全国労働組合総連合(全労連)

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相談事例
全国の労働相談センターに寄せられた相談と、どのように解決したかを紹介します。

「女のくせに」と上司から差別されている

全労連からのアドバイス

労働基準法第3条は、均等待遇として「使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取り扱いをしてはならない」としていますし、同法第4条では「使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取り扱いをしてはならない」と男女同一賃金の原則を定めています。

「女のくせに………」というのは、女性を「家」の付属物のように扱ってきた戦前の古い因習に基づくゆがんだ偏見であり、絶対に認めてはならない差別的な言動です。そしてそれはセクシャル・ハラスメント(セクハラ)にも該当する卑劣な行為なのです。

男女雇用機会均等法第2条の「基本理念」には「……労働者が性別により差別されることなく、また、女性労働者にあっては、母性を尊重されつつ、充実した職業生活を営むことができるようにすることをその基本理念とする」と定めているように、女性が安心して働ける職場をつくるには、そこの労働者が声を上げて、不法な行為や言動を力を合わせてやめさせる必要があります。そのためにも、労働組合の存在は大切です。ぜひ、お気軽にご相談ください。

「あなたは請負だから労働法は関係ない」といわれた……

全労連からのアドバイス

「請負契約」とは、請負人が仕事の成果を提供することを約束し、注文者はその仕事の成果に対して報酬を支払う契約のことを言います。請負会社の社員が、発注先の指揮・命令のもとで、仕事に従事する場合は、「偽装請負」となり、労働者派遣法違反となります。

企業等と直接請負契約を結び、「個人事業主」として業務に従事する形を「個人請負」と言いますが、労働法の規制を免れるために、労働者を「個人請負」と詐称して不当に安く働かせる事例も多発しています。最高裁判所の判決では、契約書がどうであれ、労働の事態に「労働者性」があれば、労働者とみなすとされています。それを導き出す基準は、いくつもあります。

個人請負の場合は、労働法の対象外ですから、労災保険、雇用保険の対象からも外れます。仕事でけがをしても、何の保証もありません。賃金も最低賃金を下回っていても罰せられません。健康保険や年金も国保と国民年金となります。源泉徴収もされません。収入については、確定申告をして、税額を確定する必要が出てきます。

会社から「個人請負だ」と言われて、働き方に疑問を感じた方は、労働組合にご相談ください。

「会社を辞めるなら損害賠償を払え」と言われた……

全労連からのアドバイス

労働基準法16条では「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない」と定めています。「資格を取らせてあげるから、3年間は退職しないこと。万一退職する場合は、講習費用の倍額を払うこと」などの取り決めは無効になります。

「次の人が決まるまで辞職させない」というケースも多くあります。憲法22条では「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する」と明記されており、使用者の都合で退職を禁止することはできません。その点では、「退職願」ではなく「退職届」です。労働基準法の規定で、企業が労働者を解雇する場合は、1カ月以上前に告知することとされていますが、労働者が退職する場合は、民法で2週間前に通告すればよいことになっています。

「辞めさせない」と言われたら、「退職届」をFAXで送り、同時に2週間の「休暇届」を送って、出勤しなければいいのです。

また、退職にあたって、罰金や賠償金などと賃金の「相殺」を言われたら、キッパリと断って、「賃金は全額支払ってください」「損害賠償を請求するのならば、その明細を記載した請求を出してください。納得がいかなければ法的に争いましょう」と宣言することが必要でしょう。

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