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【インタビュー】青年部組合員が参加 北海道パレスチナ医療奉仕団(582号・全労連新聞2025年1月号)

2025/01/15
憲法・平和
青年

パレスチナ強まる弾圧
「戦争ではなく、虐殺だ」

2023年10月のイスラエルによる侵攻によって、パレスチナ・ガザ地区は壊滅的に破壊され、少なくとも4万1000人以上が死亡し、その多くが女性や子どもだ。いまも激しい攻撃が続き、ヨルダン川西岸地区でも弾圧が強まっている。昨年11月25日から5日間、北海道パレスチナ医療奉仕団(猫塚義夫団長)の一員として、パレスチナ難民キャンプで活動を行った道労連青年協の石崎龍之介さんと菅原拓馬さんに話を聞いた。

石崎龍之介さんと菅原拓馬さん。宿泊したエルサレムで

どんな場所で、どんな人が暮らしているのか

菅原さんは、労働組合の沖縄ピースツアーや原水禁世界大会の報告会に参加して、ゲームの世界の話だと思っていた戦争が、現実のものだと学んだ。被ばく者が79年経ってもなお苦しんでいることに、驚きとともに「どうしてだろう」という気持ちが掻き立てられた。
だから、奉仕団への誘いに、すぐ返事をした。「どんな場所で、どんな人が暮らしているのか、全部知りたかった」。

車窓から見たシュファット難民キャンプ。修繕が必要な家や廃材などが放置されたままだった。

次の約束ができない

1948年のイスラエル建国に伴って、70万人以上のパレスチナ人が土地を追われ難民となった。以来何世代にもわたって故郷に帰ることもかなわない。訪ねたのはイスラエル領内にあるシュファット難民キャンプ。イスラエルの入植によって現在はイスラエル領となっている地域で、分離壁に囲まれた0.2㎢内に登録されているだけで1万6500人、実際にはそれ以上の難民が暮らす。ごみが散乱し、修繕が必要な建物もそのままで「廃村みたい」だった。

菅原さんは診療所で、運動療法の指導をした。過労による症状が多く、仕事を控えるよう言っても「それはできない」と健康を優先できない意識の差に衝撃を受けた。安価な炭水化物や揚げ物中心の食事も健康リスクを引き上げている。
診療後に「次はいつ来るの?」と問われ、「また来る」と答えるたびに、次は無いかもしれないと胸が痛んだ。

難民キャンプで運動療法指導を行う菅原さん。積極的にリハビリを覚えようとする患者の姿は、日本と変わらないと感じた。

虐殺は札幌と小樽の距離で

石崎さんは難民キャンプにイスラエル兵が出入りし、以前は大量に掲げられていた国旗も見当たらなかったことに、明らかに弾圧が強まっていると5年前との変化を感じたという。
ガザへの武力攻撃が続く中でのエルサレム滞在は緊張を要するもので、常にイスラエルの警察や軍にマークされてる前提で、観光客のように振舞っていた。
猫塚医師と石崎さんは過去にガザを訪れた履歴から、厳しい入国検査を受け、危うく入国できなくなるところだった。その後に到着した奉仕団のメンバーは、過去に支援活動でガザに行ったことを問題視され、イスラエルの空港で入国を拒否され、日本に強制送還された。

結局、ガザ地区での活動は、イスラエルに入国を拒否され実現しなかった。

首都エルサレムからガザまでは車で1時間程、札幌から小樽くらいの距離だ。そこで人々は逃げ場もなく、殺され続けている。食糧も医療品も届かず、電気の供給もなく、多くの人々が凍死や餓死の危機に直面している。宿泊したイスラエルと難民キャンプを毎日行き来した2人は「力の差は圧倒的。これは戦争ではなく、虐殺だ」と力を込めた。
この虐殺はどうしたら止められるか。菅原さんは「人が生きるか死ぬかの問題だと知らせなくてはいけない」、石崎さんは「パレスチナ人も家族友人がいて私たちと同じ人間。戦争で搾取されるのは私たち労働者階級だからこそ、平和であれと声を上げ続けなくては」と語った。

イスラエルの首都エルサレム。着飾った人が行き交い、ごみひとつ落ちていないヨーロッパのような街並みに「パレスチナとの落差に困惑した」

(左から)石崎龍之介さん(道労連青年協議長、北海道勤医協労働組合青年部副部長)
歯科事務、5年前にも奉仕団としてガザ地区で支援を行った。
菅原 拓馬さん(全労連青年部常任委員、道労連 青年協の事務局次長、北海道勤医協労働組合青年部部長)
入職3年目の作業療法士
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