2003年国民春闘共闘情報
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第59号・夏季第3号  2003年7月15日

産業別・単産別総括表   個別回答一覧へ

 

すべての単産が回答引出し、上積みも

加重平均は78万円、プラス基調に

 夏季一時金第3回集計  中小苦戦。規模別格差が拡大

2003年7月15日 2003年国民春闘回答集計センター

 1.2003年国民春闘回答集計センターは7月11日、各単産・地方共闘より7月上旬の夏季一時金回答報告を受けて第3回集計をおこなった。すべての単産の回答が出揃い、登録組合の73%にあたる605組合が回答を引出し、うち369組合が妥結している。

2.回答+妥結状況は別表のとおり、集計結果は以下のとおりである。

 
(1) 登録組合数 828組合    
(2) 回答組合数 605組合 回答引出し率 73.1%
  2次回答以上 159組合 上積み回答率 回答数の26.3%
  前年実績額以上 163組合   回答数の26.9%
  妥結組合数 369組合 妥 結 率 登録数の44.6%
(3) [回答+妥結]      
  単純平均 605組合 2.08カ月+α 669,454円
  前年同期比 (02.07.08) 697,881円 −4.07%
  前年実績比 (同一組合) 703,622円 −4.86%
  加重平均 10.7万人   781,728円
  前年同期比 (02.07.08) 778,224円 +0.45%

3.回答・闘争状況の特徴はつぎのような諸点である。
 1) 7月上旬の特徴は、多くの単産が夏季一時金の支給日を迎えつつあり、6月末段階を中心に春闘未解決組合とともに、交渉集中日、統一行動日などを設定して決着を迫るとりくみをすすめてきた。前回集計時(6月19日)以降、新たに回答を引出してきたのは全労連全国一般と検数労連、外銀連で、回答引出し・上積みがすすんでいるのは全農協労連、建交労・建設、化学一般労連、同・紙パ、自交総連(自教)、建交労・鉄道、生協労連、全信労、全証労協、広告労協、日本医労連、地方登録の各組合などである。こうして、登録31単産・部会のすべての回答が出揃ってきた。また、支給日に合わせて妥結する組合も急増してきた。

 2) 回答状況の傾向は、単純平均が前年同期比や前年実績比で4%台の減額を押し付けられているものの、一人当たりの加重平均では前年同期比でプラス(0.45%)に転じたことである。これは1000人以上の大手が比較的好調なのに対し300人未満の中小のきびしさを示しており、規模別格差の拡大につながっている。対比可能な28組織中、前年実績比でプラスになっているのは化学一般労連、全労連繊維、検数労連、郵産労、地方登録組合の5単産・組織で、前年同期比では全労連全国一般、全証労協、全印総連、出版労連、日本医労連、地方マスコミ(新聞)なども加わり10組織となるなど、善戦健闘ぶりがうかがえる。一方、前年比マイナスが多いのは建設業、卸小売業、金融保険業、マスコミ関係業などである。リストラや「ベアゼロ」「賃下げ」の春闘にひきつづきなりふり構わぬ総額人件費削減攻撃、中小企業での業績悪化、社会保険料の高負担などによって、二桁のマイナスになっている単産も見られる。こうしたなかで個別にみると、159組合が第2次回答以上の上積みをかちとり、163組合が前年実績額を上回って奮闘している。

 3) 最高回答次数は関西医大労組(日本医労連)の第7次回答で、東証取引所労組(全証労協)と愛媛新聞労組(地方マスコミ)が第5次回答。最高月数は名古屋放送労組(民放労連)と出版労連3組合が5.0カ月分。高額回答については出版労連の組合が332万円余を獲得しているのをはじめマスコミ関係中心に150万円以上が16組合報告されている。


4.他団体の集計結果について


連 合 7月07日現在 月 数 金 額 (引上げ率)
単純平均 345組合 1.95カ月 524,059円 +0.92%
加重平均 73.9万人 2.28カ月 679,975円 +4.93%


日経連 7月02日現在 月 数 金 額 (引上げ率)
単純平均 大手194社   667,571円 +1.54%
加重平均     807,566円 +4.45%



 5.今後の闘争強化について
 夏季一時金闘争は、決着期の「6月末」または「7月上旬」のたたかいを経て回答引出しがすすみ、妥結する組合が急増している。今年の一時金は健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料、雇用保険料などの社会保険料が総報酬制となったことから、合計では支給総額の12.05%が天引きされている。労働者にとって一時金は、生活維持・改善のために予めその収入を見込んで生活設計を立て、まとまった支出を予定している。今回の支給額削減と総報酬制による高負担によって、毎月の赤字補てんや住宅・教育ローンの支払などに支障をきたす状況も生まれている。また、使用者側も同額を支払わなくてはならず、中小企業では経営圧迫の一因として回答引出しの障害となった。
 こうして夏季一時金闘争はきびしさを乗り越え全体として収拾の方向に向かいつつあるが、今年は多くの単産が春闘未解決組合を抱えており、粘り強いたたかいを継続中である。折から、地域別最低賃金の答申、公務員賃金の人事院勧告が山場を迎えている。最賃答申は史上初のマイナス答申、人勧給与は2年連続の引き下げ勧告が取り沙汰されており、7月17日には全労連・春闘共闘の「第6次最賃デー」(目安小委員会前での宣伝行動)、24日には「第7次最賃デー」(厚生労働省前での座り込み行動)、そして7月下旬には公務労組連絡会の人事院前座り込み行動などが準備されている。この間の官民一体の運動前進をさらに発展させ、春闘・夏季一時金の全面解決とともに、最低賃金、人勧闘争、延長国会での「イラク特措法案許すな!」など悪法阻止のたたかいを強化しようとしている。


(以 上)




 
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