製造業など10単産が前年比プラス
加重平均6,195円、1.93%に上昇
3月中旬、第1次回答などの特徴について
2008年3月24日 国民春闘回答集計センター
産業別・単産別総括表
個別回答一覧
パート等の賃上げ状況
1.春闘回答集計センターは3月21日、国民春闘共闘(全労連、純中立労組懇など)の各単産より12日の集中回答日以降19日までに引き出した第1次回答を中心とする第2回目の報告(先行組合の2次〜3次回答を含む)を受けた。これには、16単産部会から195組合の報告が寄せられた。
2.これまでの回答+妥結状況は総括表のとおりで、特徴はつぎの諸点である。
(1) |
登録組合数 |
813組合 |
29単産部会より |
登録 |
|
(2) |
回答組合数 |
195組合 |
引出し率 |
24.0% |
|
|
うち2次回答以上 |
40組合 |
上積み率 |
20.5% |
|
|
うち前年実績以上 |
96組合 |
回答数の |
49.2% |
|
(3) |
単純平均 |
195組合 |
5,967円 |
同率 |
1.94% |
|
前年同期 |
231組合 |
5,827円 |
同率 |
1.93% |
|
前年同期比 |
|
+ 140円 |
|
+ 0.01P |
|
加重平均 |
4.2万人 |
6,195円 |
同率 |
1.93% |
|
前年同期 |
5.1万人 |
5,755円 |
同率 |
1.86% |
|
前年同期比 |
|
+ 440円 |
|
+0.07P |
40組合が回答上積み、96組合が前年実績プラス
4) 全体の傾向について
1) 第1回集計(3月13日)以降に回答指定日を迎えた単産もあり、1週間の取りくみで回答引き出し数が56組合増えた。この間、新たに回答を引き出した単産は、化学一般労連・紙パ、合同繊維、建交労・鉄道、全労連全国一般などの6単産部会で、引出し数が増えてきたのはJMIU、化学一般労連、建交労・運輸、生協労連、全印総連、日本医労連、地方マスコミ(新聞)などである。
2) 今回は、新規の超低額回答と先行した組合の上積み回答が同時に報告され、単純平均は5967円(1.94%)、一人当たりの加重平均は6195円(1.93%)になった。前年同期(3/23)との比較では単純平均が140円増、加重平均も440円の増額となった。単純平均の増額は、前年同期比で比較可能な16単産・部会中プラスが10組織であることに連動し、加重平均の増額は中堅・大手の組合がここにきて6000円以上の回答を引き出してきたことによる。前年同期比でプラスになっているのは、製造業の各単産と建交労・鉄道、全労連全国一般、民放労連、地方マスコミ(新聞)などである。
3) 08春闘は、大企業の利益が中小企業と家計に循環することが求められていたが、「1000円(前後)のベア」を押し付け、業績配分は一時金に上乗せして決着している。こうした回答傾向が中堅中小にも浸透しつつあるなか、春闘共闘各組合は統一行動を背景に、回答引き出し、上積みをめざして奮闘してきた。その結果、第1次回答の水準は、前年同期を若干上回っているものの、定昇相当分が多く、一部に「ベア獲得」が見られる程度で、定昇込み4000〜8000円台に集中している。定昇制度のない企業では1000〜5000円台が多数を占めている。とくに、中小では引き続き燃料・鋼材価格の高騰を価格に転嫁できず、取引先からのコスト削減圧力もあって、業績回復に至らないことが低額回答として表面化している。また、一部のサービス業では業績低迷が続き、前年比マイナスの回答に直結している。これらの単産を中心に「ベアゼロ」「定昇のみ」「回答延期」など金額提示のない回答が62組合を数える。
4) 3・13全国統一行動をたたかった国民春闘共闘参加組合は、前週の18〜19日を中心に集中団交や統一行動などを配置し、回答引出し・上積みを求めてたたかってきた。その結果、JMIU、化学一般労連、建交労・運輸、地方マスコミなどの40組合が第2次〜第4次の上積みをかちとり、全体水準を押し上げることに貢献している。
5) この間、「1万円以上」の回答が16組合報告されている(登録外を含めると34組合)。これまでの最高はJMIUの組合で各1万3774円である。前年実績額との比較では96組合がプラス(同額19組合を含む)をかちとり、最高はJMIUの組合で前年比プラス5500円の1万円。回答次数でもJMIUの組合が第4次回答を引き出している。
時給350円アップも。70組合が引き出す
パート等の賃上げ回答状況 A
3.パート・アルバイト等の賃上げは3月19日現在、生協労連をはじめ、日本医労連、JMIU、建交労、全労連全国一般、全印総連の70組合が時間額・月額アップの回答を引き出しました。
今のところ、パートの時間額アップは10円、15円、20円の報告が多く、日本医労連の専門職では100円、200円、350円も見られる。一方、「ギョーザ事件」渦中の生協労連のなかには「ベアゼロ」「定昇のみ」というのもある(「賃下げ」はなし)。これまでの平均引き上げ額は66組合平均で27.2円(前年同期は27.1円)で、ほぼ前年並みの水準となっている。
4.他団体の賃上げ集計結果について
1) 3月21日現在、連合調べの第2回回答+妥結集計は以下のとおり。
|
妥結組合数 |
加重平均 |
単純平均 |
集計方式 |
組合数 |
人数(万) |
金 額 |
率(%) |
昨 年 |
率(%) |
金 額 |
率(%) |
昨 年 |
率(%) |
平均賃上げ |
870 |
143.7 |
6,195 |
2.03 |
6,027 |
1.99 |
5,682 |
2.09 |
5,581 |
2.06 |
2) 3月24日現在、日本経団連は回答+妥結状況を発表しておりません。
諸物価急騰!ベア獲得・上積みに執念を
5.国民春闘共闘に結集する各単産は、「なくせ貧困」をスローガンに、格差の是正を含む積極的な賃金要求を掲げ、「誰でも月額1万円、時間額100円」の底上げを求めて、春闘前段の統一行動、「3・13」と前週の産業別統一行動などで奮闘してきた。これまでのたたかいで、「前年実績プラス・アルファ」の流れはつくってきたが、引き続ききびしい経営環境におかれている中小企業では賃上げに対するガードが相変わらず固いという実態も明らかになった。
この間、国民春闘共闘委員会は第4回常任幹事会(3/14)をひらき、集中回答日の状況を交流するとともに、春闘後半戦にむけて「『前年並み賃上げ』回答を乗り越える春闘後段のたたかい強化を」のアピールを発表し、態勢と行動、交渉を再強化するよう呼びかけた。また、再回答と上積みをめざす4・23第2次全国統一行動に加え、4月10日前後に各単産が統一行動を集中してたたかうことを提起した。
これを受けて、各単産でも戦術委員会や執行委員会を開催し、改めて大企業や業界団体の「(前年並みの)低額押さえ込み」攻撃を乗り越えて、燃料や生活関連物価の急騰に対応できる賃上げをめざし、執念をもって回答上積みと諸要求実現にむけ、粘り強くたたかう決意を固めあおうとしている。
(以 上)
なくせ貧困、ストップ改憲! つくろう平和で公正な社会