農協、建設に回答。単純平均5806円
加重は6715円、引上げ率2.06%に
5月中旬の回答の特徴について
2008年5月20日 国民春闘回答集計センター
産業別・単産別総括表
個別回答一覧
パート等の賃上げ状況
1.春闘回答集計センターは5月16日、国民春闘共闘委員会(全労連、純中立労組懇など)各単産と地方共闘より5月中旬段階の回答を中心とする第6回目の報告を受けた。この間に回答報告があったのは31単産・部会中の25単産と8地方共闘である。
2.回答+妥結状況は各々集計表のとおりで、その特徴はつぎのような諸点である。
(1) |
登録組合数 |
811組合 |
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(2) |
回答組合数 |
464組合 |
引出し率 |
57.2% |
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うち金額・率回答 |
367組合 |
ほか97組合 |
は「定昇のみ」などで |
未計算 |
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うち2次回答以上 |
127組合 |
上積み率 |
34.6% |
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うち前年実績以上 |
202組合 |
回答数の |
55.0% |
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妥結組合数 |
218+29組合 |
解決率 |
30.5% |
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(3) |
単純平均額 |
367組合 |
5,806円 |
同率 |
1.93% |
|
前年同期 |
376組合 |
5,769円 |
同率 |
1.93% |
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前年同期比 |
|
+ 37円 |
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+− 0P |
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加重平均額 |
9.0万人 |
6,715円 |
同率 |
2.06% |
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前年同期 |
9.4万人 |
6,776円 |
同率 |
2.02% |
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前年同期比 |
|
− 61円 |
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+0.04P |
4) 5月中旬の動向について
5月段階は例年、産業・地域相場や国・地方自治体の予算編成で賃上げ額が左右される単産が回答引き出しに奮闘するとともに、先行単産の未解決組合が解決をめざしてたたかっている。こうしたなかで今回は、全農協労連と建交労・建設より初報告が寄せられ、建設関連労連、建交労・運輸、生協労連、全労連全国一般、映演労連と日本医労連などから新規回答とともに上積み回答が報告された。新規回答の特徴は、定昇制度のあるところで「定昇のみ(ベアゼロ)」が多く、定昇制度がないところでは「定昇なみ」の4000〜6000円台の低額が目立っている。また、これまでに127組合が第2次〜第6次の上積みをかちとり、202組合が前年実績以上(同額を含む)をかちとった。1万円以上を獲得した組合は28組合である。これらの組合を中心に妥結する組合も増えてきたが、今なお全体の31%(218組合+「定昇のみ」などの29組合)の水準である。
なお、集計結果に見る単純・加重、額・率の4つの数値のうち、加重の平均額だけが前年同期比マイナスになっているのは、300〜999人規模の中堅労組が前年同期水準以下(マイナス135円)に抑え込まれていることに主な要因がある。
3.時給25.6円アップ。パート等の賃上げ、企業内最賃の回答・協定状況について
同日集計のパート等の賃上げは、14単産の361組合がかちとった。うち時間額アップは215組合になり、全体平均は25.6円で前年同期(171組合平均17.9円)に比べて7.7円の引き上げになっている。今回は建交労、自交総連、生協労連、全農協労連などの67組合から新規回答の報告が寄せられたが、個別には相変わらず10円、15円、20円の報告が多かった。このため、新時間額の1022円、引上げ額の25.6円とも前回集計時の平均(1031円、引上げ額27.3円)よりも若干減少傾向を示した。なお、日額引上げは88組合の平均で251.3円、月額引き上げは66組合の平均で1846円となり、こちらは上昇傾向を示している。
企業内最賃の回答・協定は11単産の月額、時間額を中心に175組合で、前年同期(177組合)とほぼ同水準で推移している。月額回答100組合の水準は、建交労・18歳最賃が24組合平均で17万2920円(前年比+130円)、JMIUが11組合平均で14万2171円(同+1566円)、化学一般労連が9組合平均で14万7456円(同+2560円)、全労連全国一般が4組合平均で16万1875円(同+1000円)、全印総連が7組合平均で15万9857円(同+600円)、日本医労連・誰でも最賃が25組合平均で15万8916円(同+135円)である。トラック最賃と看護師最賃を加えた全体平均は16万7947円となり、632円の引き上げになった。なお、時間額の回答・協定は136組合で平均973円に、日額の回答・協定は41組合で平均7704円に各々上昇してきた。
4.他団体の賃上げ集計結果について
1) 4月22日現在、連合の第5回回答+妥結集計は以下のとおり。(再録)
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妥結組合数 |
加重平均 |
単純平均 |
集計方式 |
組合数 |
人数(万) |
金 額 |
率(%) |
昨 年 |
率(%) |
金 額 |
率(%) |
昨 年 |
率(%) |
平均賃上げ |
3269 |
222.3 |
5,687 |
1.93 |
5,571 |
1.90 |
4,579 |
1.79 |
4,538 |
1.79 |
35歳P |
91 |
6.6 |
|
|
|
|
5,996 |
2.20 |
5,248 |
1.97 |
30歳P |
62 |
2.8 |
|
|
|
|
6,739 |
2.78 |
5,959 |
2.52 |
2) 4月23日現在、日本経団連調べの第2回回答+妥結集計は以下のとおり。(再録)
|
回答+妥結 |
加重平均 |
単純平均 |
集計方式 |
社 数 |
人 数(万) |
金 額 |
率(%) |
昨 年 |
率(%) |
金 額 |
率(%) |
昨 年 |
率(%) |
大手企業 |
79 |
- |
6,165 |
1.89 |
6,050 |
1.84 |
5,516 |
1.79 |
5,276 |
1.71 |
中小企業 |
149 |
- |
4,412 |
1.68 |
4,314 |
1.66 |
4,082 |
1.59 |
4,220 |
1.64 |
未解決支援と夏季一時金闘争の強化を
5.今後のたたかいについて
国民春闘共闘委員会は5月9日、第6回常任幹事会を開催し、未解決のたたかい支援、夏季一時金闘争と法定最賃、08年人観闘争の一体的な強化を中心とする「08春闘の回答状況と後段の取り組み強化について」の確認事項をまとめ、各単産、地方共闘に要請した。
春闘未解決の組合は、本集計でも約7割に達しており、5月段階で農協、建設、金融、映演、福保、私学などの組合が回答引き出しに奮闘中である。こうしたことから、「流れ解散」を回避し、早期決着を迫る取り組み強化と支援体制の確立が必要になっている。
この時期は一時金闘争もはじまり、5月21日には建交労が集中回答指定日をむかえ、6月上旬〜中旬にかけて各単産が順次回答指定日を迎え、夏季闘争が本格化する。これまでのところ、民間調査機関による回答・妥結状況の調査結果は「6年連続の増加ながら、伸び率は縮小傾向」と報じている。労務行政研究所調べの東証1部上場企業175社では平均74万3380円で、対前年伸び率は0.9%、また、日本経済新聞社調べの主要企業234社では平均83万2204円で、0.19%増となっている。
08年度の最賃・人勧闘争も本格化し、来る5月30日には「第2次最賃デー」が配置され、各地方での取り組みとともに、「なくせ貧困、ストップ改憲」の中央行動(4500人規模)が計画されている。この中央行動では全体のコアタイムとして、国政の最大争点である後期高齢者医療制度の廃止をはじめ、憲法キャラバン行動、生存権裁判、労働者派遣法抜本改正などの運動課題も結合した総決起集会(午後2時〜日比谷屋外音楽堂)が計画され、それぞれ一体となった運動の発展をめざしているところである。
(以 上)
なくせ貧困、ストップ改憲! つくろう平和で公正な社会