高知県労働組合連合会は、1989 年の結成以来、行動綱領に「賃金、労働条件、権利、雇用における男女差別撤廃、男女平等の実現。母性保護の拡充、婦人の働く権利を守る保育、福祉の公的充実と『育児休暇』『看護休暇』の制度化」を掲げ、運動を進めてきた。
政府と財界は、「男性稼ぎ主モデル」の日本型雇用によって、男性に長時間労働を、女性には不安定雇用を押しつけてきた。雇用機会の均等や「女性活躍」を唱えつつ、女性差別を温存し、女性労働を「家計補助的」として低賃金を押しつけ、非正規雇用を拡大するなかで労働者全体に低賃金構造をつくりだしている。
男女の賃金格差、雇用格差、ケア労働者の低賃金水準などその根底に個人の尊厳を奪うジェンダー差別が存在している。女性をはじめ、子育て、介護などケアを担う世代の要求を反映した労働組合運動の在り方を示していくことは、県労連にとって喫緊かつ重要な課題となっている。
選択的夫婦別姓制度に自民党は後ろ向きで、日本社会にはいまだに家父長制が根強く存続するとともに、権力が「家庭」への介入を強めている。「男性優位」が当然視され、女性も男性も個性より「らしさ」を強要されて、人間らしく生き、働くことを奪われている。看護、介護、保育などケア労働を低賃金労働として女性に課し、政治はその専門性を認めず価値をおとしめてきた。性の多様性を認め合うジェンダー平等を実現する社会は、個人の尊重、法の下の平等、両性の平等を保障する日本国憲法を生かすものである。
個人の自立を支えるとともに、だれもが仕事と家族的責任の両立がはかられる賃金、労働法制、社会保障制度が求められている。そのために、すべての労働者にディーセント・ワークが保障されることが必要であり、ジェンダー平等の実現が不可欠である。
ジェンダー平等が労働運動と社会のなかに根付き、だれもが差別や抑圧から解放されることを県労連と県労連加盟のすべての組織はめざす。

１．県労連運動においてジェンダー平等を推進するため、県労連加盟のすべての組織が学び、話し合い、行動する。
２．男女の賃金格差の是正、均等待遇、労働時間の大幅短縮など、だれもが仕事と家族的責任の両立がはかられ、人間らしく生きる権利を保障する労働条件、職場環境、制度・政策の実現をめざす。
３．あらゆる意思決定の場で男女同数の参加をめざし、多様な要求をもとにした方針が決定される組織づくりをすすめる。
４．さまざまな立場の人の多様な要求を組織し、主体的に参加できる運動づくりをすすめる。
５．労働組合運動を含め、あらゆる場でハラスメントなど人権侵害を許さず、個人が尊重される職場、社会をめざす。

以上を宣言する。

2023 年 9 月 10 日
高知県労働組合連合会
第 36 回定期大会