すべての争議の早期解決をめざす特別決議(案)

司法がその良心と憲法尊重擁護義務を見失い、資本や権力に迎合する姿勢を強めているという困難な状況の下でも、労働争議をたたかう仲間は果敢にたたかい、貴重な勝利・前進をかちとっている。16年間のたたかいで勝利的解決を勝ち取ったJMIUの高見沢電機争議、10年にわたる個人委託労働者のたたかいとなったビクター争議の全面解決や建交労文化シャッター藤谷争議、資生堂・アンフィニ争議では、派遣切り裁判の困難な状況にかかわらず、6年8か月に及ぶねばり強いたたかいの中で全面勝利和解をかちとった。日本IBMのロックアウト解雇撤回闘争の第1次・第2次訴訟では、東京地裁で原告全員の解雇無効・賃金支払いを命じる全面勝利判決が出された。全体として、個別の争議解決の努力と年2回の全労連・東京地評争議支援総行動などの力を集中したとりくみが有機的に結びつく中で、この間多くの争議解決を実現した。

JAL争議では、最高裁の上告棄却という不当決定を乗り越えて引き続きたたかわれており、ILO(国際労働機関)は、第3次勧告で「会社と当該労働組合との意義ある対話を維持することの重要性を今一度強調」した。社会保険庁の分限免職撤回闘争でも、全厚生闘争団の仲間は、人事院に対する不服申し立ての中で10人の職場復帰をかちとり、引き続き29人の仲間が全国3高裁4地裁でねばり強く裁判闘争をたたかっている。

「世界で一番企業が活動しやすい国」をめざすアベノミクス・安倍「雇用改革」による労働法制の全面改悪が進行している。昨秋「生涯派遣・正社員ゼロ」を可能にする労働者派遣法の全面改悪が強行された。「残業代ゼロ・働かせ放題」の「高度プロフェッショナル制度」の導入をめざす労働基準法の労働時間法制改悪案は継続審議となり、成立が引き続きねらわれている。金さえ払えば不当解雇も許されかねない「解雇の金銭解決制度」も検討されている。安倍「雇用改革」に対し、労働界・法曹界がこぞって反対の声を上げ、たたかっている。わたしたちは、労働法制の改悪を許さない共同をさらに広げ、たたかいをいっそう強化していく。そして、安倍首相でさえ口にせざるをえない状況となっている「最低賃金1000円」、「時間外労働の上限規制」、「同一労働・同一賃金」の実現をめざして全力でたたかっていく決意である。

 ブラック企業・ブラックバイト、パワハラ・セクハラ・マタハラの横行、過労死・過労自殺の頻発などにみられるように、労働者と職場をめぐる状況はいっそう悪化してきている。こうした中で、不当解雇や労働者いじめ、不当労働行為などの労働争議をたたかう労働者・労働組合と連帯して、その勝利解決をめざすとりくみはいっそう重要性を増してきている。

わたしたちは、安倍内閣による憲法改悪・労働法制改悪攻撃を許さず、憲法をくらしと職場に生かすたたかいを強化するとともに、争議をたたかう労働者・労働組合と固くスクラムを組み、そのたたかいを支援し、すべての労働争議の一日も早い解決をめざしていっそうたたかいを強化していくものである。

 

以上決議する。

2016年7月29日
全労連第28回定期大会