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鉄道は「公共の福祉」から「効率的経営」へ
奪われた国民の「足」と安全性

 分割民営化前、鉄道事業法で旧国鉄は「公共の福祉」の担い手とされていました。鉄道は国民の貴重な交通手段です。採算が合わなくなったからといって、切り捨てていくものではないという基本的な考え方がありました。
 1981年、「肥大化した行政組織の改革と膨大な財政赤字の再建」を掲げた第2臨調「行革」路線が本格的に始まりました。83年には45のローカル線が廃止、36路線が第三セクター化、2路線が私鉄に譲渡。90年には3路線が廃止、1路線が第三セクター化されました。これらは「赤字路線」の切り捨てとして行われました。
 そして、この間の1987年には国鉄が分割民営化され、JRが誕生しました。鉄道事業法も「改正」、「公共の福祉」は捨て去られ、「効率的」鉄道経営が大きな目的とされました。
 JRになってからむしろ事故は減っているとの指摘があります。しかし、利益優先の至上命題のもとで「効率化」がはかられ、安全性が軽視される中で、尼崎の脱線事故や新大久保駅転落事故のように、人の命が奪われるような重大事故が後を絶たないのが現実です。
 JRは労働組合の「ホームに駅員がいれば接触・転落事故や、自殺を減らす効果がある」とする主張を否定こそしませんが、「当社は効率化が課題」と言い、一方的に人減らしを続けています。



 線路や信号機のメインテナンスや工事などでは、JRのOBが天下りした先の子会社に業務を丸投げしています。いくら安全面での技術が進んだとしても、それをチェックし実際に安全が確保されているかを確かめるのは人です。安全を守る仕事をすべて下請けに任せ、経費削減を追求する姿勢は、公共交通機関としての使命を疑われてもしかたありません。



  1987年当時
社員数
1999年4月
社員数
2004年4月
社員数
北海道 12,720 10,347 8,931
東日本 82,469 76,800 70,280
東海 21,410 22,800 20,700
西日本 51,530 42,570 32,550
四国 4,455 3,779 3,100
九州 14,589 11,900 9,710
貨物 12,005 10,144 7,966
建交労調査