「年収の壁」問題はジェンダーの問題
2025/02/13
「年収の壁」問題とは
一定の収入以上になると、税・社会保険料により世帯収入が減るため、パート労働者の就業調整を招くといわれる「年収の壁」。労働者への責任転嫁を許さず、使用者に人員体制整備の責任を果たさせることが必要です。
一方、本当に「扶養の範囲内」で働くことがパート労働者「本人」にとって「得」なのか、よく考える必要があります。
扶養から抜け出ても税金面では、手取りの逆転現象はおこりません。
社会保険適用労働者になると、一定の金額まで手取りの逆転現象は起こるものの、保険料の半分は事業主が負担し、出産手当金や万一の時の失業保険や傷病手当金なども保障されます。年金も第2号被保険者になり報酬比例部分が上乗せされますが、第3号(扶養)のまま留まれば年金は基礎年金部分のみになり満額でも年額81万6000円となります。
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「壁」は大幅賃上げで乗り越える社会保険加入・未加入アンケートより
生協労連は社会保険の加入・未加入アンケートに取り組みました(グラフ参照)。
その中で、扶養の範囲を超えない働き方を選んだ大きな理由は、手取りが減るためでした。また、家事・育児・介護負担が重くこれ以上労働時間が増やせないという回答も多くありました。手取り額が減らないくらいの大幅な賃上げがあれば「壁」は乗り越えられます。
そして、家事・育児・介護などのケア労働負担が女性に偏っている現状を変えることも重要です。
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