2016年秋季年末闘争方針

 「2016〜17年度運動方針」を踏まえて、「2016年秋季年末闘争方針」は以下のとおりとし、すべての加盟組織が力をあわせて歴史的な情勢を主体的に切り拓く実践に踏みだす。なお、参議院選挙を受けた政治情勢等の進展を注視しながら、8月末の第1回幹事会で若干の補強をおこなうことを予定する。

I 参議院選挙の結果と秋季年末闘争の重大な意味

(1) 7月10日投開票となった参議院選挙は、「戦争法廃止・立憲主義まもれ・安倍政権NO!」の国民的な世論と共同が大きく前進し、32の一人区すべてで「統一候補」が実現するという、日本の憲政史上初めての画期的な事態のもとでたたかわれた。

広範な市民と野党の共同の発展に危機感を抱いた安倍自民党と与党は、なりふり構わず“野合批判”や反共攻撃を強めると同時に、選挙公約に改憲を明記し、安倍首相自ら参院選後の憲法審査会開催を明言しながら、「選挙の争点ではない」という極めて欺瞞的な態度をとった。そして、安倍首相はまたもやアベノミクス選挙を唱えて、アベノミクスの偽りの成果を強弁し続け、「一億総活躍」などの新たなスローガンで争点逸らしと幻想のつなぎ留めに躍起になってきた。

こうしたもとで、野党4党と市民団体は共同街頭宣伝などを繰り返し、反撃を強めた。また、全労連と加盟組織は、日本の未来を左右する歴史的な参議院選挙の特別の意義を踏まえて、戦争法廃止・安倍政権NO!の選挙権行使を呼びかけ、投票率アップに力を傾注するとともに、各県・選挙区の実情を踏まえながら「統一候補」への支援を強めるなど、従来の延長線上でない「安倍政権NO!」の攻勢的な選挙闘争をめざして奮闘してきた。

(2) 参議院選挙の結果は、与党が改選議席の過半数61を上回る70議席を確保し、改憲勢力が参議院でも3分の2の議席を占めるという結果になった。安倍首相が執念を燃やす在任中の明文改憲の動きが急速に進展しかねない重大な情勢といわなければならない。

しかし、同時に、市民と野党の共同が32の一人区すべてで「統一候補」を実現し、非常に短い期間のなかでも支持を大きく伸ばして、現職大臣を打ち破った沖縄や福島をはじめ、東北5県など東日本を中心に11の一人区で勝利し、他の多くでも接戦に持ち込んだことは、この道の強化でこそ安倍政権と巨大与党を打ち倒し、立憲主義を回復して人々の声が政治を動かす新しい政治状況を切り拓くことができるということを示す結果といえる。安倍政権が改憲の野望を強めるもとで、「戦争法廃止・憲法まもれ・安倍政権NO!」と「野党は共闘」の世論をいっそう強化し、反撃の共同を練り上げていくことが求められている。そして、その成果を次の衆議院選挙につなげ、力関係の本格的な転換につなげていく必要がある。その意味でも、これから衆議院選挙までの1〜2年は、まさに日本の針路を決める重大な時期ということになる。

また、安倍政権が次々と目先を変えながらアベノミクスの幻想をつなぎ留めようとするなかで、切実な要求にもとづく分野ごとのたたかいからさらに前にすすんで、グローバル競争国家づくり(=アベノミクスの新自由主義改革)そのものの根本的な転換が必要だという世論と共同を、腰を据えて強化する必要性が示されたといえる。改憲と戦争する国づくりに反対する国民的な共同にくわえ、アベノミクスの矛盾と亀裂が集中的に現れている“地域”を基礎に、暮らしと雇用をまもり、持続可能な地域循環型の経済・社会への転換をめざす共同を太くして、要求を基礎にした共同と結びつきを深めてこそ、政治を変える大きな力になるということである。

安倍政権はすでに秋の臨時国会に大型補正予算(案)を提出することを明言して、編成作業をすすめており、アベノミクスの是非や安倍政権の経済政策の根幹が問われる重要な国会となる。消費税10%大増税が2年半先送りされたもとで、来年度予算編成に向けて社会保障など暮らし関連の予算のさらなる抑制・改悪がねらわれる状況にもなっている。消費税増税先送り法案も審議されるもとで、TPP批准法案阻止の課題とあわせてとりくみを強化し、大企業・大金持ち優遇税制の見直しをはじめ、税制の在り方、使い方に迫る反撃に発展させていく必要がある。

(3) 「2016〜17年度運動方針」は、「安倍『暴走』政治のさらなる加速は、大多数の国民との矛盾や亀裂を抜き差しならないものとし、間違いなく、安倍政権を追い詰め、力関係の劇的な変化をつくりだす可能性を高める」として、労働運動の真価を発揮して攻勢的にたたかい抜き、組合員と地域が“成果”を実感できる時代を切り拓く。憲法をめぐる歴史的な攻防が激化するもとで、すべての活動を通して憲法をまもり活かす観点を重視し、とりくみを重層的に発展させる。改憲策動と戦争する国づくりに反対する国民的な共同にくわえて、暮らしと雇用をまもる課題でも共同の輪をさらにひろげ、すべての働く人々の賃金の底上げや中小企業支援の強化を実現し、持続可能な地域循環型の経済・社会に転換していくことなど、2025年をめざして全労連運動への信頼と結びつき、社会的な影響力を強化して、要求実現と組織拡大強化の相乗効果をつくりだし、新たな前進を開始する」ことを呼びかけたが、参議院選挙の結果からも、その重要性がますます高まっている。

改憲をめざす安倍政権の「暴走」は、国民各層との矛盾をいっそうひろげざるを得ない。それを確信に、世論と共同をさらに強めていけば、政治を変えたいという流れを太くつくりだしていくことが必ずできる。その最初の重要なステップとなるのが、秋の臨時国会と2016年秋季年末闘争である。

(4) 以上を踏まえて、「2016〜17年度運動方針」が打ち出した、以下の「三つの基調」を軸に諸課題を統一的に推進し、労働運動への信頼と結びつき、社会的な影響力を強化して、力関係を変え、組合員が具体的な“成果”を実感できるたたかいを構築する。「新4か年計画」の円滑なスタートを実現し、組織拡大強化と要求実現のとりくみの相乗効果をつくりだす。

① 全労連運動の飛躍を実現する最大のカギとして、あらゆる活動を通じて組織拡大強化を中心に据えた活動スタイルを確立し、すべての加盟組織が2016年度に増勢に転じ、社会的な影響力の拡大と150万全労連に向けた新たな前進・飛躍を開始すること

② アベノミクスのグローバル競争国家づくりによって格差と貧困が加速度的に拡大し、働く人々をはじめ、広範な人々の暮らしと雇用の悪化、地域社会の疲弊が深刻化するもとで、賃金の底上げをはじめ、暮らしと雇用をまもる課題でも、“地域”を基礎に共同を大きく前進させること

③ 引き続き、戦争法を廃止し、安倍政権を退陣に追い込むことを当面の重点課題に据えながら、改憲策動と戦争する国づくりをストップさせることに総力をあげてとりくむこと

とくに、「地域活性化大運動」と「全国最賃アクションプラン」を重視し、アベノミクスの矛盾が集中的に現れている“地域”を基礎に、諸団体との対話・懇談運動を推進し、改憲と戦争する国づくりに反対する国民的な共同にくわえ、暮らしと雇用をまもる課題でも共同の輪を大きくひろげ、安倍「暴走」政治NO!の草の根の共同づくりに力を集中してとりくむ。

II 重点課題ごとの具体的なとりくみ

1.新4か年計画を円滑にスタートさせ、新たな前進を開始する

(1) すべての加盟組織が、「新4か年計画」の推進・具体化を中心に据えて、日常活動を活性化し、組合員参加型の組織拡大運動を不断に推進していく。共同のひろがりと要求の切実化という条件を活かして、労働運動への信頼と結びつき、社会的な影響力を強化し、組織拡大強化でも新たな前進を開始する。

初年度となる2016年度においては、すべての加盟組織が増勢に転じ、1割増を実現することを目標に、すべての活動を通じて組織拡大強化を中心にした活動スタイルを確立する。

そのため、単産・地方組織においても、(1)「組織建設委員」の選出をすすめ、日常活動の活性化と組合員参加型の拡大運動をどのように定着させながら、既存組織内での拡大を2016年度中にどこまで前進させるのか、(2)自らの組織の産業政策・地域政策を深めながら、どのように社会的な影響力を強化して、未加盟・未組織対策で具体的に何を重点に推進していくのか、など、「新4か年計画」に対応した組織拡大強化の目標を確立する。

「新4か年計画」にもとづくとりくみを推進するため、9月14〜15日に「組織拡大強化交流集会」、翌15日午後に「全労連共済組織代表者会議」を開催する。また、全労連女性部大会(9月10〜11日)と青年部大会(9月24〜25日)を成功させる。

(2) 単産と地方組織は協力しあって、「組合員10人に1人」をひとつの指標に、すべての加盟組合で自らの職場・地域で組合員拡大にとりくむ「組織建設委員」の選出を運動としてとりくみ、日常活動の活性化、組合員参加型の日常的な組織拡大運動を推進する。とくに、10〜12月を「秋の組織拡大強化月間」に設定して、新たな前進への勢いをつくりだす。

すべての単組・支部・分会が毎月拡大、退職者を上回る拡大に強くこだわり、「1人が10人と対話」「1人に10回対話」「対象労働者と近い人が当たる」など試されずみの方針を実践し、拡大運動を日常的に推進する。

その一環として、10月を軸に職場活動の総点検をおこない、日常活動を活性化させ、眼に見える組合活動を推進しながら、要求実現と組織拡大強化の相乗効果をつくりだす。

非正規雇用労働者の組織化を重点課題に据えて、すべての組合が「全国最賃アクションプラン」や格差是正、無期雇用化のとりくみと結んで、共済も活用しながら、加入呼びかけを徹底する。

(3) 「新4か年計画」で最重点課題とした「2025年をめざし全労連運動への信頼と結びつき、社会的影響力を格段に強化」するための「単産と地域、官と民が文字どおり一体となって推進する総対話と共同、組織拡大強化の総がかり作戦」の定着・推進に全力をあげる。

そのため、単産と地方組織は、産業政策・地域政策を深めて、総対話と共同のとりくみを前進させながら、未組織・未加盟対策の目標と重点を明確して、総がかり作戦を系統的に推進する。

とりわけ、2016年度においては、単産と地方組織が協力して「総がかり推進委員」の選出をすすめ、計画が具体的にスタートする秋口の段階では20県以上、年度内にはすべての都道府県で「調整会議」をスタートさせ、総がかり作戦を軌道に乗せるため全力をあげる。

各県・地域の総がかり作戦の具体化状況を掌握しながら、全労連としての「最重点計画」(半年ごとに10件程度。8〜1月、2〜7月)を策定し、人と金を重点的に投入して先進事例づくりをすすめる。最賃・賃金底上げ、格差と貧困の解消の課題を重視して具体化する。

これらを総合的に推進するため、「総がかり作戦推進ニュース(仮称)」を定期的に発行して、とりくみの現状や教訓の普及に強める。また、地域での運動強化のために、単産と地域が協力して地域労連の態勢整備を強めていく。

2.実質賃金の底上げを実現する運動を総合的に推進する

(1) すべての働く人々の実質賃金の改善・底上げを実現し、日本経済の持続的な回復をはかるために、社会的なたたかいをさらに前面に押しだし、最低賃金・公契約・公務賃金改善(とくに自治体非正規と初任給の重視)など、「社会的な賃金闘争」をいっそう強化する。

その中心課題に、人間らしく暮らせる全国一律最賃制の実現を据えて、「全国最賃アクションプラン」(別紙)にもとづいて、2020年を目途に最低賃金法の改正をめざす世論喚起と合意づくり、共同と組織化のとりくみを推進する。

単産と地方組織は、このとりくみと連動して、産業や職種ごとの最低規制・底上げのとりくみを抜本的に強化する。人手不足の深刻化を踏まえた政策化をとくに重視し、各産業の未加盟労組や業界団体などとの連携、合意づくりを系統的に推進する。

「全国最賃アクションプラン」の円滑なスタートに力を集中するとともに、安倍政権が最賃1,000円を掲げ、同一労働同一賃金を検討している状況を活用して、「今すぐ最賃1,000円」の政治決断を強く迫り、全国一律最賃実現へのステップとすることを重視する。現行制度の制度的限界を明らかにしながら、CDランク県での底上げ・格差是正のとりくみを集中的に展開する。

なお、2016年度の改訂については、各県で中賃目安を上回る改定、格差是正を求めてとりくみを集中するとともに、地賃の審議公開や意見陳述で引き続き前進をつくりだす。また、改定額を踏まえて、9月30日を軸に、各県・地域で9月末から10月初旬に宣伝行動を具体化する。

(2) このとりくみを推進するため、全労連として新たに「最賃対策委員会」を設置する。10月5日に「賃金闘争交流集会」を開催して、意思統一と具体化を深める。新たに作成する学習リーフレットを活用して、全国一律最賃制の必要性や意義についての学習運動にとりくむ。

すべての加盟組合が、「全国一律最低賃金制の実現を求める法改正署名(全国最賃署名)」を大きく位置づけ、年内に組合員と家族からの集約を実現し、来年6月までに組合員一人5筆を目標にとりくむ。また、「中小企業支援の団体署名(改訂版)」を作成し、「全国最賃署名」とセットでとりくみをすすめる。

「地域活性化大運動」と結んで、未加盟労組や地域の諸団体、商店街・業者などとの対話・懇談運動にとりくみ、全国一律最賃の意義や人間らしく暮らせる水準(時給1,500円・月額22〜23万円+α)などで合意づくりをすすめる。また、地方議会での意見書採択運動にとりくむ。

(3) ファストフード・グローバルアクションなどの経験をいかし、インパクトのある全国統一行動を系統的に実施し、低賃金の不安定雇用労働者の暮らしの実態告発と組織化を強め、当事者を中心にした運動展開をめざす。

そのため、ブラック企業なくせや労働法制改悪反対の課題と結んで、10月から毎月15日を軸に「ブラック企業なくせ・めざせ全国一律最賃!統一行動デー(最賃・ディーセントワークデー)」を提起し、いっせい宣伝行動と組織化のとりくみを系統的に推進する。とくに、「最賃・ディーセントワークデー」が土日にあたる月(16年10月、17年1月……)のとりくみを重視し、繁華街でのパンチのある宣伝行動や組織化、シンポジウム等の集会開催などを具体化する。

最賃審議会委員の2017年改選における獲得をめざして、中央・地方で遅くとも年内には候補者を内定し、委員獲得めざすとりくみを統一的に展開する。審議会の全面公開や意見陳述の実現などの状況をさらに改善させるため、ブロックキャラバンなどブロック内での協力を強める。

(4) 年末一時金のとりくみを強め、すべての組合が前年実績以上を獲得し、この間の実質賃金の低下を意識した年収確保をめざす。派遣や請負を含め、その事業所で働くすべての労働者を対象にした一時金の支給、均等待遇を求めてとりくむ。そのたたかいとも結合して、公務の確定闘争を重視し、地域を基礎に、官民一体のたたかいを推進する。

秋季年末闘争の結節点として、16年11月に中央行動(9日を軸に調整)を配置する。

成果主義賃金の導入・拡大の動きが強まっているなかで、学習を強化し、導入を許さない意思統一と反撃のたたかいを構築する。そのため、導入策動等の実態把握や分析をすすめ、対策づくりを強化する。地公法等の改悪で「能力及び実績にもとづく人事管理の徹底」が強められているもとで、地域から官民一体の反撃を強める。

(5) 公契約条例の動きが多くの自治体にひろがっているもとで、すべての都道府県で重点自治体を設定し、賃金の下限設定を持った条例獲得で飛躍をつくりだす。また、各単産は、人手不足の課題とも結んで、産業・職種ごとの底上げのための補助金や財政支援等のとりくみを検討し、公契約的なとりくみの幅をひろげる。

公務賃金改善の課題を重視し、16年秋の確定闘争において官民一体のたたかいを強める。17年度の勧告に向けて、すべての公務労働者の賃上げにつながる改定をめざし、非正規雇用や初任給の底上げを重視してとりくみを開始する。重要段階を迎える賃下げ違憲訴訟への支援を強め、署名にとりくむとともに、各県で定例的な宣伝行動を具体化する。

安倍政権が同一労働同一賃金の検討をすすめているもとで、すべての差別禁止、均等待遇原則にもとづく実効ある法改正を求めて、政策提言等の活動を強める。

(6) 17国民春闘において、実質賃金を改善する大幅賃上げを実現するためにとりくみを開始する。春闘アンケートの大規模集約などを出足早く開始し、生活と労働の赤裸々な実態を見つめ直す職場討議を徹底する。

統一闘争のあり方や結集強化について、戦術会議等の開催を具体化し、日程の統一やスト決起など、原点に立ち返った組織論議を深めて、国民春闘の再構築をめざす。

その一環として、「全国最賃アクションプラン」の推進とも結合して、10月5日に「賃金闘争交流集会」を開催する。「2017年国民春闘討論集会」を11月23〜24日に開催する。また、女性部の春闘討論集会・女性部委員会を12月10〜11日に開催する。

3.安倍「雇用改革」を跳ね返し、働き続けられるルールを確立する

(1) 安倍「雇用改革」に反対する共同闘争をさらに強める。「地域活性化大運動」と結んで、未加盟労組や法曹関係者との対話・懇談運動にとりくみながら、雇用共同アクション規模のとりくみを全国にひろげ、ナショナルセンターの違いを超えた反撃の強化をめざす。

その中心課題に、残業代ゼロの労基法改悪法案の撤回・廃案と解雇規制の緩和阻止を据えて、秋の臨時国会の段階から共同したとりくみを強化する。また、雇用維持型から労働移動支援型への転換の問題点を明らかにしながら、人材ビジネスを重用した雇用流動化政策の見直しを迫っていく。ハローワークの規制緩和の動きに反対するとりくみを強める。

同時に、ブラック企業への批判の高まりや人手不足の深刻化のもとで、安倍政権も労働時間規制等に言及せざるを得なくなっている変化を活用して、労働時間の上限規制やインターバル規制を実現するために、労基法改正要求を掲げて攻勢的なとりくみを展開する。

(2) これらのとりくみを推進するため、雇用共同アクション規模の共同署名をリニューアルして継続推進し、職場から全組合員規模のとりくみをつくりだす。

そのため、大規模学習運動にとりくむこととし、学習素材を具体化する。10月15日(予定)の労働法制中央連絡会の年次総会への結集を強めるとともに、10月に「労働法制学習交流集会(仮称)」を開催して、反撃の意思統一を深める。

労働時間規制や解雇規制の緩和に関して、労政審や政府の検討会で具体化論議がすすめられることに対抗して、雇用共同アクション規模での反撃を強める。11月の中央行動(9日予定)と連動して、政府交渉や国会議員要請行動を具体化する。

毎月15日を「ブラック企業なくせ・めざせ全国一律最賃!統一行動デー(最賃・ディーセントワークデー)」に設定し、全国一律最賃制の実現を求める課題とも結合させて、10月からいっせい宣伝行動などに系統的にとりくむ。国会行動とも連動させながら、地域から地元国会議員事務所への要請行動を16年秋の段階から繰り返しとりくむ。法案審議等の重要段階には、ストを含む全国統一行動や大規模な共同集会などを配置できるよう準備をすすめる。

10月22日に開催する非正規センター総会、翌23日のパート・臨時労組連絡会総会を成功させ、非正規分野でのとりくみをいっそう強める。また、はたらく女性の中央集会(11月26〜27日、高知)を成功させる。

(3) 働くルールの確立、働き続けられる職場づくりのとりくみを抜本的に強化する。そのため、チェックリスト等を活用して、すべての組合が「職場総点検運動」にとりくむ。

とくに労働時間短縮の課題を重視し、すべての組合が増員要求とセットで、労働時間の短縮、時短・不払い労働(サービス残業)一掃を求めて、ノー残業デーや退勤時間調査などをおこなう。36協定の改善・特別条項の廃止、インターバル規制の実現など、労働時間の縮減・上限規制を求めて、労使交渉を強める。また、公務の“ゆう活”をはじめ、フレックスタイム制や早出、長時間労働の拡大に反対してとりくむ。

労働時間の法的な上限規制やインターバル規制を実現するため、世論喚起など社会的なたたかいを強化し、政府に実効ある法改正を迫る。夜勤・交代制労働に対する労働時間の短縮措置やインターバル規制などの実現を求めて、関係単産との連携を強めながら、シンポジウムの開催などの具体化を検討する。引き続き、ブラック企業なくせのキャンペーン運動などを推進し、青年や学生との連帯した行動を追求していく。

(4) 人手不足がいっそう深刻化するもとで、若者や女性が定着し、働き続けられる労働条件整備を求めるとりくみを、各産業・分野から時短・増員の課題とセットで推進する。また、メンタルやパワハラ対策など労安活動を強化するとともに、育休や介護休暇の代替要員の確保など、働き続けられる職場づくりの課題で具体的な成果を獲得する。

改悪派遣法の職場への持ち込みに反対してとりくむ。非正規雇用労働者の正社員化・無期転換を求めるとりくみを引き続き強める。労契法20条を活用して、非正規雇用労働者と無期雇用への転換時や再雇用時の処遇改善のとりくみを強める。

人手不足を口実にした低賃金・無権利の外国人労働者活用の安易な拡大に反対して、実態把握や相談活動にとりくむ。とくに、技能実習生問題では、臨時国会での法改悪に反対するとりくみを強めるとともに、送り出し国の労働組合と連携して、制度の廃止・抜本見直しを迫る。

4.社会保障や教育の拡充を求めるとりくみを強化する

(1) 賃金底上げの課題とも結んで、憲法25条を軸に最低生活をまもる地域段階からの共同づくりを、労働組合の社保闘争として推進する。

雇用保険・失業時保障の拡充を求めて、支給額や支給期間の拡充(少なくとも2000年以前の水準に戻すこと)にくわえ、非正規雇用労働者への適用拡大を求めていく。保険料のさらなる引き下げが検討されているもとで、制度改善の要求を対置しながら、求職者支援制度についても抜本見直しを迫る。そのため、ハローワーク前アンケートのとりくみを具体化し、失業者・求職者の切実な実態と要求把握にとりくむ。

同時に、生活保護や年金の改悪・削減に反対するとともに、最低保障年金制度の実現など、人間らしい暮らしを保障する年金と最低保障・所得保障の実現を求めてとりくむ。また、年金者組合の年金裁判や生存権裁判への支援を強める。日本高齢者大会(8月28〜29日、東京)の成功に協力する。

(2) 社会保障解体攻撃(社会保障制度改革推進法にもとづく一連の改悪)に反対し、中央社保協の「医療・介護大運動」と連携しながら、地域を基礎に、“権利としての社会保障”を求める共同行動を推進する。

社保協などと協力して、2018年度に向けて具体化が強められている医療・介護提供体制の縮小攻撃に反対し、地域段階から深刻な実態や切実な要求を掘り起し、自治体交渉などを強め、必要な医療機関や介護・福祉施設の確保を求めるとともに、国保料や介護保険料など患者・利用者・国民負担の軽減を迫る。公的保険範囲の縮小(保険外し)・営利化やTPP批准に反対して、皆保険制度をまもるとりくみを推進する。10・20いのち大集会をはじめ、社会保障をまもる共同のとりくみへの結集を強める。

来年度予算編成に向けて、消費税増税先送りを口実としたさらなる社会保障抑制攻撃を許さず、切実な要求を突きだしながら、大企業・大金持ち優遇税制の見直しなど、税と予算の在り方の見直しを求めてとりくむ。臨時国会では、消費税増税先送り法案の審議とあわせて追及を強める。

(3) 医療・看護・介護労働者の必要数の確保を求めて、報酬の改善や補助金の拡充など、処遇改善を柱したとりくみを関係単産と協力して推進する。

とくに、社会問題化している保育や介護の課題では、当事者や利用者の運動との連携を強化し、働き続けられる条件整備を求める労働運動らしいとりくみを発展させる。配置基準の引き下げや資格要件の緩和など安上がりの体制づくりを許さず、公的保育・介護施設の拡充を求める。

人材不足を解消するため、少なくとも世間並みの賃金が保障できる緊急財政措置を迫る。11月を「介護アクション月間」として集中的なとりくみを展開する。社保協などと連携して「介護110番」(11月11日)にとりくむ。また、11月6日に「介護ではたらく仲間の全国交流集会」、翌7日に介護・ヘルパーネット総会を開催する。

(4) 安倍「教育再生」に反対し、高等教育を含む学費・教育費の無償化・負担軽減など、すべての子どもたちの学ぶ権利をまもるためにとりくみを強化する。

奨学金ローン問題の抜本解決を求めて、若者や奨学金の会などとの協力・共同を強化する。有利子部分の返済免除を実現するとともに、給付制奨学金への転換や所得に応じた返済猶予・免除措置の拡充など、改善を求めて共同行動を展開する。

5.持続可能な地域経済・社会への転換を求めるとりくみの強化

(1) アベノミクスの新自由主義改革、グローバル競争国家づくりが各分野で矛盾や亀裂をひろげるもとで、「地域活性化大運動」を引き続き重視し、「今後の労働運動を左右する戦略的な課題」として大きく位置づけ、賃金の底上げや中小企業支援、労働法制、社会保障・教育の拡充など、諸課題を統一したとりくみとして推進する。

労働組合をはじめ、“地域”の経済団体など広範な団体、商店街や業者、さらには自治体などとの対話・懇談運動を、県段階から地域段階へ、さらに各産業・分野にひろげ、政府に政策転換を求める合意づくりと、一致点にもとづく共同行動づくりを系統的に推進する。

その当面する最重点課題に、賃金の底上げと若者などのまともな雇用、中小企業支援の抜本的な強化を据えて、経済や税の在り方の転換を求め、持続可能な地域循環型の経済・社会をめざすとりくみへと発展させる。

そのため、臨時国会におけるたたかいとも連動しながら、10〜11月を集中期間として、「要請書モデル」を活用して、単産や地域の独自要求も加味しながら、対話・懇談運動を集中的に展開し、一致点をひろげていく。各単産・地方組織においても産業政策・地域政策を深めながら、安全・安心の公務公共サービス確立ともからめて、「地域活性化大運動」の中身を発展させる。実行委員会形式で11月6日(予定)の「第3回中小企業シンポジウム(仮称)」を成功させる。

(2) 暮らしと地域をまもる当面の重点課題に、消費税10%大増税の中止・撤回とTPP批准阻止を据えて、共同をいっそう強化する。

16年秋の臨時国会に向けて、消費税増税中止署名とTPP批准反対署名を推進しながら、とりわけ、16年秋の臨時国会ではTPP批准阻止の課題を大きく位置づけ、各分野から影響告発のとりくみを強めながら、諸団体と共同して、国会行動や統一行動を展開する。農業関係の課題を重視し、地域から共同したとりくみを構築する。グリーンウエーブへの協力を強める。

マイナンバーの中止・撤回を求めて、引き続き「マイナンバー制度反対連絡会」(総会8月31日)を軸に共同を強めてとりくむ。問題事例等の掘り起こしを重視し、改善につなげる。

(3) 税金の集め方、使い方の転換を求めるとりくみを抜本的に強化する。2017年度予算案の編成・税制改正に向けて、消費税増税の先送りを口実にした改悪を許さず、国民の生活保障や社会保障拡充への転換を強く迫るとともに、法人税減税や課税逃れを許さないとりくみを強化し、大企業・大金持ち優遇税制を見直し、生計費非課税など原則に立ち返った税制への転換を強く求めていく。低所得者や中小企業への税と社会保険料の軽減措置の拡充を求めてとりくむ。

(4) 安倍政権と財界がすすめる道州制、地方創生など、住民自治と暮らし破壊の統治機構改革に反対するとりくみを引き続き強める。

対話・懇談運動で出された諸団体のとりくみや要望等も踏まえながら、安全・安心の公務公共サービスを求める政策化を強め、住民自治の拡充、安全・安心の地域を求める。官民一体のとりくみを強化し、公務員バッシングに反撃し、公務リストラに反対する共同を前進させる。

6.国民的な世論と共同で、戦争法を廃止し、改憲策動を打ち破る

(1) 安保法制(戦争法)廃止を求める総がかり行動を国民運動としていっそう発展させる。そして、安倍政権を早期に退陣に追い込み、戦争法を廃止し、改憲策動と戦争する国づくりをストップさせるために全力をあげる。

引き続き、9の日宣伝や毎月19日のいっせい行動にとりくむとともに、中央・地方で継続的に総がかりの大規模行動・集会など節目のとりくみを具体化し、運動の発展をめざす。労働分野での共同を前進させるために、対話・懇談運動にとりくみ、地域段階から共同の努力と工夫を強める。「野党は共闘」の世論喚起をいっそう強めながら、「戦争法廃止・憲法まもれ・安倍政権NO!」を軸にした野党共闘を前にすすめるために力を尽くす。

16年秋の臨時国会では、総がかり行動実行委員会が呼びかける開会日行動(9月中下旬)に結集して、全国で宣伝行動や集会等を具体化し、中央・地方で戦争法廃止、改憲反対、安倍政権NO!を大きくアピールする。

臨時国会が始まった段階で、未提出となっている戦争法廃止2000万人統一署名を国会に積み上げ、野党共同の戦争法廃止法案を支持して、戦争法廃止の国会論戦を強く迫る。また、2000万人統一署名の到達点を受けた今後の署名等のとりくみについては、総がかり行動実行委員会での議論を受けて早急に具体化をはかる。

(2) 憲法をめぐる攻防がいっそう激化するもとで、明文改憲の本丸が憲法9条と緊急事態条項にあることをひろく明らかにしながら、憲法をまもり活かす共同の発展をめざす。

臨時国会に向けて、9条改悪を前提とした安倍政権主導の改憲論議に強く反対し、戦争法廃止の課題とも結んで、共同した大規模集会やいっせい宣伝行動等の具体化する。憲法審査会が強権的に推進された場合には、統一行動や緊急国会行動などを配置し、集中した反撃を展開する。

10〜11月を軸に、暮らしをまもる課題とも関連させながら、職場・地域から「かがやけ憲法!大学習運動」にとりくむ。「憲法をまもり活かそう」を合言葉に、憲法をまもる全組合員規模のとりくみを推進し、草の根の世論喚起と共同づくりを推進する。

(3) 戦争する国づくりの当面する焦点の課題として、臨時国会の段階では、戦争法廃止の課題とセットで、南スーダンPKO派遣部隊の任務拡大問題を重視し、駆け付け警護の解禁など戦争法の本格発動に反対してとりくみを強める。

オール沖縄のたたかいに全国的な力を集中し、辺野古新基地建設の断念と普天間基地の早期撤去を迫るとともに、高江のヘリパッド工事強行に反対して緊急行動を具体化する。また、オスプレイの配備反対など、全国で基地強化に反対するとりくみを強める。10月22〜23日に三沢で開催される日本平和大会、11月12〜14日の「安保破棄全国代表者会議in沖縄&連帯行動」の成功のために尽力する。

7.震災復興、原発ゼロ、核兵器廃絶を求めるとりくみ

(1) 東日本大震災からの全面復興を求めるとりくみを再強化する。また、熊本大地震への支援強化を強く迫り、とりくみを強める。引き続き、熊本へのボランティア派遣を呼びかける。加盟組織の協力も得て、熊本県労連と「労働相談ホットライン」(当面8〜9月)を実施する。

東日本大震災については、あらためてアンケートの実態把握のとりくみや全国調査団などを具体化し、支援縮小の動きに断固反対し、切実な実態を踏まえた対策強化を迫っていく。とくに、除染や復興事業における労働者の実態把握と組織化、対策強化を求めてとりくむ。

11月4〜5日開催予定の「災害対策全国交流集会2016 inふくしま」の成功に尽力する。そして、生活再建支援法の改正などを柱に、署名のとりくみを全国で推進する。また、福島原発事故に対する国と東電の責任を追及し、支援の打ち切りに断固反対してとりくむ。

(2) 原発ゼロ・再生可能エネルギーへの転換を求めてとりくむ。引き続き、全国連絡会に結集し、共同のとりくみを重視しながら定期的な大規模行動を具体化し、川内原発即時停止・原発再稼働反対のとりくみをすすめる。9月3日予定の柏崎刈羽原発再稼働反対行動に首都圏や北陸を中心に参加を呼びかける。地球温暖化や地域活性化の課題とも連動させながら、再生可能エネルギーへの転換を求める瀬尾論喚起と共同を推進する。

そのため、「再稼働反対・フクシマ切り捨て許さない」課題を軸にした新署名を早急に具体化し、立地県をはじめ、すべての都道府県であらためて草の根の反撃を強化していく。反原連などとの共同による大規模行動を節々で具体化して運動の結節点とするとともに、金曜行動などに引き続き全国でとりくむ。

(3) 核兵器廃絶のとりくみを強める。核兵器禁止条約の締結交渉の早期開始をめざして、被爆者が呼びかけた新たな署名をすべての加盟組織で推進し、すべての加盟組織が2016年度中に組合員数を上回る集約を実現し、国際的な世論喚起をすすめる。6・9行動など定期的な宣伝行動を地域段階から推進する。来春の3・1ビキニデー成功のために準備段階から力を発揮する。

8.人権と民主主義をまもり、政治の民主的な転換をめざす

(1) 強権政治が強まり、国民の人権や市民団体の活動、マスコミ等への圧力が強まっているもとで、人権と民主主義をまもるとりくみを強化する。特定秘密保護法の廃止を求めて、引き続き、ねばり強く世論喚起などにとりくむ。また、ヘイトスピーチへの規制を強く迫るとともに、LGBTなどへの支援強化を求めて、職場段階から偏見の除去にとりくみ、働き続けられる職場づくりの重要な課題として条件整備のとりくみを強める。

また、戦争するための人づくりや教育への不当な介入、教職員組合への攻撃に反対するとりくみを強めるとともに、教科書採択問題でも地域の運動への結集を強める。公務員の労働基本権と政治的自由の回復を求めてたたかう。

(2) 安倍政権の「二つの暴走」に反対する共同を強化しながら、国政・地方政治の民主的な転換を求めるとりくみを強化する。

「野党は共闘」の草の根の世論と運動をさらに強めながら、職場・地域で日常的に政治論議を深める。労働組合としての選挙闘争のあり方や工夫について、引き続き組織論議を推進する。

地方自治体の首長選挙や議員選挙のとりくみを工夫し、「暴走」政治への防波堤としての地方自治体の役割発揮、住民本位の安全・安心の公務公共サービスを求めてとりくむ。地域から政治の民主的転換を求めるとりくみを推進し、首長選挙でも積極的な役割を果たす。

(3) 労働組合の国際連帯をいっそう強化する。とくに、経済のグローバル化のもとで新自由主義改革が推進されるなかで、ILOの提起やITUC(国際労働組合総連合)などが呼びかける連帯行動にも留意しながら、国際的な連帯、共同を推進していく。引き続き、二国間の共同を推進するとともに、とりわけ、アジアにおけるとりくみを重視する。

核兵器の廃絶、テロの根絶を求めて、平和憲法を活かして、国際的なとりくみを推進する。

 

以 上