金が119円もの格差があり、人口流出の原因となっている。地域経済活性化のためにも最低賃金の大幅引上げと公務・公共サービスの充実が求められている」(静岡自治労連・中東遠総合医療センター非常勤職員組合・河原崎由利子副委員長)、「労働法制大改悪はまさに職場の要求だ。7月の定期大会で労働法制改悪阻止の統一ストライキ権を全組合で確立し、総決起しようと呼びかけた。安倍内閣打倒のたたかいに労働組合が結集し、国民的運動をつくり上げよう」(JMIU・三木陵一書記長)、「埼玉の地方最低賃金審議委員会に4万5千人分の署名を提出した。昨年の2.5倍の集約数だ。最低賃金改善を全県的な運動へとつなげていきたい」(埼労連・舟橋初恵事務局次長)とたたかう決意が語られました。 最後に、全労連・高島事務局員のリードで厚生労働省・人事院にシュプレヒコールをぶつけました。 厚生労働省前・人事院前要求行動を終えた参加者は、人事院前、財務省前、農林水産省前に分かれ、各省前での要求行動を展開し、15時から日比谷公園に集合し、東京駅近くの鍛冶橋駐車場前まで銀座デモを実施。灼熱の太陽に負けない熱いシュプレヒコールを響かせ、道行く人々にアピールました。
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