2010国民春闘共闘情報
全労連HP

第 35 号  2010年05月13日

個別回答状況一覧  産業別・単産別総括表  パート等の賃上げ状況

 

 10春闘・賃上げ第5回集計 

加重平均5791円(1.87%)に

―前年妥結額以上はさらに増加―


 
  国民春闘共闘委員会(全労連、純中立労組懇などで構成)は5月11日、今春闘における第5回目の賃上げ集計を行い、23単産部会から報告が寄せられました。中小組合を中心に回答引出しが進むもとで、「30〜99人」の組合が今春闘で初めてプラスに転じるなど、引き続き前回調査の水準を維持しています。
 

 <回答状況について>
   第5回の回答集計には、別表の23単産部会から報告が寄せられました。
   おもな数値は以下のとおりです。

 
(1) 登録組合数 789組合    
(2) 回答組合数 420組合 全体の 53.2%
  うち金額・率回答 314組合 全体の 39.8%
  うち上積み獲得 84組合 金額・率回答数の 26.8%
  うち前年妥結額以上 160組合 金額回答数の 51.0%
  うち妥結組合 133組合 全体の 16.9%
  単純平均 314組合 5,361円 1.74%
  前年同期 316組合 5,324円 1.75%
  前年同期比   +  37円 − 0.01P
  加重平均 8.4万人 5,791円 1.87%
  前年同期 7.6万人 5,844円 1.91%
  前年同期比   −  53円 −0.04P

 注) 額または率のみの報告があるため、双方は必ずしも連動しません。


『30〜99人』の組合がプラスに転じる

  前年妥結額以上は160組合(金額回答数の51%)に

 <回答状況の特徴について>

@各単産とも、4月下旬の回答引出し・追い上げゾーン、「4・21国会集中行動」などを節目としたとりくみの強化により、これまでに何らかの回答を引き出した組合は420組合と、登録組合数の過半数(53%)に達しました(前年同期は419組合・52%)。このうち、金額(または率)による回答を引き出した組合は314組合で、789登録組合の40%となっています(前年同期は316組合・39%)。回答引出しは、前年同期とほぼ同水準という状況です。

A組合ごとの単純平均は5361円(1.74%)と、前年同期比37円増(−0.01P)であり、額では前回調査時点(4/22)でのプラス傾向を維持しています。組合員一人あたりの加重平均は5791円(1.87%)と、前年同期比53円減(−0.04P)となっていますが、引き続き前年同期の水準を維持しています。2年前の同期と比較して、前年はこの時点で単純平均572円減、加重平均926円減だったことを考慮すれば、今春闘では、各単産の奮闘により、かなり踏みとどまっていると評価できます。

 金額(率)以外の「回答」では、「ベアゼロ」「定昇のみ(ただし金額提示なし)」が68組合報告されています。このほか、「定昇凍結」「状況によっては賃金カット」「人勧待ち」なども、少数ながら残されています。

B単産別では、前年同期と比較可能な22単産部会のうち、額でプラスが12組織、マイナスが10組織となっています。製造業、建設業関係がおおむね増額傾向を示しているほかは、各産業ともプラスとマイナスが併存しています。前年同期比で減となっている組織でも、出版労連、民放労連、生協労連をはじめ、少なくない単産が、当初のマイナス幅を縮小して前進しています。

 規模別では、前回プラスに転じた「30人未満」の組合が再び若干のマイナスとなる一方、「30〜99人」が初めてプラスに転じました。「100〜299人」はプラス傾向を引き続き維持し、「300人以上」の中堅・大規模組合も、前回からさらにマイナス幅を縮小しています。

C初回回答からの上積みを獲得したのは84組合(金額回答数の27%)と、前年同期の75組合(24%)を上回っています。前年妥結額以上(同額含む)を引き出しているのは160組合(金額回答数の51%)と、前回調査時(4/22)からさらに14組合増加しています(前年同期は91組合・29%)。

D回答次数では、化学一般労連の組合の第5次を筆頭に、JMIU、地方マスコミ、日本医労連などが3〜4次の回答を引き出し、これらを中心に133組合が妥結しました。
 「1万円以上」の回答は、13組合報告されています(前年同期は20組合)。最高額は、前回と同じく出版労連の組合が1万4382円を引き出しています。



パート時間給引上げは15円と苦戦

 <パート等の賃上げ回答状況>

 パート・アルバイト等の賃上げは、10単産1地方の241組合から報告が寄せられました。今回、新たに時間額の回答を引き出したのは、生協労連、化学一般労連などの20組合です。時間額回答を得た170組合の単純平均は15.0円(1.42%)と、前年同期(17.9円・1.60%)から2.9円減(−0.18P)となっています。「一ケタ〜10円」の回答が多くを占めるなか、日本医労連(パート)が全体平均を押し上げている形です。

 日給と月給の賃上げ獲得状況は、ともに前回調査時(4/22)と変わっていません。前年同期比では、日額の単純平均で69円増、月額で1239円増と、いずれもプラス傾向を維持しており、自治労連(非正規)と医労連(パート)など、大幅な賃上げを獲得した単組が全体平均を引き上げています。


 <企業内最賃の改定状況>

 企業内最賃の改定については、新規の5組合を含む122組合から報告が寄せられました。月額での回答を引き出したのは64組合で、単純平均は16万6640円となっています(前年同期は78組合・17万3383円)。時間額は106組合の単純平均で1005円(前年同期は96組合・944円)、日額は47組合の平均で7276円(前年同期は42組合・7577円)となっています。

 全体として、4月末決着をめざすとりくみの強化により、中小組合を中心に回答引出しが進むもとで、単純・加重平均ともに前回の水準を維持していることは、規模の大小を問わず、各組合の奮闘ぶりを反映しています。一方、2年前から大きく落ち込んだ前年との比較でなお同水準にあり、パート等の賃上げが前年実績を下回っている状況は、中小企業の経営悪化などの影響も受けて、引き続き厳しいたたかいを強いられていることを示しています。これは、別途発表している「春闘進ちょく状況調査」でも、妥結状況が前年同期より遅れていることにも表れています。

 各単産では、引き続き未決着の組合への支援・激励を強めるとともに、「5・19中央行動」、「5・28首都圏労働者決起集会」などを節目に、夏季一時金、最賃・人勧闘争につなげるため、5月闘争のとりくみ強化がはかられています。



 <参考> 他団体の賃上げ集計結果
連合の第4回賃金改定集計(平均賃上げ方式・5月11日現在)は以下のとおりです。

集計方式 回答+妥結 単純平均 加重平均
組合数 人数(万) 金 額 率(%) 昨 年 率(%) 金 額 率(%) 昨 年 率(%)
平均賃上げ 2,663 173.8 3,937 1.53 4,140 1.58 4,973 1.71 5,112 1.73




日本経団連の第2回賃金改定集計(4月23日現在)は以下のとおりです。

注) 大手企業の調査対象は東証一部上場、従業員500人以上。金額には定昇等を含む。
    中小企業の調査対象は従業員500人未満。金額には定昇等を含む。

集計方式 回答+妥結 単純平均 加重平均
社数 人数(万) 金 額 率(%) 昨 年 率(%) 金 額 率(%) 昨 年 率(%)
大手企業 76 - 5,237 1.73 5,283 1.69 5,838 1.81 5,798 1.76
中小企業 132 - 3,716 1.46 3,447 1.31 4,028 1.54 3,694 1.40





 
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