2007国民春闘共闘情報
全労連HP

第38号・回答第6号  2007年6月25日

 

最終平均は6,720円、2.00%

 定昇分プラスα確保  3年連続で前年比プラス

最終集計結果の特徴について

2007年6月25日 国民春闘回答集計センター

産業別・単産別総括表   個別回答一覧   妥結組合 産業別・単産別総括表

 1.春闘回答集計センターは6月22日、国民春闘共闘委員会(全労連、純中立労組懇など)の各単産と地方より07春闘賃上げ回答状況の最終・第6回目の報告を受けた。今回は、登録している29単産部会・7地方から報告が寄せられた。

 2.回答+妥結状況は各々集計表のとおりで、その特徴はつぎのような諸点である。

 
(1) 登録組合数 822組合 回答組織数は 29単産・部会と7地方  
(2) 回答組合数 533組合 引出し率 65.0%  
  うち金額・率回答 432組合 ほか101組合は 「定昇のみ」などで未計算  
  うち上積み回答 146組合 回答上積み率 33.8%  
  うち前年実績額以上 280組合 回答組合数の 64.8%  
  妥結組合数 256組合 解 決 率 31.1%  
(3) 単純平均 432組合 5,673円 同率 1.90%
  前年同期 478組合 5,655円 同率 1.89%
  前年同期比   +  18円   + 0.01P
  加重平均 10.4万人 6,720円 同率 2.00%
  前年同期 10.0万人 6,244円 同率 1.97%
  前年同期比   +  476円   +0.03P




 4) 回答状況と産業別の特徴について
 07春闘の賃上げ回答状況は、ここにきて金融関係各単産、医療、私学、一般サービスの組合が新たな回答を引き出してきた。多くの組合は夏季一時金の回答引き出しとともに奮闘しているが、有額回答数は432組合で、引出し率にして53%にとどまっている。このほか、「ベアゼロ」「定昇のみ」や「業績給で計算不能」など数字にならない日本語回答が101組合(前年は118組合)に見られ、計533組合の実質的な回答引出し率は65%になる。それでもなお約3割の組合がいまだ回答に値するものを引き出せないという状況である。

 こうしたなか、最終的な特徴は、@組合員ひとり当りの加重平均が6,720円、2.00%となり定期昇給分(2%弱)プラス・アルファを確保できたこと、A1組合当りの単純平均でも前年同期比で18円増、引上げ率では0.01ポイントのプラスとなり、3年連続して増額をかちとることができたこと、B計146組合(34%)が第2次、第3次と回答を上積みさせてきたこと、C280組合(65%)が前年実績以上をかちとったことなどである。なによりも、大企業における春闘が2年連続してベアを要求するなど、不十分ながら「賃上げ春闘」を復活させることができた。

 産業別にみると、前年実績を金額・率ともに超えているのは、比較可能な26単産部会中、全農協労連、建交労建設、JMIU、建交労製造、建交労運輸、建交労鉄道、検数労連、全倉運、通信労組、生協労連、全印総連、日本医労連と地方登録組合の13組織で、賃上げ額のみプラスになっているのは化学一般労連、民放労連の2組織である。このほか、平均額が比較的高いのは出版労連8,900円(2.13%)、民放労連8,086円(2.16%)、地方マスコミ8,023円(2.19%)、外銀連7,000円などである。

 5) 最高額・率を獲得したのは日本医労連の組合の2万4530円、9.83%。最高回答次数はJMIU2組合と化学一般労連1組合の計3組合が第5次の上積み回答を引出した。「1万円以上」の回答は計35組合(06年は40組合)になった。



 3.妥結組合の状況について

 1)妥結数は256組合で前年比96組合も減っている。全体ではなお31%(前年は41%)の低水準であるが、一定数の報告漏れもある。解決がすすんでいるのはJMIU、化学、繊維などの製造業と、運輸、鉄道などの交通運輸業、民放、印刷、出版などのマスコミ関係業で、逆に未解決が多いのは全農協、卸売・小売業と金融業の各単産、医療・福祉、私学関係、特殊法人の単産と地方登録組合など。未解決組合の多くは、夏季一時金回答とセットで解決をはかるものと思われる。

(2) [妥結・妥結方向]数 賃上げ額 同率 前年同期比(額) (率)
単純平均 256組合 6,203円 1.96% +357円 +0.08P
加重平均 6.5万人 7,561円 2.06% +1,030円 +0.10P

 4.各団体の賃上げ最終集計の結果は、以下のとおりである。
1) 連合の妥結状況(5月30日現在、第5回中間集計)は以下のとおり。

  妥結組合数 加重平均 単純平均
集計方式 組合数 人数(万) 金 額 率(%) 昨 年 率(%) 金 額 率(%) 昨 年 率(%)
平均賃上げ 4151 208.2 5,619 1.88 5,251 1.82 4,287 1.68 4,057 1.62
35歳P 120 8.6         6,568 2.45 6,425 2.38
30歳P 102 5.0         7,663 3.27 6,278 2.60
07中小共闘 2883 26.6         3,997 1.64 3.813 1.56

 2) 日本経団連調べの妥結状況(6月6日現在。大手は最終、中小は中間)は以下のとおり。

  回答+妥結 加重平均 単純平均
集計方式 社 数 人 数(万) 金 額 率(%) 昨 年 率(%) 金 額 率(%) 昨 年 率(%)
大手企業 114 - 6,202 1.90 5,813 1.76 5,533 1.78 5,160 1.66
中小企業 379 - 4,278 1.68 4,063 1.60 4,072 1.62 3,893 1.56

3) 厚生労働省調べの妥結状況(8月末までに発表の予定です)

 加重平均         円  %  円  P



 5.07春闘・賃上げ闘争をふりかえって
 06春闘をふりかえってみると、
 07春闘をふりかえってみると、第一に、大企業がひきつづき史上最高益を更新し、賃上げに対する労働者の期待が高まるなか、多くの大手労組が2年連続のベア要求に踏みきり、不十分ながら「賃上げ春闘」の状況がつくられたことである。しかしながらトヨタの「ベア1000円」は、それ以下に押さえ込む重石の役割を果たし、「業績配分は一時金で」という低額回答の流れが定着した。第二の特徴は、大企業中心の「景気拡大」が一部の中小企業にも波及し、春闘共闘組合の賃上げ交渉にも反映して、粘り強いたたかいで3年連続の増額をかちとったことである。第三は、建設関連、金融、サービスなどの産業では長期にわたる地域経済の不振や政府の財政・金融政策によって、賃金抑制攻撃が止まらず産業間・地域間の格差が拡大していることである。
 第四の特徴はこうしたなか、パート・非常勤の賃上げ、企業内最賃の改定・協定化や子育て支援、均等待遇、正社員化など組合員の切実な要求の実現をめざして前年を上回る成果を収めてきた。

 国民春闘共闘は来る6月29日、第2回単産・地方代表者会議をひらき、07春闘中間総括案について討議し、改めて賃金闘争の高揚をめざす。あわせて、ひきつづき夏季一時金の増額、最低賃金1000円以上、公務員労働者の賃金水準改善と労働時間の短縮、非正規労働者の均等待遇など夏季闘争強化のために奮闘するものである。

(以 上)







 
 まもろう憲法・平和、なくそう格差と貧困、つくろう安全・安心な社会を




国民春闘共闘情報