憲法共同センターニュース第519号
憲法共同センター学習交流集会を開催 「大軍拡反対請願署名」広げ、参議院選挙の争点に押し上げよう! 都議選、参議院選の勝利にむけ奮闘しよう!

全労連も加入する憲法共同センターは3月29日、全労連会館2階ホールで学習交流集会を開き、66人が参加しました(オンライン併用)。総がかり行動実行委員会が提起した「税金はくらしの拡充に 戦争準備の軍拡は中止して、憲法、平和、いのち、くらしを守る政治への転換を求める請願署名」(大軍拡反対請願署名)を、対話を重視して広げ、参議院選挙の争点に押し上げ、都議選、参院選勝利のため奮闘しあうことを決意しあいました。
憲法共同センターの米山淳子共同代表が開会あいさつ。「石破政権になって半年経つが行き詰っている。国民が物価高騰と悪政で苦しんでいる一方で、石破首相の商品券配布問題が起きた。自民党の長い間の腐敗が暴露された。くらし破壊の予算、日米同盟絶対の戦争国家づくりで国民との矛盾を広げている。平和、いのち、くらしを守るたたかいと大軍拡反対請願署名を広げながら、都議選、参院選で石破政権に打撃をあたえ退陣へと追い込もう」と呼びかけました。
防衛費の大幅増か教育・福祉などに回すのか

「少数与党の下でも進む大軍拡・実質改憲~これに対抗する請願署名の意義と参議院選挙に向けての運動の課題」と題し、日本体育大学の清水雅彦教授が講演。
はじめに憲法の原理・原則の確認として、「日本国憲法の民主主義の基本は間接民主主義(議会制民主主義)であるが、何でもかんでも議会・内閣だけで決めていいとはしていない。憲法改正に際しての国民投票(96条)、地方自治特別法の制定に際しての住民投票(95条)、最高裁判所裁判官の国民審査制度(79条)といった直接民主主義的手法も導入している。表現の自由(21 条)、請願権(16 条)の行使も重要であり、国民の声を届けるということで、新署名には意義がある」と強調しました。
日本の財政について、「福祉・平和の憲法である日本国憲法のもとでは、国民は自分たちが納付した租税が憲法の意図する福祉・平和のため(平和的生存権を含む基本的人権の尊重。『福祉本位』)にのみ使用されることを前提にしてその限度で、しかも憲法の応能分担原則に従って、つまり各人の能力に応じて納税の義務を負う」とある北野弘久『税法学原論』を紹介し「自民党はこれに反している」と批判しました。
憲法審査会について、「求められる議論は、 人権の観点から緊急事態に対応する各種既存の法律の調査・確認や『戦争法』『安保関連3文書関連法』の憲法適合性こそ議論すべき。国民自身も今すぐの改憲を望んでいない」と強調しました。
防衛費増額の問題点として、「2023 年度が6.8兆円、2024 年度が7.9兆円、2025 年度8.7兆円。防衛費GDP 比2%で、世界の軍事費・防衛費ランキングで日本は第3位になるがこれが実力と言えるのか」と指摘。消費者物価指数が上がっていること、労働者の実質賃金が下がっていることなどについて紹介し、「軍拡のために、実質賃金が上がらない中で所得税を増税するのか。たばこ税を増税するのか。たばこは防衛費と何の関係があるのか。喫煙者は怒るべきだ。防衛費の大幅増か教育・福祉などに回すのかが問われている。大学授業料無償化は1.8兆円、小中給食無償化0.5兆円、健康保険負担ゼロは5.2兆円で実現する。SNSの活用に力を入れ、お金の問題とからめて運動することが大事」と指摘しました。
全国各地で本気の『労組と市民と野党の共闘』を
権力をとるために大同団結(寛容・節操がない)できる自民党に対して、対立・分裂を繰り返してきた左翼・リベラルは、マイノリティであることの認識が不足している。批判勢力に存在意義はあるが、政策実行のためには国会でマジョリティにならないと無理だ」と指摘。運動体の課題として、「学習・宣伝活動、全国各地で本気の『労組と市民と野党の共闘』を作ることが重要」と結びました。
社会保障予算は削減、大企業には惜しみなく支援
全労連の五十嵐建一常任幹事が基調報告。2025年度予算案について「一般会計で115兆5千億円と過去最大となっているがくらしを支える施策がないどころか、年金引き上げの抑制、高額療養費の負担増など、本来必要となる社会保障の予算を1300億円も削減しようとしている。これではくらしがいっそう深刻化する。半導体など特定大企業へ巨額の補助金を支出するなど、財界・大企業の要求には、惜しみなく応える異常な予算となっている」と指摘しました。具体的な取り組みとして、大軍拡反対請願署名の推進、大軍拡・大増税反対リーフの活用、5.3新聞意見広告への協力、5.3憲法大集会への参加、9の日宣伝、19日行動などへの参加を呼びかけました。
署名推進には、対話が大事

活動交流では、5人が発言。新婦人の平野恵美子さんは、「和歌山県は、南紀白浜空港の特定利用を受け入れた。沖縄では、離島防衛の日米共同訓練『アイアン・フィスト』が、熊本でも日米共同訓練が実施された。こうしたことに対し、全国で止めるよう声をあげていかなければならない。大軍拡反対請願署名と核兵器禁止条約批准署名をセットにして対話を広げ、仲間づくりにもつなげている。平和、くらし、いのち、人権か守られる社会を実現するため奮闘する」と話しました。
憲法改悪ストップ兵庫県共同センターの津川知久さんは、「昼デモや19日行動などを行っている。宣伝では、憲法署名だけでなく、核兵器禁止条約批准など4種くらいの署名を合わせて行っている。兵庫県知事のパワハラ問題でのたたかいも強めたい。神戸市長は非核神戸方式をふみにじり、アメリカ海軍の掃海艦が証明書を提出しないまま入港させた。地方自治を投げ捨てたものであり、自治体は住民の安全を保障する義務がある。阻止するたたかいを広げていきたい。大軍拡反対請願署名に転換することを決め、毎週集約をすることにしている。署名を進めるためには、対話が大事だ。個別訪問なども行い、力関係を変えていきたい」と強調しました。
北海道憲法共同センター小室正範さんは、「北海道から南西諸島までミサイルが配備され、日本全土がミサイル基地化している。今日は民青の方から発言してもらおうと思ったが、予定がつかなかった。彼女たちが、大軍拡反対でシール投票をすると若者たちは、『平和は大事。だから軍拡しないと』と言ってくるそうだ。そこであれこれと話しをしていく。『対話が大事』と言っていた。大軍拡反対請願署名は今国会会期末までに10万以上やろうと目標をたてた。他団体との共同のスタート集会ができないか検討している。憲法上の意義がある署名なので、がんばっていきたい」と話しました。
憲法25条の理念が生かされるように
東京憲法会議の田中章史さんは、「毎回、憲法審査会を傍聴し、状況をニュースで知らせている。学び、伝えることが大事だ。憲法審査会の傍聴を共同センターとしても強めてほしい。憲法審査会の枝野会長が国民投票法の議論を急いでいることを危惧する。改憲案の提出につながらないか。大軍拡反対請願署名については、代表者会議を開き、4月1日から6月30日を強化月間とし、6月30日集約とした。署名を対話の武器に、都議選、参議院選の勝利をめざす」と話しました。
年金者組合の木田保男さんは、「年金の積立金がイスラエルの軍需産業に出資されていることが報道された。積立金は平和的に使われるようにしてほしい。年金の1.9%引き上げが発表されたが、物価上昇が2.7%で0.8%のマイナスだ。こういうことを放置しておいていいのか。2025年度の軍事費は8.7兆円で、GDP比3%だと18兆円にものぼる。こうした実態を改善させたい。憲法25条の理念が生かされるよう、取り組みを進めてきたい」と話しました。
山口毅大弁護士の「サイバー先制攻撃法案に関する問題点について」の文書発言が、司会によって代読されました。
憲法共同センターの小田川義和共同代表がまとめと閉会あいさつ。「九州や西南諸島にミサイルが配備され緊迫感がある。安保3文書の具体化が進められててるが、地域によって温度差がある。共有化することが大事だ。戦争する国づくりに慣らされていってはいけない。署名を広げ、大軍拡NO!を可視化し参院選では、大軍拡許さないを争点に押し上げよう。そのための決意と構えが必要だ。力を合わせ奮闘しよう」と呼びかけました。