2009国民春闘共闘情報
全労連HP

第52号・夏季第4号  2009年8月10日

 

最終平均60.2万円。大幅なマイナス

 パートは0.765月で、前年水準を確保 

夏季一時金最終集計結果の特徴について

2009年8月10日 国民春闘回答集計センター

産業別・単産別総括表   個別回答一覧   パート等の一時金獲得状況  

 1.国民春闘回答集計センターは8月7日、夏季一時金の最終・第4回集計をおこなった。登録組合の80%にあたる564組合(28単産・8地方)が回答を引出し、うち465組合(以上)が妥結した。残る組合も交渉を継続し収拾に向かいつつある。

2.回答+妥結の状況は別表のとおりで、集計結果は以下のとおりである。

 
(1) 登録組合数 709組合      
(2) 回答組合数 564組合 回答引出し率 79.5%  
  2次回答以上 144組合 回答上積み率 回答数の25.5%  
  前年実績以上 81組合 金額回答数の 22.2%  
  妥結組合数 465組合以上 妥 結 率 登録数の65.6%以上  
(3) [回答+妥結] 組合数・人数 回答月数 金  額 引上げ率
  単純平均 564組合 1.85カ月+α 601,594円  
  前年同期比 (08.08.08) 2.05カ月+α 691,310円 −12.98%
  前年実績比 (同一組合)   697,483円 −13.75%
  加重平均 145,656人   636,513円  
  前年同期比 (08.08.08)   778,227円 −18.21%

3.09夏季一時金闘争の経過と特徴はつぎのような諸点である。
 1) 今期の夏季一時金闘争は、大企業の3月期決算が大幅な減収・減益、赤字決算となったことから、賃上げと同時回答の一時金も大幅に減額されるもとでのたたかいとなった。各単産は、独自の要求調査などをもとに、平均2.5〜3.5カ月分や「前年実績以上」の要求をかかげ、経営側に理解を求めた。団体交渉では、@残業激減などの賃金カットで月々の収入が数万円単位で減少していることから、一時金への期待が大きいこと、A毎月の赤字補てんやローンの支払いなど予め見込んでいる重要な生活費であることなどを求めてたたかってきた。しかし、一部には、かつてない業績不振のなかで、本格的な要求闘争が取り組めない単組もあった。

 2) 今回の集計は、各単産の回答が出揃い、引出し率が8割に達した段階で、単純平均が60万1594円となった。同一組合の前年実績比では9万5889円減、13.75%マイナスという厳しい結果になった。一人当りの加重平均も63万6413円で、前年同期比14万1714円減、率にして18.21%マイナスになった。このように、前年比較の主な指標が大幅なマイナスになったこと、規模別集計でもすべてのランクがマイナスで、とくに「1000人以上」の大手組合が19.29%と大幅な減額を強いられているのが今季の特徴である。

 3) この間の取り組みの特徴は、各単産とも春闘未解決組合を抱えながら、5月下旬の要求提出、6月上・中旬の回答引き出し・上積みの統一行動をたたかってきた。また、7月上旬の中央最賃答申と8月上旬の人事院勧告にむけて、4月段階から5次にわたる「最賃・人勧デー」を官民一体でたたかってきたことである。こうしたなかで、各単産が業種別・地方別の対策をつよめ、一部ではストライキ、残業拒否、本社交渉などをたたかいながら、144組合(回答数の26%)が2次、3次と回答を上積みさせ、81組合(金額回答数の22.2%)が前年実績以上を獲得して奮闘した。

 4) 産別平均の引上げ率がプラスになっているのは、対比可能な26組織中、化学一般労連・紙パの4.67%(+2万7772円)と地方登録組合の2.32%(+1万2581円)のみ。NTTの通信労組は同額で0%となった。減額幅を低く抑えているのは、建交労・建設の▲0.37%(−1744円)、日本医労連の▲0.53%(−2290円)、全倉運の▲0.92%(−6266円)などである。一方、製造業や交通運輸業、金融・証券、マスコミ関係などには20%以上のマイナスが8単産も見られた。

 5) 単産平均が100万円の大台を超えるのは、例年、マスコミ関係で3単産見られたが、今年は出版労連のみとなった。但し、この加盟組合を中心に150万円以上の高額回答が8組合報告され、最高は出版労連傘下の274万余円である。最高回答次数は第5次回答で、全倉運と民放労連、日本医労連に各1組合みられた。また、引上げ額の最高は地方登録の組合で、前年実績額に48万円引き上げて136万円余を獲得した。


4.パート等の獲得状況について
 パート・アルバイト等の夏季一時金回答・妥結状況については、生協パート、日本医労連をはじめ、全労連全国一般、建交労、全印総連、映演労連、出版労連、自治労連など9単産からのべ252組合(前年最終は251組合)の獲得状況が報告された。うち、時間給のパートは160組合平均で0.765カ月分(前年実績は0.766カ月分)になり、ほぼ同水準の支給額になった。日給の臨時・嘱託・非常勤は84組合平均で0.89カ月分(同0.93カ月分)、月給の契約・有期などでは8組合平均で約33.3万円(同約51.7万円)の回答・妥結状況である。

 傾向としては、正規労働者の集計結果が9万5889円減、13.75%マイナスになっているのに対して、パートの集計結果は、支給月数・額とも前年実績比でほぼ同水準を確保した。ただし、日給制、月給制の非正規労働者は、正規同様に大幅な減額を余儀なくされている。


5.他団体の集計結果について

連 合 7月01日現在 月 数 金 額 (引上げ率)
単純平均 2756組合 1.76カ月 439,549円 −14.67%
加重平均 152.9万人 2.03カ月 619,031円 −11.89%


日本経団連 7月31日現在(最終) 月 数 金 額 (引上げ率)
単純平均 大手167社   683,845円 −13.17%
加重平均     753,500円 −17.15%




 


最賃は「生活保護」との乖離解消のみ。35県は見送り

人勧は「官民格差が拡大」。月例・一時金とも減額

 6.今季の夏季闘争は、一時金をはじめ、最賃、人勧の経済的要求を実現するために、4月段階から5次にわたる「最賃・人勧デー」を中心に官民一体でたたかってきた。29日には、中央最低賃金審議会が地域別最低賃金引き上げ目安について、「生活保護基準より最賃額が低い」とされた12都道府県だけを引き上げ(2〜5年で乖離解消)、35県については「現行水準の維持」を基本として目安額を示さなかった。

 一方、人事院勧告は11日に予定されている。これまで、国公労連や公務労組連絡会への回答から、官民格差が広がっていることから、年間の期末・勤勉手当(一時金)を0.3〜0.4カ月分減額することと、月例給を1000円程度引き下げると言われている。

 こうして、8月中〜下旬には地方の最賃審議会にむけて、目安を乗り越える取り組みがすすみ、9月以降は地方公務員の賃金確定闘争も展開される。それぞれの地方において、官民一体での奮闘と成果に期待する。

(以 上)





 
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