2006国民春闘共闘情報
全労連HP

第 23 号  2006年4月27日


非正規賃上げ総括表


 

 パート等の賃上げ回答状況C

平均12.6円に上昇。155組合が引出す

企業内最賃は174組合が回答・協定

1.国民春闘回答集計センターは4月26日、国民春闘共闘委員会(全労連、純中立労組懇など)中心的要求として重視してきたパート・アルバイト等の賃上げの第4回回答集計をおこなった。生協労連の49組合、全労連全国一般の32組合をはじめ、建交労、JMIU、化学一般労連、日本医労連、福祉保育労、自治労連など計155組合(日額・月額26組合含む)の回答が報告された。前年同期の回答引出し数112組合を43組合上回って奮闘している。

 今季の特徴は、ここにきてパートの人手不足が全国・各産業規模で表面化し、新規募集の時間給が軒並み上昇傾向を示している。こうした中で、「4・14統一行動」「4月末決着」のたたかいによって、現職パートの時間給引上げ回答も5円、10円、20円が多く、福祉保育労兵庫で日曜専門職員200円アップ、建交労福岡で契約社員187.5円アップ、自治労連東京の世田谷区関連事業団で100〜200円アップの回答引き出しもあり、全体では107組合平均で12.6円(前年同期は9.7円)と急上昇してきた。ただし、消費不況や制度改悪の影響を受けている商業・サービス分野や医療、公務関連では「ベアゼロ」「定昇のみ」や「現状確保」もあり、正規労働者同様にきびしい回答も見られる。

 臨時・嘱託・準社員など日給者の日額引上げは、生協労連3組合、建交労と全労連全国一般の各2組合など計10組合が平均344.4円(前年同期は160.2円)引き上げた。同様に月給者の月額引き上げは、全労連全国一般6組合、建交労4組合、生協労連と自治労連の各2組合など計16組合の平均で2882円(同1807円)の引き上げをかちとっている。


企業内最賃月額平均は17万0873円に

2.企業内最賃は、これまでに建交労運輸の集団交渉(首都圏、大阪など)で建交労最賃39組合、トラック運転者最賃34組合をはじめ、出版労連33組合、日本医労連(@誰でもA看護婦)の19組合、生協労連の最低時給19組合、JMIU、全印総連など計174組合(前年同期は94組合)が協定した。

 うち月額の水準と特徴は、建交労運輸の「建交労最賃」では首都圏基本集交(12社)が17万5000円で変わらず、大阪集団交渉(11社)が17万3000円で500円アップの協定。東京・中央通運は17万7000円で2000円アップさせた。「トラック運転者最賃」は首都圏集交と東京清掃集交(13社)が前年同額の19万6000円で協定している。なお、前述の建交労福岡で契約社員187.5円アップは、契約社員を組織化したことにより福岡集交の15万6000円が適用され、その差額(月額3万円)を改善したことによるものである。

 出版労連では、月額16万円、日額8000円、時間額1100円の産別要求をかかげ、各職場の企業内最賃引き上げ・協定化とともに東京都出版最賃(現行789円)の引き上げをめざしている。これまでに33組合が協定又は既にクリアしているが、引き上げ申請には対象労働者数の3分1=2万人近い賛同者が必要で、単組の最賃協定、無協定の場合は単組決議、さらに個人の賛同署名や新たに往復ハガキによる署名にも取りくんでいる。

 日本医労連の産別最賃は「誰でも最賃」と「看護師最賃」の2本建て。「誰でも最賃」は9組合平均14万8428円で殆どが前年同額で協定している。「看護師最賃」も8組合平均19万2269円で同様に殆どが前年同額で協定。うち民医労青森保健が「誰でも」を3000円、「看護師」を5000円引き上げている。日本医労連では去る3月22日、岩手、秋田、山形、福島、長野、島根、山口の7県で看護師・準看護師を対象とする産別最賃新設への意向を各県労働局に表明し記者発表した。各県の医労連では、申請に必要な「合意書面」として、看護師最賃協定、賛同署名、単組大会や中央委員会などの決議を集める運動を展開中である。

 このように、産別最賃確立の運動がすすむ一方、金額引き上げの要求実現は経営側の壁が厚く苦戦を強いられている。こうした中、月額の引き上げを勝ちとっているのは、建交労の12組合、JMIU3組合、出版労連4組合、日本医労連2組合の計21組合(前年同期は3組合)である。平均月額は9業種125組合の単純平均で17万0873円になった。

 日額では37組合(前年同期は14組合)が協定し、うち32組合が同額で、出版労連3組合、日本医労連2組合の計5組合が81円〜200円の引き上げをかちとっている。計36組合の単純平均は7107円になった。最低時給を含む時間額では67組合(前年同期は30組合)が協定し、うち55組合が同額で、金額改定はJMIU3組合、生協労連4組合、全印総連1組合、出版労連2組合、日本医労連2組合の計12組合が2円〜100円の引上げをかちとっている。計66組合の単純平均は933円になった。

3.以上の回答状況から、パート・臨時等の賃上げ回答は、一部きびしい回答が見られるものの、回答引出し数が増えるとともに、単純平均12.6円は前年の最終実績(13.3円)に迫り奮闘している。一方の企業内最賃の協定・改定状況は、協定組合が大幅に増えつつあるが、金額の引上げについては全従業員の賃金底上げに連動することから経営側のガードは強固なものがある。こうした中で、出版労連は東京都出版最賃の引き上げに奮闘し、日本医労連の7地方では産別最賃申請の準備をすすめ、賃金底上げ、均等待遇の実現をめざしている。

 各単産はいま、春闘の4月決着を迫るたたかいを展開中で、未解決を抱える各単産は5月闘争の強化に向けての意思統一をはかっている。改めてパート・アルバイト等の賃上げ、企業内最賃協定・改定という切実な要求の実現、「均等待遇」の第一歩としての意義を再確認するなど、産業別闘争を強めつつ要求前進をかちとるよう期待する。


(以上)




 
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