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東京ではすでに、入学者ゼロの公立中学校も

 全国の小学校6年生と中学校3年生を対象に実施された全国一斉学力テストでは、子どものテストの点数によって学校を序列化、ランク付けすることが可能です。こうしたなかで学校選択制が導入されれば、テストの平均点の高い学校には入学者が殺到し、一方で平均点の低い学校には入学者がいなくなってしまうことも起こりかねません。実際、学校選択制が先行して実施されている東京都内の区立中学では、入学希望者がゼロとなり入学式が行われなかった学校も生まれました。

「点数引き上げ競争」をもたらす全国一斉学力テスト

 学力テストで学校がランク付けされることは、テストを受ける子どもたちにも大きなプレッシャーになります。“自分がテストを受けると学校の順位を下げてしまう”と登校をしぶる子まで出るなど、子どもの心を大きく傷つけています。
 学習内容を子どもが理解したかについて確認するためなら、日常的に学校ごとに行われているテストで十分なはずです。また、国の教育政策を点検する目的ならば、抽出調査で問題ありません。現に「学力世界一」のフィンランドでは、5%の学校を抽出して学力調査を行っています。
 全国一斉学力テストで子どもの学力が向上するとは到底考えられません。それどころか、学校選択制ともあいまって学校間の点数引き上げ競争をもたらすだけです。

子ども置き去りの「人気ある学校」づくり

 学校選択制が先行して導入されている東京都のある中学校では、学校の人気をあげるために強い部活動をつくろうと、よその学校から大勢の部員を転校させてきました。
 また、学力テストをめぐって、学校の平均点を少しでもあげようと、LD(学習障害)の子どもの親に、“学力テストを受けてほしくない”と暗に言う教師までいるといいます。
子どもにとっての「いい学校」づくりどころか、学校の人気とりのために子どもが振り回されているのが実態です。