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全労連第23回定期大会 2008年7月23日〜7月25日
 
 
7月25日(金)

3日目の様子


全国商工団体連合会
国分稔会長

総括答弁

 熱心な論議、大変ありがとうございました。
 昨日の争議に関する特別決議で、昨年6月に解決しましたトンネル塵肺について記述が抜けておりました。お詫びして記述を追加することとして確認していただきたいと思います。
 最初に、第23回大会の参加状況を報告します。大会には、67組織(20単産、47地方)から、361人の代議員、特別代議員が参加し、マスコミ関係も含め129人の傍聴者がありました。8名の来賓、幹事会出席を含め、全体参加は544名です。
 本大会は、代議員の3分の1以上を女性とするよう努めるとした、規約第13条の改正後初の大会でしたが、女性参加比率は21%にとどまっています。努力義務とは言え、規約とは齟齬する状況には改善努力が必要です。

 大会では、77名の発言があり、文書発言も、岩手労連・高橋代議員(地域医療まもれのとり組みについて)、福祉保育労・泉谷代議員(組織拡大のとりくみについて)、北海道労連・津田代議員(苫小牧地区労連のとり組みについて)、3名から提出されています。
 80名の発言は、組織拡大推進費かかわる神奈川労連・水谷代議員の発言を除き、議案を補強いただくものであったと受けとめます。
 本大会の特徴は、多くの発言者が、組織拡大のとり組みに触れ、非正規労働者の組織化をはじめとする貴重で確信に満ちたものでした。単に議案を補強頂いただけでなく、20年目を迎えようとする全労連運動がこの国の労働運動の正道であることや、運動の方向に確信を深めあうことのできる方針として深めていただきました。個別の発言に触れる前に、そのことに深く感謝を申し上げ、互いに確認したいと思います。

 質問的なご意見や、見解を求められている点もありますので、最初にその点に触れますが、時間の制約ですべでの発言に触れることができないことをお許し下さい。

 建交労・岡山代議員からありました国鉄闘争にかかわり、当事者である四者四団体による主体的努力を支援するため、とり組んでいる国鉄闘争の早期解決を求める団体署名の集中的なとり組みをお願いし、発言のありました10月24日の集会成功に情勢変化をふまえた特段の対応を要請します。

 JMIU・田倉代議員から、09春闘にかかわって発言いただいています。
  提案の際、統一賃金要求を確認し、産別統一闘争を軸に力を結集し、相互のたたかい支援でベア獲得を粘り強く追及するというスタイルは堅持し、その上に、物価高騰などによる生活危機が一段と深まることが想定されることから、生活危機突破、水準確保を強調した全労働者、国民共同のたたかい前進を模索すると申し上げました。
 そのような意味での国民春闘構築に、全労連の組織特性を活かして努力し続けるということは、ご確認をお願いします。
 また、闘い方とかかわって、JMIU山本代議員、北海道労連・出口代議員、映演労連・河内代議員、神奈川労連・水谷代議員から発言を頂いています。
 09春闘をまたず、生活危機突破の課題でのストライキの検討を11月13日の統一闘争で行っているところであり、労働者の生活危機の進行が予測される09春闘ではより強力なたたかいを議論することは当然だと考えています。公務労働者の多い全労連が、生活危機突破の要求前進をめざすには、全単産、地方組織のすべてが、提起する統一行動に集中し、社会的インパクトのあるものに仕上げていくことが必要です。09春闘は、発言にもありましたように、これまでの春闘の延長戦ではない状況下でたたかう可能性が高いことを確認し、見合った闘い方の議論をはじめたいと思います。

 京都・永井代議員から深夜労働規制強化の運動の必要性が強調されました。かかわって、山口県労連・高根代議員から労働時間規制強化の発言があります。
 郵産労の深夜勤裁判や医労連の二交代勤務にかかわるたたかい、トラック、タクシーの安全問題としての加重労働解消のとり組みなど、24時間型社会の矛盾を糾すとり組みが強められています。大会でも、千葉労連・田中代議員からの労災認定にかかわる発言もありました。
 不必要な24時間型の働かせ方の是正を求め、その矛盾と問題点を社会的にも告発するとり組みを強め、環境に優しい働き方は人にも、社会にも優しいという世論を作りだし、労働者の健康と暮らし擁護につながる労働時間規制強化を求め、実現する運動の再強化をめざすことします。

 福島・小川代議員、東京・永瀬代議員の発言とかかわって、最低賃金闘争で、DランクをなくしてCランクへの引き上げの要求は、全労連としてかつて確認した要求内容です。改正法の下でも、生活保護基準等の整合性を主張する際、最も低い最低賃金時給額から引き上げを迫ることは、その目的からしても当然です。
 ブロック別の最賃決定は、最低賃金の細切れ区分の是正を求める観点で、ブロック段階で調整したとり組みとしてはあり得るとは思いますが、全労連全体として制度的な要求としていくことには、時間をかけた検討が必要だと考えます。
 なお、Dランク地域における生計費実態調査については、対象県労連とも相談の上、具体化を検討したいと思います。

 愛労連・桜井代議員から提案のありました大企業労働者交流集会については、全労連として開催できるかは検討が必要であり、労働者全体の要求前進の観点での論議をすすめたいと思います。

 福祉保育労・小山代議員、吉岡代議員から、介護労働者の人材確保ともかかわった処遇改善の課題で発言がありました。
 もっとも大きな課題は、専門職としての介護労働者、特にヘルパーの処遇を引き上げることにあると思います。最低賃金以外に処遇の最低基準がない状態では、必要な人材が確保できないことが明白になっており、その点で、成果に繋げる運動の集中が必要な時期に来ていると思います。全労連全体での署名などの準備も進んでおり、ヘルパーネットなどとも相談しながら、当該の労働者を先頭にしたとり組みを集中することとします。

 年金者組合・久昌代議員から、社会保障にかかわる総合的な政策要求の必要性が強調されました。社会保障国民会議の動向もふまえた検討の場については、社保協、労働総研の協力も得て具体化することで相談をすすめています。受けとめてそのテンポをあげたいと思います。
 また、いわゆるマネーゲームの規制については、生活危機突破のとり組みとも併せ、対政府向けの運動強化を図ることとします。

 自治労連・田中代議員、特殊法人労連・岩井代議員から、道州制問題や地方分権問題での対応方向、とり組みの明確化についての要望がありました。また、関連して、大坂労連・宮武代議員から、橋本維新プログラムが、関西財界の意向をふまえたものだとの指摘も行われました。
 発言にもあるように、課題は、憲法的課題でありかつ財界の21世紀戦略とかかわっています。
 憲法の視点から言えば、103条までの全体が一体であって、統治の機構である政府のあり方、国と地方の分担関係と9条の平和原則とは不可分の関係です。そして、90年代以降の構造改革が、反動的意味での国と地方自治体との関係見直しを伴っていること、作り出された財政危機も口実に、そのような再編を財政問題にすり替えて強行する動きが強まっていることは、方針でも言及しているところです。発言は、その点をさらに補強いただいたものと受けとめます。

 全教・小畑代議員から、ワークライフバランス憲章にかかわって発言がありました。関連して、全労連女性部・野崎特別代議員からも発言がありました。
 昨年12月の憲章が、仕事と生活の両立をめざすために休暇取得率などの目標数値を掲げ、政労使喉力を迫っている積極面と、ワークライフバランスを口実として労働時間規制緩和の危険性の両面をもっていること過不足なく捉え、無視するのではなく利用すべきは利用する立場は取りたいと考えます。
 そのワークライフバランス憲章ともかかわって、東京・柴田代議員から発言がありましたように、政府・財界の雇用政策が、高齢者と女性の就労促進に移ってきており、安上がりの雇用調整弁とされることも懸念されます。現状分析など、対応強化を図りたいと思います。
 また、柴田代議員からは、2.13中央行動の評価と共に、08年秋闘以降での継続発展の意見がありました。受けとめて対応したいと思います。

 繊維産労の九矢代議員から、全労連が共済事業の実施を検討することとかかわって、発言がありました。共済事業実施検討については、大坂労連・宮武代議員、JMIU・山本代議員、埼労連・原富代議員からも発言を頂いています。
 資料集Jの199ページに関連する全労連の考え方を示していますが、共済事業を労働組合の原点と位置づけて、ナショナルセンターとしての実施検討を中期計画で明確にしているところです。この点を基本に、改悪保険業法が既に施行されているという情勢変化をふまえたタイムスケジュールで検討することにしたいと考えています。したがって、検討体制についても、より基本的なものを検討することとしました。各組織と必要な相談をしながら進めてまいります。

 国公労連・川村代議員の社会保険庁の解体攻撃などの発言とかかわって、公務リストラの下で、公務でも整理解雇の危険性が出てきていることが報告されました。建交労・岡山代議員の発言でも触れていただいたように、国家的不当労働行為の再発を許さない立場で、全労連全体として闘いを強めることは当然であり、確認したいと思います。

 特殊法人労連・岩井代議員から、市場化テストにかかわる見解などが求められています。
 公務のリストラ合理化策の中心的手法としての民営化や民間化について、その実施責任を政府が果たさないため手法となることや、市場化テストなどによる労働者の条件悪化や解雇が起こる現状を認めることができない、その点は当然のこととして申し上げておきます。
 「もう一つの日本闘争本部」につきましては、第41回評議員会で総括をおこなっているところです。その設置した意義ととり組みは確認し、さらに発展させる観点で、憲法をいかす運動を今回提起しています。
 単産合同にかかわるこれまでの答弁を何ら変えるものでありません。全印総連・白原代議員からは、単産合同にかかわる全労連のイニシアティブ発揮の要望もありましたが、組織的な課題について、全労連が家長的指導をおこなう考えは現段階でもっていません。

 神奈川県労連・沢田代議員から、裁判員制度についてのとり組みについて意見がありました。資料集Jの94ページに、司法総行動に際して申し入れている内容を示していますが、この到達点もふまえつつ、関係単産とも相談した上で、必要な対応を図りたいと思います。なお、裁判員に選ばれた労働者の休暇保障については、個別企業での確認が必要であり、少なくとも公民権と同様に、選挙権行使と同一の保障を確認するとり組みは、緊急に提案したいと思います。

 第30期の中央労働委員会の委員候補として推薦する医労連・淀代議員から決意の表明がありました。8月4日に推薦手続きを一斉に行うこととしています。ここまでに公正任命を求める団体署名の集約、集中をお願いします。資料集K39ページに、現段階の集約状況がありますが、中央段階からの提出もない状態では、たたかいの構えが問われる状況です。

 新潟県労連・山崎代議員から、いわゆるローカル線、在来線まもれのとり組みの今日的位置づけと、具体的課題としての北陸新幹線関連でのとり組みの補強意見がありました。受けとめて、具体的とり組みへの対応を図りたいと思います。

 沖縄・平安代議員から、労働運動での女性参加促進にかかわって、発言を頂きました。資料集J165ページに、現段階の全労連の行動計画がありますが、お手元に配布されている計画では、女性比率15%はぎりぎりクリアーしているものの、現幹事会と同数となっています。その点では、努力不足と指摘されても致し方なく、率直に反省します。

 福岡県労連・大西代議員から、青年対策について方針倒れとならないようにとの意見を頂きました。現状もふまえた意見と思いますので、真摯にうけとめ、努力をお約束したいと思います。また、全労連青年部・笠松特別代議員から、10.5青年集会への参加呼びかけがありました。全ての単産、地方組織で、青年部任せでない位置づけ論議をおねがいし、成功に向けた協力をお願いします。
 滋賀県労連・今村代議員から、派遣労働全廃の意見を重ねていただきました。派遣労働の実態についての現状認識は、人権問題であるとの点も含め変わるものではありませんが、制度としての廃止要求をおこなうことは必ずしも現実的ではないと考えています。現段階の情勢は、提案でも強調しました。労働者保護の規制強化を臨時国会で実現するたたかいを早急に強めることを全体で確認にただくよう重ねてお願いします。なお、本日、連合傘下の派遣ネットなどが呼びかけ、野党各党が参加する派遣法改正にむけた集会が、夕方6時30分から、総評会館で開催されます。単産の皆さんや首都圏の皆さんには参加方、特段の対応をおねがいします。

 長崎県労連・浦岡代議員から、全労連の会議運営、設定についてのご意見をいただきました。配慮しているつもりでいましたが、ご不便をおかけしているとすれば本意ではありませんので、受けとめて検討させて頂きます。

 自交総連・権田代議員から、第一交通の組合つぶしの攻撃の現状報告がありました。三日間の論議を通じても、この国の経営者が、違法、無法行為を当然のごとく行い、その結果が労働者の心身ともの疲弊や貧困化、あるいは奴隷的働き方の原因となっていること、その無法状態を質すことに、全労連の一つの存在意義があることが明らかにされましたが、そのような無法な経営者、悪意の塊が第一交通だと言って差し支えないと思います。そのような位置づけで、全国的なたたかい支援をお願いします。

 映演労連・河内代議員から、環境にやさしい働き方の語感の問題が指摘されました。めざす目標として表現したつもりです。温暖化問題のたたかいはとりわけ発電所など大規模事業所の責任が大半であることなど、誤解を生じないような宣伝等の工夫は検討します。
 フィリピン・トヨタの争議問題は、6月のILO総会で、IMF書記長が、トヨタの固有名詞をだして、労働者グループの場で問題指摘をするという異例の状況を報告したことに関連していると思いますが、その後の情報を収集し、適宜、提供させていただきます。
 役員立候補の問題は、答弁にはなじまないと思いますが、役員検討委員会を設置し、四役全体のバランスなども総合的に検討いただいた経過のあるもの理解しています。

 愛知県労連・榑松代議員から、外国人労働者からの労働相談の必要性とその対応困難さが発言されました。
 全労連として、相談マニュアルの作成をお約束しながら、現在まで実現できていないことは率直にお詫びします。榑松代議員の著書も参考にさせていただき、大会後、早急に対応いたします。

 大坂労連・平代議員から、ローカルユニオンの課題を継続的に研究、人材育成するセンター確立の意見を頂いています。
 資料集J・166ページに、昨年6月のローカルユニオン全国交流集会の問題提起を載せています。このような集会や、諸会議での交流強化などをより強めることで、当面の対応を行わせていただきたいと思います。

 宮城県労連・布間代議員から岩手・宮城内陸地震についてご発言いただきました。全国的支援を引き続き要請します。

 第2号議案である組織拡大推進費にかかわって、群馬県労連・安藤代議員、熊本県労連・梅本代議員、大坂労連・宮武代議員、生協労連・米田代議員、神奈川労連・水谷代議員から発言を頂いています。
 また、神奈川県労連・水谷代議員からは、全労連財政全体について組織拡大運動への思い切った集中をとの意見を前提に、特別会費の提案には消極的な意見を頂きました。
 提案しています4号議案で、全労連財政の中で、直接的な組織対策費は、単年度収入6億1千万のうち、6分の1の1億円です。人件費や、宣伝費などに含まれるものは外した数字です。
 ナショナルセンターとして、この規模が適切かどうかは、議論があるところでしょうが、幹事会としては、現状の運動、機能と役割からは最良の提案と考えています。水谷代議員が仰る集中化を図るとなれば、全労連のナショナルセンターとしての機能に障害が生ずると考えるからです。
 また、提案が中途半端というご意見もありましたが、共闘組織的性格を克服できていない全労連の状況からすれば、中期計画でのお金の流れを変える到達点が3円であり、5000万円ということです。
 その使途については、最大の効果が達成できるよう、幹事会で努力いたします。
 以上の点を申し上げ、議案に対する消極的な意見は頂きましたが、原案のままでの採決をお願いします。

 順番は逆になりましたが、1号議案にかかわって、討論もふまえて、以下の点を、総括的に述べておきます。

 第1に、憲法闘争について、多くの方から発言を頂きました。
 この間、国民過半数。住民過半数をめざした憲法署名がねばり強くとり組まれていること、そのとり組みが全労連女性部が提起し、全体に広がっているピースチャレンジャーのとり組みや、本年5月を中心にとり組んだ憲法キャラバン行動なども契機にさらに前進したことなどが、経験を含め豊かに語られました。そして、このようなとり組み自体の継続、強化も強調されています。
 署名の集約状況などは、別のペーパーで報告しましたが、この1年間の目標として掲げた500万署名は、残念ながら、半分にも到達しない不十分な状況です。また、最終の目標としています過半数を達成した地方は、その背中が見えてきたとの発言はありましたが、まだありません。そして、何よりも大きな課題は、組織によってのとり組みのアンバランスであり、その克服が必要となっています。したがって、提案しましたように、当面、500万の峰をめざして 9の日宣伝や、単産、地方組織での統一署名行動配置などで、ねばり強くとり組みを続けることや、憲法闘争本部の活動も強めて相互のとり組み交流やアンバランス是正を図ることなどの点を確認しあいたいと思います。
 同時に、討論では、運動の基本方向として提起しました「憲法をいかす職場と地域の運動」を積極的に受けとめ、あるいは、社会保障課題などとも結んだ自治体要請行動などで運動の具体化が既にはじめっていることなども語られました。
 9条改憲反対を柱とする憲法闘争、それ自体の強化は当然として、今の労働者、国民の貧困化などの困難を克服するための構成的な運動の基礎に、憲法をいかす運動を置くことで、よりとりくみの幅を広げ、厚みを増していくことの運動方向は確認いただけたと思います。あらゆる課題での宣伝で、憲法に触れるなどの工夫も行いつつ、方針具体化をはかりたいと思います。
 なお、自治労連・田中代議員からは、憲法キャラバンの継続提起の意見がありました。憲法署名推進の契機としてのキャラバン提起は、憲法闘争本部で議論をお願いしたいと思いますが、諸要求での課題と一体的のキャラバン行動については、多くの地方組織で定例的なとり組みとして具体化されている状況が報告されていることもふまえ、全国一律の提起については、慎重に取り扱いたいと思います。

 第2に、今の点とかかわりますが、「住み続けたい地域運動」にも発言を頂いています。
 諸団体との共同したとり組みの必要性、地域に密着した課題を掲げてとり組むことの必要性などが語られたと思います。いま、労働総研とも共同して、住みやすい地域のチェックリストづくりを検討していますが、住み続けることの条件は多様であり、地方の政治課題でもあります。地域間格差を是正する上でも、労働者の視点での要求を組織していく上でも、手がかりとなる基準や、先進的なとり組み交流が不可欠です。その点で、運動はこれからという段階だと思います。
 同時に、道州制や地方財政危機などが声高に叫ばれるもとで、地域医療まもれの運動を全国的に統一したとり組みとして提起せざるをえないほど、緊急性の高いとり組みでもあります。労働者が暮らす地域のあり方が、非正規、低所得の労働者増とかかわっても重要になっており、その点でも組織された労働組合の役割が重要になっていることも確認いただき地方組織での特段の論議と方針具体化をお願いします。また、地域に足場を持っている年金者組合での運動位置づけについても、ご検討をお願いします。

 第3に、最低賃金闘争と、かかわって公契約運動や地方自治体非常勤職員等の賃金改定申し入れについても、非常に多くの方から発言がありました。
 共通していますのは、なくせ貧困の運動ともかかわって、また、改正最低賃金法が施行されたという新たな局面での最低賃金闘争の強化が、それぞれの組織でも中心課題に位置づけられていることです。また、いわゆるナショナルミニマム確立のためにも、生計費原則に立った最低賃金制度を軸に置いた国民共同のとり組みが重要であることが確認され、各地で具体的なとり組みが進みはじめていることです。
 その上で、東京・永瀬代議員をはじめ、何人かの方から、本年目安改定の重要性が強調されました。また、地域最低賃金改定とかかわっても、生活保護との整合性をつけることを求める労働局追求の必要性が全国一般・鈴木代議員からおこなわれています。8月4日が目安改定の最重要時期との発言もありました。その日程を確認いただき、中央最低賃金審議会に向けた要請電などの緊急の文書戦をとり組みたいと思います。また、資料J・140ページの全労連主張をもとにした労働局申し入れの全県実施を呼びかけます。
 最低賃金闘争にかかわって、高知県労連・田口代議員、生協労連・北口代議員から、最低賃金審議会委員の公正任命にかかわる意見がだされています。この課題が、労働委員任の課題と同様、全労連排除を前提とする労戦問題であるとの側面があることはご承知のところです。したがって、最低賃金引き上げ要求実現のたたかいとの区分と関連は押さえたとり組みは必要です。また、出されています裁判問題については、全労連排除という全国的な問題の位置づけで議論させていただくことが必要であり、相談しながらの対応を要望したいと思います。なお、最賃闘争にかかわって、6月段階の大規模な中央行動のご意見がありました。08年で言えば、5月30日を第2次最賃デーと位置づけ、2000名規模の行動を行っています。
 公契約運動とかかわって、運動の全国展開をめざすことを方針でも提起しています。指定管理者の再指定問題や市場化テスト問題、さらには競争入札による価格ダンピング問題など、。重大な問題が表面化していることから、その実践を急ぎたいと思います。そのため、単産にもご協力いただいて、低価格入札の実態調査を具体化することも検討したいと思います。また、全印総連・白原代議員の発言にありました、労動者レベルでの発注者と受注者の相互理解を深めて「負の連鎖」を断ち切る、とのご意見は極めて重要だと思います。懇談会、シンポなど早急な具体化を検討することとします。

 第4に、なくせ貧困、生活危機突破の運動強化という提起を積極的に受けとめていただくと同時に、補強を頂きました。
 建交労・岩永代議員が発言されましたように、原油、原材料高が企業経営を破綻させかねない状況にまで至っている産業分野もあり、また、北海道のように命にかかわる問題としての燃料大高騰が位置づけられる地域もあります。政府も、不十分ながらの対策を取り始めいますが、補正予算を先送りしたい政府の対策は限定的であり、この秋の段階での事態深刻化が懸念されます。したがって、08年秋闘方針で提起している11月13日を最大の節目として、国民共同での運動具体化を急ぐと共に、とりわけ深刻な実態にあるトラックなどの産業分野でのたたかいの全国的な支援をつよめたいと思います。
  冒頭の議長挨拶で、小異を残して大同につくとして、貧困解消、生活危機突破のたたかいでの共同を連合などに呼びかけました。要求の一致点を徹底して追求し、その呼びかけを具体化できるよう中央でも全力を尽くしたいと思いますが、その際、生活危機や貧困の源にある大企業のぼろ儲けや身勝手な経済活動を告発し、国民生活軽視の国の予算執行状況是正を迫るという旗は鮮明にして当たりたいと思います。軍事費・ムダな公共事業予算を削って暮らしに、大企業に社会的責任の履行をは、生活危機突破のたたかいでも握ってはなせない要求であることは強調しておきます。

 第5に、組織拡大について、貴重なとり組みの経験や、その成果が、多くの代議員から報告されました。総括答弁の冒頭でも触れましたが、今大会を特徴づける討論状況だったと思います。
 とりわけ、非正規労働者の組織化と青年労働者への接近については、熱い討論が行われたと思います。
 福祉保育労の吉岡代議員から、本大会で正式な補助組織として位置づける非正規センターとは、のご質問がありました。その基本的な位置づけと性格は、方針書19ページにあるとおりです。一口に非正規労働者といっても、極めて多様であり、変化し続けています。全労連が、パート・臨時労組連絡会だけでなく、外国人労働者連絡会や派遣・請負連絡会、 ヘルパーネットなどを立ち上げ、それぞれが活動を強めていることからも、変化を確認できると思います。
 不安定で低所得に置かれるなど、共通する点もありますが、直接雇用と間接雇用の異なり、職種の異なりなどもあり、労働法制の適用状況にも違いがあります。4連絡会はその点で、必要に応じて結成してきたものであり、場合によっては今後も、職種別などではあり得ると思います。同時に、労働法制も社会保障制度も、正規、男性中心、終身雇用制の下での制度のままであり、社会的慣習も含めて、手直しが遅れていることが、繰り返し報告された企業の違法行為を許す背景にもなっています。その点では、大きな社会運動を作り出す要求政策や実態把握が必要です。非正規センターは、これまでの4連絡会とも協力しながら、サポーターの力も借り、要求政策や相談活動も含めた実態把握をおこない、あるいは反貧困ネットワークなどの市民運動とも連携しようと言う組織です。そのような位置づけで補助組織として整理したところです。
 建交労と全建労との共同した組織拡大、北海道、岩手、大阪などから発言があったローカルユニオンでの拡大前進、秋田、群馬、青森などからの労働相談を契機としたあらたな組織の結成など、発言はいずれも教訓的でした。徳島県労連・森口代議員が触れられたように、派遣労働者の組織化を巡って討議が続いている、という率直な事実が語られたこと。年金者組合・篠塚代議員が、組織拡大はいつも困難がある。それを克服することしか拡大の方策はない、という発言と重ね合わせて印象的なものでした。
 前回大会までに、組織拡大が最大の要求闘争、という認識が一致してきた、と総括されていますが、その総括の上にたった実践が、豊かにダイナミックに、そしてこれまでタブーとされてきた例えば派遣労働者の職場での組織化と言ったようなタブーをこえてとり組まれはじめたことが確認できる討論だったと思います。わたしは、早い時期に、それぞれの努力が大きな果実なることは確実、と討論を聞いて確信しました。

 最後になりますが、全労連大会ではじめて、外国人労働者の代議員としての発言がありました。国際化している状況の反映であることを確認すると同時に、そのような国際化に対応した多民族・多文化共生の社会からほど遠い、日本社会の実態をいやと言うほど思い知らされるお二人の発言でした。
 彼女たちが、私たちは人間だ、という心からの叫びに、私たちは日本人と一緒に仲良く働きたいという言葉に、私は、熱いものを感じると同時に、恥ずかしいという気持ちが交錯してたまりませんでした。日本の社会運動の一端を担っている私たちに突きつけられた、鋭い問いかけだと感じたからです。
 彼女たちの裁判支援は当然のこととして、ナショナルセンター全労連は、彼女たちの置かれている無法状態をなくし、非人間的な労働を、奴隷労働を根絶し、労働者全体の社会的、経済的地位の向上に責任をおう存在であることを改めて自戒した発言でした。
 80名の皆さんの発言に通じ、参加の全ての皆さんの思いとも一致する、その全労連の役割と責任を果たすため、方針実践の先頭に立つことをお約束して、総括答弁とします。

来賓あいさつ
全国商工団体連合会 国分稔会長

議案討論
総括答弁
大会宣言
新役員の紹介