【談話】「非核証明書」を提出せずに軍艦の神戸港入港を強行したアメリカと、入港を許可し地方自治を形骸化した神戸市に対し、断固として抗議する
2025年3月25日
全国労働組合総連合
事務局長 黒澤幸一
「非核神戸方式」が発足して50年、初めて米軍が神戸市に対し、掃海艇「ウォーリア」の入港を申請した。申請を受理した神戸市は、非核証明書が提出されていないにも関わらず、外務省からの「搭載能力がない以上、核兵器を搭載していないことにつき、我が国政府として疑いを有していない」との回答をもって「非核が証明された」と判断し、入港を許可した。
「ウォーリア」は3月24日、多くの人々が抗議するなか、神戸港に入港した。
全労連は、「非核三原則」を持つ日本の主権をないがしろにするアメリカと、自ら地方自治を形骸化する神戸市に対し、断固として抗議する。
1975年3月18日、神戸市議会は他国に対して核兵器を搭載していない「非核証明書」の提出がなければ神戸港へ軍艦の入港を認めないとした「非核神戸方式」を、全会一致で採択した。それから50年間にわたり、神戸市は例外なしに諸外国に「非核証明書」の提出を求め、アメリカを除く各国がこれに応じる一方で、米艦船は一度も神戸市に入港を求めてこなかった。
「非核神戸方式」は、核兵器の脅威から神戸市民を守るために、神戸市が国及び諸外国に対して対等平等の姿勢を毅然として取り続けてきた、団体自治の金字塔である。今回の神戸市の判断は日米両国政府に屈服し、住民生活の防波堤としての地方自治体の役割を自ら形骸化するものである。全労連は断固として抗議し、神戸市に入港許可の撤回を強く求める。
また、米軍が「非核証明書」なしに軍艦の入港を強行したことは、「日米軍事同盟」のもとで日本の主権を侵害し、地方自治体の自主性・主体性を否定し、神戸市民の民意を無視するものである。さらに被爆80年・非核神戸方式50年の今年、あえて入港申請を行ったことは、唯一の戦争被爆国として核兵器のない世界に向けた日本国民の願いを踏みにじるものである。全労連はアメリカと米軍に対し、満身の怒りを込めて抗議する。
「日米軍事同盟」を強化し、米軍の指揮下のもと一体となって戦争する体制を作るため、陸・海・空の自衛隊を一元指揮する「統合作戦司令部」が新たに創られ、在日米軍もインド太平洋軍司令官隷下の統合軍司令部として再構成される。米軍艦の神戸港入港は、「日米軍事同盟」が次の段階に進むことを象徴するものであり、米軍が日本全国の空港や港湾を我が物顔で好き勝手に使用することを宣言したものである。
日本は、憲法九条を活かしてどの国とも平和的な関係を築くべきである。全労連は労働者の国際的な団結を築くために奮闘する。日本をアメリカの戦争に巻き込む「日米軍事同盟」を打破し、日本から全ての米軍基地を撤去するたたかいに全力を挙げるものである。
以 上