全労連の談話・アピールなど
【談話】 改悪年金法の一部施行に抗議する
2004年10月1日  全国労働組合総連合  事務局長 坂内 三夫


 本日、「国民年金等の一部を改正する法律」の一部が施行されたことに全労連は強く抗議する。
 周知のように、この法律は、先の通常国会において、保険料や給付に関わる「ウソとごまかし」問題、閣僚や議員の保険料未納問題、積立金の不正流用や株式での損失問題などが次々明らかになるなかで、国民の圧倒的多数の反対を無視して採決強行されたもので、法案成立後も多数の国民が実施中止と再審議を求めていたものである。

 今回の一部施行によって、厚生年金保険料率は0.354ポイント引き上げられ13.934%と大きな負担増となる。さらに、このままでは、2017年度まで連続して引き上げられることとされており、国民年金保険料も来年4月から毎年280円づつ引き上げられる。この保険料引き上げの実施によって、国民の年金不信はさらに広がり、公的年金の空洞化もいっそう進むことになる。

 いま政治にもっとも求められているのは、こうした公的年金に対する不信、将来不安を払拭する社会保障・福祉対策の充実である。改造内閣発足についての各新聞社の世論調査でも、国民は第1に「年金・福祉問題」へのとりくみを、次いで景気対策や雇用対策を望んでいる。政府・厚生労働省は、こうした国民の願いに応えるべきである。
 全労連は、臨時国会にむけて引き続き、改悪年金法の実施を中止し国会審議をやり直すことを要求するとともに、最低保障年金制度の確立をはじめ国民が安心してくらせる年金制度を実現するために全力でたたかうものである。


【談話】「ウソとごまかし」の年金改悪法案の採決強行に強く抗議する
200463  全国労働組合総連合 事務局長 坂内三夫

 1、本日午後、参議院厚生労働委員会で、自民、公明両党は質疑を打ち切り、野党が反対するなか、小泉首相の目前で「国民年金等の一部を改正する法律案(年金改悪法案)」の採決を強行した。「ウソとごまかし」を政府自ら認めておいて、国民世論と議会制民主主義を無視し採決を強行した政府与党の暴挙に満身の怒りをこめて抗議するとともに、撤回を強く要求する。
 2、 政府は今回の法案を「100年安心」の抜本改正であると説明し、「保険料の上限固定方式」と「給付の50%下限」を条文に盛り込んだ。しかし、その後の国会審議を通じて賃金上昇によって保険料の固定どころか、青天井の引き上げが予測され、また年金給付50%維持は、ごく限られたモデル年金の新規受給者のみで、多くの受給者は40%〜30%台であるなど「ウソとごまかし」の内容が国民の前に明らかになった。
 
本法案は、「100年安心」どころか、だまし討ちの法案であり、中央公聴会も開かず採決を強行したことは、「良識の府」である参議院の場を踏みにじるもので断じて容認出来ない。消費税増税への道に踏み込む衆議院段階の3党合意による「付則」にも反対である。
  3、また、総理をはじめ閣僚に年金制度の未加入・保険料未納が発覚し、さらに与党である公明党3役と坂口厚生労働大臣の未納などが公表され、自民党は未加入・未納国会議員の公表さえ拒否している。
 
国民には、差し押さえを伴う強制徴収を実施する一方で、「保険料引き上げ・給付削減」の年金法案をあつかましく成立させることは、国会議員としての資質が問われ、未納閣僚の辞任を求めるのは当然の国民の声であり、直ちに辞任を要求する。
  4、今回の年金法案の審議は、決して国民の年金への不安、将来への不安を払拭するどころか、逆に拡大するばかりである。
 
今回の改悪による日本経済への影響や、増大する厚生年金の空洞化問題の解決、年金積立金の無駄遣いの責任と解明など取り残したままの採決となった。諸外国に比べ、国民の年金制度への信頼は著しく低い上に、今回の改悪は生存権をも奪いかねない。高齢者世帯の6割が年金収入だけで生活している実態をみれば、全額国庫負担による最低保障年金制度の確立は国民の差し迫った切実な願いである。
 
全労連は、最後まで成立阻止にむけて奮闘するとともに、目前にせまった7月の参議院選挙で、年金改悪法案の成立強行をはじめ悪政を推進する政党や議員に国民の厳しい審判を下し、最低保障年金確立を求めてすべての組合員と全力で奮闘する決意である。

                                              
以上

<談話>年金改悪法案の衆議院本会議採決強行に怒りを持って抗議する
2004年5月11日 全国労働組合総連合 事務局長 坂内三夫

 本日衆議院本会議で、政府提出の「国民年金等の一部を改正する法律案(年金改悪法案)」など関連法案が採決強行された。満身の怒りを持ってこの暴挙に抗議する。

 直近のNHKの世論調査でも88%の国民が、政府の年金改悪法案に危惧を持っており、閣僚の年金未加入や保険料未納に対し、年金不安と政治不信を拡大させている。そのうえ公聴会も設定せず、短時間の審議で成立させることは、到底国民の納得が得られるものではなく、国民無視も甚だしい。政府の年金改悪法案は断固廃案を求める。

 特に、自民・公明・民主によって本日可決した「3党合意による修正案」は、保険料の連続引き上げや給付の自動削減には何ら是正を要求せず、さらには政府案にない消費税の引き上げに道を開くものであり到底容認できるものではない。

この間の審議のなかで保険料の上限の固定や給付の50%下限については、政府のまやかしも崩れてきており、政府案の「100年安心」も数年しかもたないことも明らかになってきた。国民の納得がいく審議が求められている時に、この財界の要請に基づいた「3党合意による修正案」は、本日の採決の日程まで合意されたものであり、「政府案には反対」とする弁明を持っても民主党の責任は到底免れるものではない。
 
全労連は、以下のことを緊急に要求する。
  (1)    今回の年金改悪法案の廃案と全額国庫負担の最低保障年金の創設、
  (2)    国民世論を無視した3党合意は直ちに撤回をすべきであり、
  (3)    年金財源には消費税を充てないこと、
  (4)    年金未加入・保険料未納閣僚の辞任と、すべても国会議員の加入・納入状況の公開を強く求めるものである。
 このことが何よりも国民の年金制度への信頼を戻す確かな道であると考えるからである。
 
全労連は、参議院段階に移った年金制度の審議にあたって、国会の年金審議に対する国民的関心の高いことを踏まえ、年金制度史上最悪の政府案の廃案を求め全力でたたかう決意である。


【談話】 年金改悪法案の衆院厚生労働委員会採決強行に断固抗議する
2004年4月28日  全国労働組合総連合  事務局長 坂内 三夫

 本日、衆議院厚生労働委員会は、「国民年金等の一部を改正する法律案」の審議を打ち切り、採決を強行した。国民の7割以上が賛成しない法律案を公聴会も開かないまま国会の数の力で押し切ったことは、国民主権と議会制民主主義を否定するものであり断固抗議する。
 国民的関心が高く、現在と将来にわたって国民生活に密接にかかわる年金制度を、わずか30時間程度の審議で衆議院を通過させることは、ますます年金不安と不信を拡大させるもの以外何物でもない。さらに、日歯贈収賄事件、閣僚の保険料未納問題や、年金積立金の年金以外への使用に対する明確な解明がないまま成立させたことは、国民の政治不信の拡大にもつながり、許せるものではない。

 短時間の審議であっても、年金改悪法案の問題点が明らかになってきた。保険料の引き上げが、ますます年金制度の空洞化を進め、日本経済にも深刻な影響をもたらすこと。また、「マクロ経済スライド」の導入による給付削減は生存権さえ踏みにじる事態を引き起こす危険性を持っていること。不安定雇用労働者の年金加入に対する手立てもないまま、一方的な保険料の引き上げだけが先行していること。政府案も民主党案も消費税増税に道を開くことなどが明らかになった。
 このまま改悪法案の成立を許せば、100年安心どころか、制度の崩壊を招きかねない。

 現在の年金制度に対する緊急課題は、無年金者や超低額年金者の解消である。この年金の空洞化に歯止めをかけることなしに日本の年金制度への信頼や期待は生まれない。全労連は、この状況を解消する政策として「全額国庫負担による最低保障年金制度の創設」を提案し国民的論議を呼びかけてきた。今後も引き続き「誰もが安心の公的年金制度の確立」めざして力を尽くしていく。
 政府与党により年金改悪法案は衆議院厚生労働委員会で採択強行されたが、全労連は同法案の今国会での成立を阻止し、廃案めざして、全国からさらに運動を強める決意である。


【談話】「年金改悪法案」の閣議決定、国会提出に抗議する
〜「年金改悪反対」一点での国民的共同を〜
2004年2月10日 全国労働組合総連合  事務局長 坂内 三夫

 政府は本日、「国民年金法等の一部を改正する法律案」を閣議決定し、国会に提出した。
 政府案では、保険料を現行の13.58%から18.30%(労使折半)と35%も大幅に引き上げる一方、20年にも及ぶ給付の削減を行うとともに、即時実施しなければならない基礎年金への国庫負担2分の1への増額を先送りしている。さらに、5年後には消費税増税の道を開くという「国民負担増法案」である。
 この政府案は、「国民が老後に安心感を持てる制度に構築する(与党合意文書)」どころか、いっそうの年金不信と将来不安を増大させるものである。
 また政府案は、これまでの5年ごとの見直しで当面の改革を行ってきたものを、今後は国会審議、法律改定無しで毎年自動的に「保険料引き上げ・給付削減」を行なえる仕組みを導入する。時の政府の失政の付けを国民に転嫁するもので決して認められない。
 全労連は、労働者・国民に将来にわたって負担増を押し付ける「年金改悪法案」の国会提出に抗議し断固撤回を求めるものである。
 
この「法案」の内容で具体的に試算すれば、厚生年金保険料では570万円の平均的年収で年約13万4000円の負担増となり、国民年金保険料では、1人年4万3200円の負担増となる。今回の保険料の連続引き上げは未納者問題を深刻化させ、景気への悪影響を及ぼすことは必至である。
 年金給付額については、保険料収入の範囲内に給付水準を収める仕組みの導入により、経済悪化を口実に給付額を自由に切り下げようとするもので、将来的にはモデル年金で夫婦年55万円の削減となり、共働きや単身男性ではさらに削減幅は広がる。その上、物価スライド適用や年金課税の強化で大幅な削減となる。「将来支給される年金額がわからない」という国民の不安の声が出てくるのはこのような「法案」にこそ原因であり、自ら年金制度への信頼性を崩している。
 
日本経団連は、「社会保障制度全体をパッケージで改革する最後の機会とする」ことを真正面からせまり、総人件費抑制策の総仕上げとも言える社会保険料負担の全面回避をねらっている。この間財界と政府は一体となって倒産・リストラを進めた結果、常用雇用指数が若干上向きつつあるものの、300万人を超える失業者や所得減少などによって、社会保険制度を事実上崩壊させる要因となっている。
 
全労連は、この「年金改悪法案」の廃案と年金制度の改善を求めて全国からたたかいを強めていく決意である。
 全労連は、(1)基礎年金の国庫負担の増額を約束に基づいて即時実施すること。(2)200兆円にものぼる年金積立金を計画的に取り崩して年金給付に活用すること。(3)リストラなどをやめ、雇用の確保で年金の支え手を確保することを緊急に政府に強く要請するものである。
 全労連は、総力をあげて年金改悪反対闘争を04春闘最大の闘いと位置づけ、4・15年金ストライキを配置し、国会内外でのたたかいを強め、廃案をめざして奮闘する決意である。
 職場・地域から「年金改悪反対」一点での国民的共同づくりにむけ、すべての労働者と国民に呼びかけるものである。