2010国民春闘共闘情報
全労連HP

第 39 号  2010年05月31日

個別回答状況一覧  産業別・単産別総括表  パート等の賃上げ状況

 

 10春闘・賃上げ第6回集計 

加重平均5820円(1.89%)に

前年同期を維持、時給引上げは前年比減


 
  国民春闘共闘委員会(全労連、純中立労組懇などで構成)は5月27日、今春闘における第6回目の賃上げ集計を行い、23単産部会から報告が寄せられました。5月中決着をめざして中小での回答引出しが進むもと、引き続き前年同期の水準を維持しており、前年妥結額以上を獲得した組合は、有額回答組合数の52%に達しています。
 

 <回答状況について>
   第6回の回答集計には、別表の23単産部会から報告が寄せられました。
   おもな数値は以下のとおりです。

 
(1) 登録組合数 789組合    
(2) 回答組合数 437組合 全体の 55.4%
  うち金額・率回答 338組合 全体の 42.8%
  うち上積み獲得 93組合 金額回答数の 27.5%
  うち前年妥結額以上 175組合 金額回答数の 51.8%
  うち妥結組合 178組合 回答組合数の 40.7%
  単純平均 338組合 5,321円 1.75%
  前年同期 358組合 5,283円 1.75%
  前年同期比   +  38円 +−  0P
  加重平均 8.7万人 5,820円 1.89%
  前年同期 8.3万人 5,864円 1.92%
  前年同期比   −  44円 −0.03P

 注) 額または率のみの報告があるため、双方は必ずしも連動しません。



 <回答状況の特徴について>

@ 5月段階は例年、産業・地域相場や国・地方自治体の予算編成で賃上げ額が影響を受ける単産が回答引出しに奮闘するとともに、先行単産の未解決組合が解決をめざしてたたかっています。こうしたなか、第6回集計には、金融労連をはじめ24組合から新規回答報告がよせられ、回答引出し数は437組合(全登録組合数の55%)となりました。これは前年同期の484組合(60%)からはやや遅れている状況です。このうち、金額(または率)回答を得たのは338組合(全体の43%)で、前年同期(358組合・44%)とほぼ同じ水準となっています。

A 一組合あたりの単純平均は5321円(1.75%)で、前年同期比38円増(±0.00P)。組合員一人あたりの加重平均は5820円(1.89%)で、前年同期比44円減(−0.03P)となり、いずれも前年同期の水準を維持しています。規模別でみると、各段階でマイナス傾向となるなか、「100〜299人」の組合が316円増とプラス傾向を維持し、単純・加重とも平均額を押し上げています。「100人未満」の組合も、マイナスとはいえ減額幅を2ケタに抑えており、回答引出しのギリギリの攻防が続いていることを反映しています。

B 単産別では、前年同期と比較可能な22単産部会のうち、単純平均でプラスとマイナスがそれぞれ11組織と同数になっています。前回と同じく、製造業、建設業関係がおおむねプラスを示しているほかは、各産業ともマイナス傾向が色濃くなっています。マスコミ・出版・映画演劇関係では、映演労連が当初からプラスを維持しているのが注目されます。

C 初回回答からの上積みを獲得したのは93組合(金額回答数の28%)で、前年同期の86組合(24%)を上回っています。前年妥結額以上(同額含む)を引き出した組合はさらに増加し175組合(金額回答数の52%)と、前年同期(112組合・31%)を大きく上回っています。

D 回答次数では、化学一般労連と地方マスコミの組合の第5次を筆頭に、93組合が2〜4次の回答を引き出しています。これまでに妥結したのは、JMIUの36組合をはじめ178組合であり、前年同期の202組合からはやや遅れています。

 回答率では、映演労連の組合の3.5%をトップに、医労連や出版労連、地方マスコミなど13組合が3%以上の賃上げを獲得しています。
 「1万円以上」は、13組合報告されています(前年同期は22組合)。最高額は前回と同じく出版労連の組合で、引上額1万4382円となっています。


パート時間給引上げ 14.9円に

 <パート等の賃上げ回答状況>

 パート・アルバイト等の賃上げは、11単産1地方の256組合から報告が寄せられました。今回新たに回答を引き出したのは、全労連全国一般、建交労など15組合です。

 時間額の引上げ回答を得た180組合の単純平均は14.9円(1.43%)と、前年同期(19.6円・1.84%)から4.7円減(−0.41P)となっています。これは2年前の同期(215組合・単純平均25.6円)から10円以上の大幅なマイナスです。「一ケタ〜10円台」の回答が多くを占めるなか、介護職処遇改善交付金や診療報酬引上げの適切な活用を求めるとりくみなどにより、日本医労連が介護職、看護職などで80円〜200円の時給引上げをかちとっています。

 日給では16組合の単純平均で7846円(引上げ額139.0円、2.24%)、月給では60組合の平均で16万6258円(引上げ額3458円、3.39%)となっています。


 <企業内最賃の改定状況>

 企業内最賃の回答・協定は、時間額を中心に127組合が獲得していますが、前年同期の171組合を下回っています。今回新たに報告されたのは建交労(運転手最賃)で、平均は月額24万5000円。これに連動する形で、全体平均は17万3280円に上昇しました(前年同期は17万6420円)。

 日額および時間額改定については、前回集約時(5/11現在)と変わっていません。単純平均額(日額7276円、時間額1005円)は、双方とも前年同期(日額7793円、時間額1010円)を若干ですが下回っています。

 エコカー減税や家電のエコポイントなどによる「駆け込み需要」、海外輸出増加の影響で、1〜3月期の実質GDPはプラス1.2%となっていますが、肝心の内需は冷え込んだままであり、一部の製造業を除き中小企業は深刻な経営危機にあります。

 こうしたもとでたたかわれている2010年春闘で、賃上げ平均が前年同期の水準を維持していることは、経営悪化を理由とした「ゼロ回答」や賃下げ、リストラを許さず、生活給の保障と改善を求めてねばり強くたたかってきたことの反映です。前年同期における回答状況が、2年前の同期との比較で単純平均523円減、加重平均でも851円減と大きく押し込まれていたことと比べても、今春闘での健闘ぶりは明らかです。

 一方、パート等時間給の引上げ額がこの2年間で10円以上もマイナスとなっていることは重大です。非正規労働者の多くが深刻な生活実態にあり、経営側のしわ寄せを最も受けやすい立場におかれていることからも、組織化とあわせ、とりくみ強化の努力が引き続き求められています。

 この時期は一時金闘争も始まり、6月から各単産が順次回答指定日を迎え、夏季闘争が本格化します。国民春闘共闘委員会に結集する各単産・地方組織では、国会で正念場を迎えている派遣法抜本改正を求めるたたかい、最賃・人勧闘争をはじめ、参院選挙本番に向け、とりくみの具体化を急いでいます。



 <参考> 他団体の賃上げ集計結果
連合の第5回賃金改定集計(5月27日現在)は以下のとおりです。

集計対象 集計組合 加重平均 単純平均
組合数 人数(万) 金 額 率(%) 昨 年 率(%) 金 額 率(%) 昨 年 率(%)
平均賃上げ 3,239 185.1 4,879 1.69 4,925 1.69 3,712 1.46 3,697 1.44
中小共闘 2,005 20.0 3,729 1.49 3,622 1.45 3,486 1.42 3,357 1.36




日本経団連の第2回賃金改定集計(大手=4月23日現在、中小=5月21日現在)は以下のとおりです。

注) 大手企業の調査対象は東証一部上場、従業員500人以上。金額には定昇等を含む。
    中小企業の調査対象は従業員500人未満。金額には定昇等を含む。

集計方式 回答+妥結 加重平均 単純平均
社数 人数(万) 金 額 率(%) 昨 年 率(%) 金 額 率(%) 昨 年 率(%)
大手企業 76 - 5,838 1.81 5,798 1.76 5,237 1.73 5,283 1.69
中小企業 243 - 3,808 1.50 3,651 1.42 3,534 1.42 3,319 1.31





 
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