2009国民春闘共闘情報
全労連HP

第27号・回答第3号  2009年04月13日

産業別・単産別総括表  個別回答状況一覧  パート等の賃上げ状況

 

各単産の回答ほぼ出揃い、前年比で減額

加重平均5,900円、前年比▲367円

 4月上旬段階の回答について 

2009年4月13日 国民春闘回答集計センター

 1.春闘回答集計センターは4月10日、国民春闘共闘委員会(全労連、純中立労組懇など)各単産より4月上旬の回答を中心とする第3回目の報告を受けた。21単産部会から先行組合の2次〜3次回答を含む343組合の報告が寄せられた。

 2.これまでの回答+妥結状況は総括表のとおりで、特徴はつぎの諸点である。

 
(1) 登録組合数 808組合 29単産・部会中 21単産が引き出す  
(2) 回答組合数 343組合 引出し率 42.5%  
  うち金額・率回答 255組合 ほか88組合は 「定昇のみ」などで未計算  
  うち2次回答以上 56組合 上積み率 22.0%  
  うち前年実績以上 72組合 回答数の 28.2%  
  妥結組合数 66組合 妥結率 8.2%  
(3) 単純平均 255組合 5,377円 同率 1.69%
  前年同期 250組合 5,924円 同率 1.95%
  前年同期比   − 547円   − 0.26P
  加重平均 6.5万人 5,900円 同率 1.90%
  前年同期 6.5万人 6,267円 同率 2.04%
  前年同期比   −  367円   −0.14P


56組合が上積み回答、72組合が前年実績プラス

 4) 全体の傾向について
 1) 第2回集計(3月26日)以降、新たに回答を引き出した建交労・建設、繊維産労、検数労連、金融労連から初めての報告があり、JMIU、化学一般労連、建交労・運輸、同・鉄道、全労連全国一般、日本医労連、地方マスコミ(新聞)や地方登録組合などからは新規回答と上積みとが同時に報告された。

 2) 今回の有額回答数は255組合(全体の31.6%)となり、ほぼ前年同期並みである。しかしながら、単純平均が547円(0.26ポイント)の減額、一人当たりの加重平均も367円(0.14ポイント)の減額というきびしい状況となった。これは、1000人以上の大手組合が定期昇給を確保し若干のプラス・アルファ(第2次を含む)を引き出しているものの、999人以下の各ランクでは前年同期水準に比べて抑え込まれている実態が反映したものである。単産ごとの前年同期比では、比較可能な21単産部会中、賃上げ額のプラスが4組織あり、いまのところ、建交労・建設の+3404円、同製造の+506円、民放労連の+312円、出版労連の+395円である。

 3) 国民春闘共闘参加の各組合は、3月23日から27日にかけて集中団交やスト含む統一行動などを配置し、回答引出し・上積みを求めてたたかい、一部では4月上旬にも統一行動を展開してきた。その結果、JMIU、化学一般労連、合同繊維、建交労・運輸、検数労連、全倉運、地方マスコミ(新聞)などの56組合が第2次〜第4次の上積みをかちとり、全体水準の引き上げに貢献している。

 4) この間「1万円以上」の回答が17組合報告され(登録外は除く)、これまでの最高は出版労連の組合で1万4507円である。これを含め前年実績額との比較では72組合がプラス(同額20組合含む)をかちとり、回答次数ではJMIUと地方マスコミ(新聞)の各1組合が第4次まで積み上げている。


 3.パート等の賃上げ、企業内最賃の回答状況について
 パート・アルバイト等の賃上げは4月10日現在、生協労連、日本医労連をはじめ、建交労、郵産労、全労連全国一般、全印総連などの142組合が時間額・月額アップの回答を引き出した(パート等の賃上げ状況)。
 うち、パートの時間額アップは116組合が引き出し、5円、10円、20円の報告が多く、日本医労連の看護、介護の専門職では30円、50円や、最高240円も見られる。一方、生協労連のなかには相変わらず「ベアゼロ」「定昇のみ」というのが相当数ある。これまでの平均引き上げ額は19.6円に上昇してきたが、前年同期(25.2円)より5円以上も低い水準になっている。
 企業内最賃の回答・協定は、建交労、化学一般労連、生協労連、全印総連、出版労連、日本医労連の112組合で、月額74組合の平均は17万4471円となり958円の引き上げになった。時間額の回答・協定は84組合で平均979円(20.9円引き上げ)に、日額の回答・協定は40組合で平均7583円(55円引き上げ)の水準になった。各々第2回集計時(3月26日)に比べて上昇傾向を示している。

 4.他団体の賃上げ集計結果について
1) 4月6日現在、連合調べの第3回回答+妥結集計は以下のとおり。

  回答+妥結 加重平均 単純平均
集計方式 組合数 人数(万) 金 額 率(%) 昨 年 率(%) 金 額 率(%) 昨 年 率(%)
平均賃上げ 1512 135.5 5,236 1.77 5,872 1.96 4,368 1.65 4,967 1.91
35歳P 64 6.1         5,944 2.12    
30歳P 37 2.3         6,631 2.59    

2) 3月31日現在、日本経団連調べの第1回回答+妥結集計は以下のとおり。

  回答+妥結 加重平均 単純平均
集計方式 社数 人数(万) 金 額 率(%) 昨 年 率(%) 金 額 率(%) 昨 年 率(%)
大手企業 51 - 5,815 1.77 6,322 1.91 5,224 1.68 5,538 1.79



何としても、「ベアゼロ」をはね返す4月闘争へ

 5.国民春闘共闘の各単産は、「誰でも1万円以上」「時間給100円以上」や、企業内最賃の獲得など、すべての労働者の賃金底上げをめざし、純ベア獲得・上積み春闘に奮闘している。しかしながら、急展開した経済不況のもと、きびしい経営環境におかれている製造業や交通運輸業、商業・サービス業、金融保険業などでは賃上げに対するガードが固く、個別労使では解決できない実態もあり、多くの中小労組のたたかいは4月段階へ持ち越してきた。また、従来からの慣行で4月、5月に本格化する産業もある。
 この間、国民春闘共闘委員会は第5回常任幹事会(4/10)をひらき、春闘前段の到達点を確認し、後段の取り組み強化について、「雇用も、賃上げも」の立場を堅持し、「労働組合らしい運動」を最後まで追求することを確認した。そのために、「4・21〜23第2次全国統一行動ゾーン」(4・22第1次最賃デー)と、4月決着を迫る「4・28第3次統一行動」を中心とする闘争強化を意思統一した。
 各単産も、残業代の減少などに苦しむ労働者の生活改善、内需拡大につながる賃上げをめざし、執念をもって回答引き出し・上積みを勝ち取るとともに、労働時間の短縮、均等待遇、雇用確保など制度的諸要求の前進にむけて、粘り強くたたかう態勢を確立しつつある。
 なお、人事院はいま、政府与党の圧力に押されて公務員の夏季一時金を引き下げるべく、民間企業の夏季一時金「特別調査」を開始した。事態を憂慮した国民春闘共闘の民間単産は近く人事院に対して、@調査の中止、A引き下げ勧告を行わないことを申し入れることになった。

(以 上)



 
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