【声明】第38期中労委労働者委員の任命にあたって
2025年2月27日
全国労働委員会対策会議
全国労働組合総連合(全労連)
純中立労働組合懇談会(純中立労組懇)
日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)
1.政府・厚生労働省は、本日、第38期中央労働委員会の労働者委員を任命した。全国労働委員会対策会議は、第30期での特定独立法人担当の淀房子氏の任命という歴史的画期的な到達点に立ち、民間企業担当の複数任命獲得に全力をあげた。第38期の任命では、全労連(全国労働組合総連合)、純中立労組懇(純中立労働組合懇談会)、MIC(日本マスコミ文化情報労組会議)で構成する全国労働委員会対策会議が統一して推薦した一般民間企業担当の三浦宜子氏は選任されたが、同じく全国労働委員会対策会議が統一して推薦した一般民間企業担当の山田規世氏は任命されなかった。
2.対策会議は、三浦氏・山田氏の任命に向けた運動を大きく展開した。両氏の共同推薦団体には26団体が結集、今回初めて全労協も推薦団体に加わるなど労働委員会対策会議を構成する3団体以外の組織からも推薦が寄せられるなど運動が広がった。団体署名も第37期を上回る2,540団体分を集約し、偏向任命の是正を求める声を厚労省に提出してきた。これだけ多くの仲間が「非連合」組織からの労働者委員の複数任命を求めたにもかかわらず、行政執行法人担当(4人)を含め労働者委員15人中14人が連合推薦の委員で占められるという状況は、中労委労働者委員の公平かつ公正な任命からは不十分な結果であり、極めて遺憾である。
3.運動の広がりを背景にした2度にわたる厚生労働省への要請では、①ダイバーシティが求められるなか、非連合組織からの複数任命は社会的な要請であること。②多様な働き方が広がる中で労働者性をめぐる争議が増えており、労働者の権利確立のため労働委員会の役割が重要になっていること。③争議解決できる力と資質を持っている人の任命が求められていること。上記3点などの理由から民間企業担当の任命選考にあたっての公平・公正な判断を求めた。
4.労働委員会は、不当労働行為から労働者・労働組合を救済することを目的に設置された行政委員会であり、労働者委員が公平・公正に選出されることは当然である。厚生労働省の前身である旧労働省は、1949年に「任命の基準として労働組合系統別に配慮する」という第54号通牒を出している。2006年に開始された労働審判制度では、厚生労働省の「労働組合基礎調査報告」にもとづく組織構成人員比という基準によって、連合・全労連などの潮流間で按分され最高裁によって労働審判員が任命されている。一方で労働委員会の偏向任命は続いており、対策会議は、政府・厚生労働省に今回の任命の選考基準と選考過程の開示と複数選任にあたっての公平・公正な判断を求める。
5.政府・厚生労働省は、非連合排除の任命が、労働者・労働組合の労働委員会への信頼を喪失させ、労働委員会制度そのものの形骸化の一因となっていることを直視すべきである。対策会議は、今回の運動の広がりを土台として、中央労働委員会での複数任命の獲得、都道府県労働委員会での労働者委員の獲得に向けてさらに運動を強化する。多くの労働組合と力をあわせ労働委員会の民主化、労働行政の民主化に向けたたたかいの前進をはかる決意を表明する。
以 上