最終平均は5,764円、1.89%
賃下げの押しつけ許さず、加重は2%台に
最終集計結果の特徴について
2002年7月 2日●2002年国民春闘回答集計センター
産業別・単産別総括表
妥結組合 産業別・単産別総括表
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1万円以上の回答
1.春闘回答集計センターは6月27日、2002年国民春闘共闘委員会(全労連、純中立労組懇など)の各単産と地方より最終・第9回目の報告を受けた。
2.回答+妥結状況は各々集計表のとおりで、その特徴はつぎのような諸点である。
(1) |
登録組合数 |
950組合 |
(登録は33単産・部会) |
|
|
(2) |
回答組合数 |
565組合 |
回答引出し率 |
59.5% |
|
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うち上積み回答 |
185組合 |
回答上積み率 |
32.7% |
|
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うち前年実績以上 |
110組合 |
回答組合数の |
19.5% |
|
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妥結組合数 |
373組合 |
解 決 率 |
39.3% |
|
(3) |
単純平均 |
565組合 |
5,764円 |
同率 |
1.89% |
|
前年同期 |
675組合 |
6,555円 |
同率 |
2.16% |
|
前年同期比 |
|
− 791円 |
|
−0.27P |
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加重平均 |
15.3万人 |
7,126円 |
同率 |
2.01% |
|
前年同期 |
17.9万人 |
7,651円 |
同率 |
2.26% |
|
前年同期比 |
|
− 525円 |
|
−0.25P |
(4)回答状況と産業別の特徴について
6月も下旬となり、夏季一時金の支給期を迎えても回答組合数は565組合、引出し率にして59.5%にとどまり、約4割の組合がいまだ有額回答を引出せないという状況である。また、単純平均の5,764円、1.89%の水準は前年同期比で791円減、引上げ率では0.27ポイントのマイナスとなり、史上最低となった昨年の水準をさらに下回るきびしい結果になった。
こうしたなかで、
1) 加重平均では7,126円、2.01%となり定期昇給分(約2%)はなんとか確保できたこと、
2) 計185組合(33%)が第2次、第3次と回答を上積みさせてきたこと、
3) 110組合(20%)が前年実績以上をかちとったことなど、
「春闘解体元年」といわれるなかで部分的な歯止めをかけることができた。
これらは、各単産がベアゼロや賃下げ攻撃に抗しねばり強く賃上げを追求してきた結果である。
産業別にみると、前年実績を金額・率ともに超えたのは皆無で、金額がプラスになっているのは全損保、全証労協、全国私教連などだが、いずれも報告のあった単組以外ではベアゼロや賃下げ提案(リストラも)があり、なお闘争を継続中である。このほか、平均額が8000円を超えているのは外銀連の8314円と、地方マスコミ8636円(2.49%)、出版労連8568円(2.07%)、民放労連8007円(1.87%)のマスコミ関係である。引き上げ率で2%を超えているのは広告労協が2.41%、全農協労連2.30%、日本医労連2.24%など12単産である。
(5)最高金額を獲得したのは広告労協の電通労組で1万7800円、最高回答率も広告労協の組合でADU労組の6.00%。最高回答次数は朝日新聞労組(地方マスコミ)の第6次回答、このほかJMIU、全労連全国一般、民放労連、出版労連の各1組合、計4組合が第5次回答を引き出した。1万円以上の回答は計42組合になった。1万円以上の回答
3.妥結組合の状況について
1)妥結数は373組合に増えたものの全体では39%(前年は48%)の低水準である。未解決が多いのは金融関係単産と建交労・建設、通信労組、全国一般、日本医労連、全国私教連、福祉保育労と地方登録組合などで、「経営悪化」をはじめ、リストラ「合理化」提案、「賃下げ」「業績給」の押しつけなどの事情で闘争を継続している組合が多くみられる。妥結組合 産業別・単産別総括表
2) |
[妥結・妥結方向]数 |
賃上げ額 |
同率 |
前年同期比(額) |
(率) |
単純平均 |
373組合 |
5,846円 |
1.87% |
−930円 |
−0.29P |
加重平均 |
10.2万人 |
7,709円 |
2.04% |
−214円 |
−0.24P |
4.各団体の賃上げ最終集計の結果は、以下のとおりである。
1)連合の妥結状況(6月10日現在、第6回回答集計)は以下のとおり。
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妥結組合数 |
加重平均 |
単純平均 |
集計方式 |
組合数 |
人数(万) |
金 額 |
率(%) |
昨 年 |
率(%) |
金 額 |
率(%) |
昨 年 |
率(%) |
平均賃上げ |
722 |
140.3 |
5,349 |
1.72 |
6,015 |
1.95 |
4,337 |
1.52 |
5,128 |
1.82 |
35歳P |
51 |
11.8 |
|
|
|
|
5,156 |
1.82 |
5,804 |
2.04 |
30歳P |
50 |
14.0 |
|
|
|
|
7,184 |
2.71 |
6,523 |
2.44 |
2) 日本経団連政部グループ調べの妥結状況(大手5月28日、中小6月13日現在)は以下のとおり。
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回答+妥結 |
加重平均 |
単純平均 |
集計方式 |
社 数 |
人 数(万) |
金 額 |
率(%) |
昨 年 |
率(%) |
金 額 |
率(%) |
昨 年 |
率(%) |
大手企業 |
193 |
- |
5,249 |
1.59 |
6,365 |
1.93 |
5,327 |
1.66 |
6,390 |
2.01 |
中小企業 |
321 |
- |
3,512 |
1.35 |
4,544 |
1.76 |
3,073 |
1.20 |
4,243 |
1.66 |
3) 厚生労働省調べの妥結状況(8月30日発表)は以下のとおり。
加重平均 |
主要230社 |
5,265円 |
1.66% |
−1,063円 |
−0.35P |
5.02春闘・賃上げ闘争をふりかえって
02春闘をふりかえってみると、
第一の特徴は、生産や消費に関する諸指標がマイナスになるデフレ経済のもとで、主要大企業だけが内部留保を積み増しするなど十分な支払能力がありながら、トヨタをはじめ多くの企業が賃金抑制を徹底してきたことである。
第二に、財界や個別企業が利益第一主義の海外進出、なりふりかまわぬリストラ・首切りをすすめ、ベアゼロを押しつけた後に、さらに「賃下げ」や業績給の導入を強行するなど「賃金・雇用破壊」「春闘解体」路線を本格展開してきたことである。
第三に、政府の行財政改革や規制緩和政策が各分野に浸透し、大企業、大手銀行が優遇される一方で、中小零細企業、地域金融など弱いところに負担と犠牲が集中し、賃上げ結果には産業別格差・規模別格差がいっそう拡大したことである。
第四の特徴はベアゼロ、定昇削減、一律賃下げや業績給導入など賃金制度にたいする全面的な攻撃を受けながらも、春闘共闘に結集する各組合はパートの賃上げ、企業内最賃などの「底上げ」や雇用保障・定年延長、サービス残業の根絶など「働くルールの確立」を重視しつつ、組合員の切実な要求の実現をめざしてきた。とくに、「3・14全国統一行動」につづく「4・12」では「医療改悪反対、雇用・くらし・いのちを守る」課題をかかげ、統一スト・国民総行動に83万余が決起して、不十分ながら今日の到達点をかちとってきたことである。
国民春闘共闘は本日2日、第3回幹事会総会をひらき「02国民春闘の到達点」について総括的な討議を行う。また、ひきつづき夏季一時金、最低賃金、公務員賃金と「医療大改悪」「有事法制」など悪法阻止・廃案をめざす国会闘争など夏期闘争強化のために奮闘するものである。
(以 上)
* 02春闘の賃上げ集計はこれをもって終了とします。本作業にたずさわったすべての調査担当者の方々に厚く御礼申し上げます。
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(注)4項の「各団体の賃上げ最終集計」が発表・更新された時点で「確定版」を発表します。
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