全国労働組合総連合(全労連)

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国民春闘共闘・全労連 新春宣伝

2025/01/08
春闘
賃金・最低賃金
労働法制

国民春闘共闘・全労連 新春宣伝
主催:国民春闘共闘・全労連 新春宣伝
場所:東京駅丸の内北口

東京駅丸の内北口をご通行中のみなさん。おはようございます。そして、新年明けましておめでとうございます。

さてみなさんは良い初夢を見ることができたでしょうか。一富士二鷹三茄子と言われますが、わたしの初夢には残念ながら登場したことがありません。

しかし、夢は持っています。わたしたちは毎年、この場所で新春宣伝行動をとりくんでいます。年の初めに、なぜ行うのかといえば、春闘での大幅賃上げをはじめとする労働条件改善にむけ、労働者一丸となったたたかいを進めようとみなさんに呼びかけるためです。そしてそれを実現させることがわたしの夢です。夢に終わらせるわけにはいきません。

どうかみなさん、ご一緒に大幅賃上げをめざそうではありませんか。


みなさんの職場に労働組合はあるでしょうか。

昨年報告された厚生労働省の労働経済白書によれば、「持続的な賃上げに向けて」とする章の中で賃金引き上げに関する分析が行われています。

そこで注目すべきは、企業の集中度と労働組合の有無による賃金水準の傾向です。企業の集中度、つまり、ある産業における企業数が少ない場合、集中度が高まるため、企業の力が強まり、賃金水準が下落する傾向にあると分析されています。しかし、労働組合が存在し、加入率が高まると、賃金水準が上昇傾向に変わります。

つまり、労働組合が存在するということは、労働者の賃金水準を高めることにつながっているということです。

みなさんの職場はどうでしょうか。昨年の春闘の結果、賃金は引き上げられたでしょうか。しかし実質賃金はマイナスが続いています。したがって、今年の春闘でも賃金が引き上げられるように労働組合ががんばらなければなりません。

この場で宣伝行動に参加しているわたしたち全労働・国民春闘共闘に結集している労働組合では、組合員との対話を進め、職場の要求を積み上げて、経営者に要求書を提出し、不十分な回答がされた場合には、ストライキで抗議する準備を進めています。

アメリカでは、昨年、多くの労働組合がストライキに立ち上がり、全米自動車労組では4年で25%の賃金引き上げを勝ちとっています。また、スターバックスの労働者が労働条件の改善を求めストライキを実施しました。

ドイツでは、フォルクスワーゲンの経営者が国内工場を閉鎖する方針であったことに対し、労働組合がストライキなどを実施しながら交渉を行い、工場閉鎖を止めさせ、自然減を中心とした人員削減で合意したことが報じられています。

労働組合は、労働者で組織される組織として、労働者の要求に基づき、活動しています。

ご通行中のみなさん。労働組合に結集して、ストライキを構えて今年の春闘での大幅賃上げを実現しようではありませんか。


ところで、賃金引き上げについては、注意しなければならないことがあります。それは、若手の大幅賃上げが進む一方で、中高年層への賃上げがほとんど行われていないことです。

賃金水準の引き上げは、平均で公表されています。昨年末に成立した国家公務員の給与法においても、新規採用職員を中心に、若手の賃金水準は大幅に引き上げられました。しかし中高年層の引き上げはわずかであり、物価上昇によって実質賃金がマイナスの傾向が続いています。

わたしたちは今年の春闘において、「すべての労働者の、繰り返して申し上げますがすべての労働者の賃金引き上げ」を求めています。それも、実質賃金を引き上げ、生活改善につなげることを求めています。

ガソリン価格が大幅に上昇しています。地方では、車なしに生活できないところが大部分です。灯油も必要なところが多くあります。しかし、東京とは賃金で20%もの格差がつけられています。わたしたちの調査では、東京都市部と地方都市での生活費に大きな差は認められていません。

同じ年齢であっても勤務地で大きな格差がつけられていますが、こんな格差に合理性があるのでしょうか。同じ仕事をしているにもかかわらず、賃金で大きな格差が生まれるのであれば、地方で働くことを選ばないのではないでしょうか。これでは地方創生など夢の夢です。地方で働く中高年層のくらしは悪化する一方です。何としてもすべての労働者の賃金引き上げを勝ちとろうではありませんか。

実現させるのは、労働者ひとり一人がバラバラにたたかうのではなく、労働組合に結集してたたかうことです。職場に労働組合が存在していないというのであれば、ぜひご相談ください。労働組合をつくることができます。

ご一緒にたたかおうではありませんか。


もう一つ、実現させたい夢があります。それは労働時間の短縮です。

みなさんは一日何時間働かれているのでしょうか。労働基準法では、一日8時間、週40時間以上働かせてはならないと定めています。

しかし、労働者の代表と協定を結べば、時間外労働をさせることができます。

多くの職場では、労働者代表との間で協定が結ばれ、年間で最大360時間もの時間外労働をさせることできるようになっています。これよりももっと長い時間働かせることができる場合もありますが、なぜこんなに働かなければならないのでしょうか。

日本では、先進諸国と比べて長い時間働いています。そのため、削られているのは、食事時間や睡眠時間です。睡眠時間が削られると、身体を十分に休めることができず、精神的にも不安定になりがちです。

こうしたことが重なれば、過労死となります。死んでしまうようなことがあってはなりません。

わたしたちは、何のために働いているのでしょう。家族の生活のために働いているとしても、死んでしまえば家族を悲しませるだけです。

長時間労働は何としても規制しなければなりません。しかし、労働基準法の見直し論議の中で、長時間労働を助長するような方向性が打ち出されようとしています。政府がやるべきことは、労働時間を規制し、働き過ぎを止めさせることではないでしょうか。

労働時間の短縮は、障がい者をはじめ高齢者などハンデを持つ人々の働く場所を広げます。一人の人がなんでもこなすことは、他人の仕事を奪うことにもつながります。

どうかみなさん、労働時間の短縮に向け、一人あたりの業務量を減らし、ゆとりある働き方に変えようではありませんか。そして、家族との団らんや自らのために使える時間を増やそうではありませんか。

最後になりますが、国政は少数与党による国会論戦が続きます。通常国会もまもなく始まる予定です。6月から7月には東京都議会議員選挙や参議院議員選挙など大きな政治戦が予定されています。もしかすると総選挙も行われるかもしれません。

労働者の声を国政に反映させるためにも、弱い立場にある労働者の味方となる政策を実現しようとしている政党を大きくしようではありませんか。

全国で働く仲間のみなさんとともに、政治を転換し、誰もが安心して働き続けることができる社会をめざし、全力で奮闘する決意を申し上げ、この場での発言といたします。

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