全国労働組合総連合(全労連)

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福祉保育労 ジェンダー平等宣言

2024/09/15

~みんなのじんけん まもれるように~

保育や高齢者福祉、障害福祉、学童保育、社会的養護、社会福祉協議会など、民間の福祉職場で働く私たちは、一人ひとりの尊厳と人権をまもるために実践を重ねています。その実践や組合活動をすすめていくうえで、ジェンダー平等は重要な柱です。
ジェンダーとは、社会的・文化的につくられた性差のことで、私たちの社会・職場・生活のなかに根強く影響しています。「女性は○○すべきだ」「男性は○○でなければ」などの考えが、性的役割分担として押しつけられています。

福祉労働は、女性が担う家事の延長としてとらえられ、賃金・労働条件が低く抑えられてきました。憲法 25 条にもとづく国の福祉増進の責任が十分に果たされず、個人と家族、特に女性にケアの責任が負わされてきました。保育園に対応する保護者は母親が多く、高齢者や障害者の在宅での生活も家族の女性が支えているケースが多いという現実があります。一方で、社会的に男性は家計を支える収入を得ることや長時間労働に耐えることが当然とされてきました。このような社会状況のもとで、福祉職場でも、過重な業務のうえに、休憩中や時間外で事務仕事に追われるだけでなく、帰宅後も家事の大半を担う女性が少なくありません。女性の割合が多い福祉職場で、上位の管理職になるほど男性が増える背景にも、ジェンダーがあります。これらは政治によって変えられるはずですが、国会や地方議会は、男性の議員が平均で8割以上を占めていて、大きな課題を残しています。

日本国憲法は、13条で個人の尊重と幸福追求権を、14条で法の下の平等を掲げるなど、基本的人権を保障しています。福祉保育労の規約も、人種や性別などによって組合員である資格を奪われないことを規定しています。私たちは、ジェンダー平等を軸に、性別や雇用形態、年齢、経験などにかかわらず、多様性と一人ひとりの人権が大切にされる組合・職場・実践・社会をめざして、以下の行動をすすめていきます。


1.組合活動のなかで心理的安全性を高め、性別や性的指向・性自認、雇用形態、年齢、経験などにかかわらず、一人ひとりが率直に意見を出し合え、受けとめられるようにします。そのためにも、会議・企画の持ち方や日程の配慮、活動の工夫などをすすめます。
2.職場や家庭、組合活動でのジェンダーにかかわるモヤモヤを少人数で出し合い、みんなで学んで話し合って、実践と要求活動をすすめていきます。
3.学習動画の視聴などをすすめ、誰もが持っている無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)による言動を、改善にむけて前向きに指摘し合えるようにして、アップデートしていきます。
4.地方組織や中央本部などの役員や会議の構成については、ジェンダーや年代などのバランスに留意して、多様な要求を出し合えるようにしていきます。
5.福祉職場での賃上げ・増員、労働時間の短縮、ハラスメント対策などを、法人・国・自治体に求めていきます。
6.社会的な男女の賃金格差の解消や労働時間の短縮、全国一律最低賃金 1,500 円、同一労働同一賃金、選択的夫婦別姓、同性婚、ハラスメント規制、国会・地方議会の男女割合の是正、社会保障制度の拡充などを求めていきます。
7.上記の到達状況を定期的に検証して、ジェンダー平等を推進し、この宣言についてもバージョンアップしていきます。


以 上
2024年9月15日
全国福祉保育労働組合第40回定期全国大会で採択)

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