全国労働組合総連合(全労連)は、1989年11月21日、働くものの熱い期待に応えて結成されました。
全労連は、労働者の切実な要求実現と働く人びとの希望に輝く未来のために、すべての労働者・国民とともにその歴史的役割を果たすことを最大の目的とし、行動します。
日本の労働運動の100年は、労働者の人間としての尊厳を守り、平和と民主主義、社会進歩を求めるきびしいたたかいの歴史でした。
戦前、日本の労働者と労働組合は、諸外国に例を見ない天皇制軍国主義のもとで、人間らしい生活を求め、侵略戦争に反対するたたかいを続けました。しかし、苛酷な弾圧によって、労働者をはじめすべての国民は戦争に駆り出されるか、あるいは、治安維持法のもとで牢獄につながれるという苦難の道に立たされました。自主的な労働組合はすべてつぶされ、権力に迎合した組合幹部は、労働組合を労資一体で侵略戦争に協力する「産業報国会」に変質させてしまいました。戦後、ファシズムに反対する国際統一戦線の勝利にはげまされ、新しい憲法のもとで日本の労働組合は嵐のような勢いで再建されました。そして、飢餓からの脱出や民主化闘争、二・一ゼネストなど怒濤のようなたたかいを展開しました。しかし、アメリカ占領軍と日本の反動勢力は、官公労働者の労働基本権の剥奪、松川事件などをデッチあげながらの大がかりな首切り「合理化」やレッドパージなど、たたかう労働者と労働組合に徹底した弾圧を加えました。一部の労働組合幹部は反共をかかげて労働組合を分裂させ、この弾圧に協力しました。
労働者と労働組合はこうした攻撃をはねのけて、朝鮮戦争と米軍基地反対の闘争、原水爆禁止運動、春闘、三井三池争議と60年安保闘争、ベトナム侵略反対と沖縄返還闘争、革新自治体の実現など、働くものの生活向上と権利の確立、平和と民主主義をめざしてたたかい続けてきました。
その後、73年からの二度にわたるオイルショックを契機として、日本の政治・経済の矛盾が一挙に噴き出しました。これを深刻な危機と受けとめた政府・財界は、矛盾の解決策として「西側の一員」論の立場をいっそう強めながら、「経済構造調整」と臨調行革を軸にして、労働者・国民に犠牲を強いる諸政策を推し進めました。同時に、労働者・国民の反撃を恐れ、これを封じるために労働組合のとりこみ、変質と労働戦線の分断に力を注いできました。これらの諸政策を支持し、協力する労働組合が中心になって、「全的統一」といいながら、たたかう労働者と労働組合を選別し排除する労働戦線の再編成をおこなってきました。
私たちは、それを断固として拒否し、働くものの利益をまもってたたかう労働組合の全国中央組織として全労連を結成しました。
全労連は、日本の労働組合運動の積極的なたたかいの伝統をひきつぎ、いっそう切実さを増している労働者・国民各階層の要求実現のために全力をあげます。
労働者がもつ唯一の社会的力は、要求にもとづいて団結し、統一してたたかう「多数の力」です。
今日、日本の全労働者数は4500万人をこえ、労働組合に組織された労働者も1,200万人余と社会的には最大の勢力となっています。これにふさわしい「多数の力」を発揮するためには要求にもとづく大きな団結と統一をつくりあげることが必要です。労働組合による反共主義や労資協調路線、あるいは特定政党の支持や排除は、労働者の団結と労働戦線の統一を阻害し「多数の力」を十分に発揮するうえで重大な障害となっています。
いま大切なことは、思想・信条の違いをこえて要求実現のために自主的・恒常的に団結する組織として生まれたという労働組合の原点に立ちもどることです。
私たちは、労働者の団結を最大限に保障する「資本からの独立」「政党からの独立」「共通の要求での行動の統一」という三つの原則を堅持します。
この原則を大切にする全労連は、「多数の力」を本当に結集できる生命力をもち、日本の労働戦線統一の母体となるものです。
私たちの全労連は、産業別の全国的労働組合(産業別全国組合)と地域的に労働組合を結集した都道府県単位の地方組織(都道府県別組合)で構成され、産業別のたたかいと地域のたたかいを結合して全国的な運動を展開します。
全労連は、次の基本的な目標の実現をめざしてたたかいます。
1、私たちは、大幅賃上げ、全国一律最低賃金制の確立、労働時間短縮、「合理化」反対、雇用保障、働く女性の地位向上、ILO条約など国際労働基準への到達をはじめとする労働者の切実な要求の実現をめざします。
2、私たちは、軍拡・臨調行革路線に反対し、社会保障制度の拡充、消費税廃止、コメ農畜産物の輸入自由化反対、農林漁業・石炭産業など第一次産業の再建、生活関連社会資本の拡充などを中心とした
国民的諸要求の実現をめざします。
3、私たちは、職場での民主主義の保障、不当労働行為の根絶、労働者と労働組合の団結権・団体交渉権・団体行動権の完全確保をめざします。
4、私たちは、身分・人種・国籍などによるあらゆる差別の撤廃と、男女平等をはじめ、すべての人々の基本的人権の保障をめざします。
5、私たちは、結社の自由および言論・出版など表現の自由をまもり、民主教育の確立、豊かな文化・スポーツの創造をめざします
6、私たちは、独占大企業にたいする民主的規制、中小企業の振興、互恵・平等の通商、経済民主主義の確立と、国民本位の税制、民主・効率・公正な行財政、地方自治の確立をめざします。
7、私たちは、未組織労働者の組織化と、すべての労働者と労働組合を結集した労働戦線の統一をめざします。
8、私たちは、天皇「元首化」、憲法改悪、司法の反動化に反対し、憲法の民主的条項の擁護と企業・団体献金の禁止など政治資金規正法の改正、一八歳選挙権付与をはじめとする民主的な選挙制度の確立をめざします。
9、私たちは、日米安保条約廃棄、米軍基地の撤去、非核三原則の法制化、被爆者援護法の制定をめざします。
10、私たちは、国民本位の政治・経済と、非核・非同盟・中立・民主の日本を実現する統一戦線の樹立をめざします。
11、私たちは、核戦争阻止、核兵器の廃絶、すべての軍事同盟の解消、世界の恒久平和の実現と民族主権を尊重した「新国際経済秩序」の確立、地球環境の保全をめざします。
全労連は、次の点を基本に活動をすすめます。
1、私たちは、「みんなで決めて、みんなでたたかう」という組合民主主義の徹底をはかり、組合員が全労連の活動のすべてについて自由に意見が表明できることを保障します。
2、私たちは、資本(企業)・政府、政党からの完全な独立を堅持します。
3、私たちは、特定の政党を支持も排除もせず、組合員の思想・信条の自由と政党支持・政治活動の自由を保障します。政党とは、一致する要求・課題にもとづいて協力し、共同行動を推進します。
4、私たちは、企業内労働組合の弱点の克服を重視し、職場を基礎にした産業別統一闘争の前進と地域闘争の強化に努めます。
5、私たちは、各産業別のたたかいと各地域のたたかいを調整し、全国的な統一闘争を組織します。
6、私たちは、経済闘争と政治闘争を正しく結合して運動をすすめます。
7、私たちは、全労連に加盟していない労働組合との友好・連帯を深め、共同闘争の前進をはかります。
8、私たちは、未組織労働者を含めてすべての労働者の要求実現と国民的な要求課題実現の共同のたたかい、協同組合組織などとの友好・連帯活動にとりくみます。
9、私たちは、労働者・国民の生活と権利にかかわる制度・政策課題の実現にむけて政府・経営者・経済団体などとの交渉を重視します。
10、私たちは、自主的な立場からの積極的な政策提言と労働者教育および労働者福祉の活動を推進します。
11、私たちは、労働者の権利擁護、要求前進のため「万国の労働者、団結せよ」の立場で、国際連帯を推進します。